第17話 魔王


「泣いてんじゃねーよ!行こうぜ!」

「「おう!」」

 男3人で乗り込むと城の中はそんなにわかりづらくはなかった、ただ一直線に進んでいく。

「俺は四天王グアッ!」

 出てくる敵を斬っていく。


「ほう、ここまで来るとはな」

「魔王にしては弱そうだな?」

「影武者か?」

「いや、魔王で合ってるぞ」

 玉座に座る魔王はツノが生えていて魔人族の王様なんだろうな。

「勇者1人でいけるだろ?行けアキ!」

「なんだよ!結局俺がやるのかよ」

「サイラス!そ奴らを蹴散らせ!」

「無理っ!俺はアキとタカにつくから!」

「くっ!絆されおって!出て来い皆の衆!」

 大勢の魔物や魔人が出てくる。

「つゆ払いは任せたぞ?タカ、サイラス!」

「はいはい、サンダーボルト!」

「行くぞ!」

 俺の魔法で大半が動けなくなると、サイラスが斬り裂いていく!


「な!サイラス!戻って来い!」

「嫌だね!俺はこいつらといる方が楽しいからな!」

 サイラスは魔物を斬り裂きながら言う。

「くっ!おのれ!ダイノス出て来い!」

 ダイノスと呼ばれる人間のような見た目をしたやつが出て来た。

「はっ!いくぞ裏切り者のサイラス!」

「グッ!さすが四天王最強だな!だが俺だって強くなったんだよ!」

「グアッ!い、いつの間に!」

 サイラスの剣がダイノスを斬ると一旦引く。

「余裕だね!ダイノス?弱くなった?」

「く、クソッ!お前如きにこの姿になるとはな!」

 ダイノスは服が裂けてドラゴンに変化する。

「おぉ!ドラゴンだな!」

「デカいなぁ、サイラスは第二形態とかないのか?」

「無理言うなよ、俺はただの魔人だ」

「グァァアァア!」

「そんじゃいっちょやりますか!サンダーボルト!」

「グァァアァア!!!」

「聖剣召喚!うらぁ!」

「俺も!魔神剣一刀流・乱舞」

「ギャアァァァァァァ!」

 ダイノスはあっけなく消滅して、魔石に姿を変えた。

 

「後はお前だけだな?」

「なに、まだおるではないか!いけ!」

「おっし!サンダークラッシュ!」

「グァァアァア」

「なーに魔王にも当ててんだよ!」

「いや、広範囲ならこれでいいかなぁーってな」

「はぁ、馬鹿力ですね」

 アキとサイラスが呆れているが、ほぼ全滅だろ?


「グッ!な、なんなのだその力は!」

「なぁ、やっぱ余裕じゃねーか?」

「そうですね、もっと強いと思ってましたよ」

「サイラスの方が強かったりしてな!」

「お、お前ら!もう許さんぞ!グアァァアァ!」

 お!第二形態はドラゴンか。

「それさっき見た!」

「そうだぞ!他になんかないのかよ?」

「まぁまぁ」

 

「ドラゴンノヴァ」

“コォォォォォ”

「おっ!ヤバそうだな!」

「サンダークラッシュ!」

「グアァァアァ!」

 途中で止めてやった!

「あはは!んじゃ俺もファイナルブレイブ!」

“ザン”

「アァァアァ…」

 真っ二つになった魔王は魔石と魔剣を残して消滅した。


「やったな!」

「ようやくだぜ!」

「これでお二人とも帰れますね!」

「サイラス、また口調が戻ってるぞ?」

「あはは、これでいいんですよ」

「まぁ、サイラスっぽいな」

「おっ体が光ってる!」

「ま、待て!俺は自分で帰れるぞ?!」

 俺の体も光っている。

「まぁ、また来ればいいんじゃないか?」

「そう言う事じゃねぇ!」

「お二人ともお元気で!」

 と手を振るサイラス。

「じゃーな!」

「待て待て!俺は」

 と光に包まれて戻ったのはあの裏通りだった。

「やっと帰って来れた!」

「えっと、ライト」

 フォンと光が現れる。

「よし!俺は魔法が使えるな!」

「え?まじかよ!俺もライト!」

 フォンと同じように光が現れる。

「俺も使えるぞ?」

「は?もう勇者の役目は終わっただろ?」

「あはは、いいじゃねーか!」

 っとに、神様もいい加減だな?

「とりあえず着替えるぞ?」

「だな!こんなのコスプレ以外のなんでもないからな!」

「特にお前がな!」

 キラキラの勇者装備だからな。

「うっせー」

 防具を脱いで村人A、Bのような格好になった俺たちは近くのしまむーで適当に服を買う。

「お前金持ってねーのかよ?」

「仕方ねーだろ?」

 アキは一文なしだ。

 さて、今は何日だ?

 コンビニに寄って新聞を見るとあれから一年経っている。

「おぉ、浦島太郎?」

「うるせぇ、お前の彼女、他に男作ってんじゃねーの?」

「あ、そう言うこと言うなよな!」

「とりま、スマホの充電だな」

 と充電器を二つ買って、ついでにビールを買うと、近くの公園に行く。

「「乾杯!」」

 とビールを飲む。

「おっついたついた!」

「げっ!メールが酷いな!」

「そりゃ彼女からだろ?」

「いや、親からも凄い来てるわ」

「そりゃいいことだな」

 俺にはあの高校からのツレのスポーツ記者から連絡が入っていた。


「もしもし!今帰って来!泣くなよ」

 とあっちはあっちで大変そうだな。

「もしもし?」

『あ、やっと繋がったか…すまないがまたあの薬はないか?』

「あれで最後だと言ったはずだが?」

『おまえダンジョンであれを手に入れたんだろ?』

「は?ダンジョンってなんのことだ?」

『ダンジョンだよ、今はどこもダンジョンで賑わってるだろ?知らないわけないよな?』


 なんのことだ?

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