第24話 ダンジョン4


「よっ!」

「…なんでいるんだよ?」

「あはは、すいません」

「それより聞いてくれよ!俺がさぁ」

「とりあえず上がれ」

 なぜ朝からアキの顔を見なきゃならんのだ。

「で?今回はどうしたんだ?」

「それがさぁ、ダンジョン行ってる?」

「ん?一回行ったきり行ってないな」

 そうだったな、もう別に金はいらないから気にしてなかったな。

「なら一回行って見た方がいいぞ?」

「なぜ?」

「なぜ?って、そんなもん自分で体感しないとわかんないだろ?」

 はぁ、そんなもんどうでもいいが、

「で?お前はどうなんだよ?」

「俺?もち余裕で攻略したよ?」

「なら金も良かったんじゃないか?」

「おう!スポンサーっての?が凄い来たよ!」

「あぁ、こっちの人間の弱さがわかったってことか?」

「え?!なんで分かった!」

「そりゃ別に遊んでたわけじゃないからな」

 あれがナンバーワンのクランだったらまぁ、そうなるだろうな。


「でさ、50階層までしかないんだよ、どこも一緒だと思うけどさ」

「そうなのか?他のダンジョンは行ったのか?」

「いや、行ってない」

「行ってから言えよ」

「あっはっはっはっ!言うと思った!だから一緒にいかねーか?」

 こいつは何言ってんだ?

「どーせなら一緒に行こうぜ!張り合いがなくてさ」

「はぁ、大変だな」

 と彼女に言うと、

「はい」

 と帰ってくる。

「なーんでそこでわかり合ってんだよ!いや、とにかく一度行った方がいいって!」

「いつ?」

「いまから」

「どれくらいかかるんだ?」

「んー、2日くらいかな?」

「あほか!今の今で2日もかかるとこに行くかバカ!」

「あー、バカって言うなよ!んじゃいつならいいんだ?」

「…さぁ、どうしたもんかね」

「ほらな!どーせ決まらないなら今行ったっていいじゃねーか」

「はぁ、本当にもうこいつは」

「ほら行くぞ?」

「はいはい、んじゃ、行こうか」

 と立ち上がると、みんなは着替えに向かうので俺も着替えに行く。


「んじゃ俺の後について来てな!」

 と黒の軽自動車に乗っている。

「分かった!ちょっとその前に」

 番号だけ交換しておく。

「何かあったら電話だな!」

「よし行くぞ!」

 とついて行く。

 着いたのは新宿のど真ん中にあるギルドだ。

 早くも取材陣が来ていて直人の姿が見えたので手を振る。

「タカ!なんでアキさんと一緒なんだ?」

「はぁ、コイツと知り合いなんだよ、で。今からコイツと攻略してくる」

「マジか!俺も着いて行っていいか?」

「んー、まぁいいか、来いよ!」

「おっしゃ!大スクープだな!」

 と直人は意気込んでいるがどうなることやら。

「アキ!1人追加な!」

「分かった!」

「よし!ちょっと待っててくれよ!機材を揃えてくるから!」

 と言って自分の車に行ってしまう。

「誰あの人?」

「俺の高校からのツレだ」

「へぇ、友達いたんだ?」

「お前舐めてんだろ?」

「あーあー、ここで喧嘩はやめなさい!」

 彼女さんに言われちゃしょうがないなぁ。

「いやー!待たせたね!」

「直人だ、こっちがアキな!」

「よろしくです!」

「こちらこそよろしくお願いします」

 とりあえずギルドに入ると取材陣は入れないようだな。

「俺って特別!やばい!クセになりそう!」

 と直人は変な快感に悶えてる。

「おい、タカ?大丈夫か?」

「あぁ、俺らが守るから平気だ」

「ならいいけど」

 と言ってカードを見せてゲートを潜る。

「直人はなんのスキルもらったんだ?」

「俺は風魔法だ。本当は収納とかが欲しかったのだがな」

「そうか、まぁ、好きに動いていいが、目の届く範囲にいてくれよ?」

「任せてくれ!」


「さて、みんな調子は?」

「「「「「大丈夫です」」」」」

「俺たちもオッケーだ!」

「んじゃ行くか!」


 と先頭はアキがいて殿が俺だ、中央に直人と彼女さんで、後は臨機応変にだな。


 一階層なんてスライムばっかりでみるからにやる気がないな。

 しばらく進むと階段があって下に降りて行く。

 ゴブリンなんかも一発だからあまり視聴率は取れないよな?

「うおぉぉ!ゴブリンだ!生で初めて見た!」

「いや、弱いからお前も狙ってみろよ?」

「いい!俺はカメラマンだからな!」

 直人は愚直にカメラをのぞいている。


 なんだかんだで20階層まできたな。

 ちょっと休憩を挟んでいると、

「タカ?モックないの?」

「あ?自分で買ってこいよ!」

「えー、持ってるならちょーだい」

「…ふぅ、ほれ!」

「やりぃ!やっぱり持ってた!」

「あ、ありがとうございます!」

「いや、彼女さんはいいが、アキは少し自重しろバカ!」

「へへっ!懐かしいな!モック」

 と涙ぐんでるから怒るに怒れないな。

 みんなにも配り、直人にも渡すと。

「本当に収納いいなぁ」

「まぁな!使い勝手がいいからな。それよりいいのは撮れてるのか?」

「バッチリだ!誰も記者が入れないとこに俺は初めて入ってるんだからな!」

 と急に立ち熱く語り出す!

「そ、それならいいけどな」

「おう!うめぇ!」

 と訳がわかんないテンションだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る