才能の種

第12話 王城

　多くの反応があり近づいてくる。

「お！オッサン無事だったか！」

「あぁ、勇者君も無事のようだね」

　近づくのは勇者とあの男の子と騎士団達。

「オッサンハーレムじゃねーか！ってそれよりその服は？」

「帰る方法がわかったからな」

「まじか！俺も帰りたい！」

　必死な顔だ。そりゃそうだよな。

「一緒には！って何するんだ！」

　俺を斬ったあの男の子が俺を斬ろうとした。

「勇者は渡さない！魔王を討伐するまでは返せないのだよ！」

「はぁ、お前一度俺を斬ったよな！今度はお返ししてやる！サンダーショック！」

　電気が走って男が感電すると剣を抜き、斬る。

「うぐァァァぁぁぁ！」

「そう言えば治してもくれたな、ヒール」

「ウグッ！く！お前がなんでそんな力を！」

「さあな？勇者だけが力じゃないんだよ！」

「で、では一緒に魔王を」

「行くわけないだろ？人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ？」

　こいつは人の気持ちを逆撫でするな。

「す、すまなかった。私が間違っていた」

「口ではなんとでも言えるよな！」

　男の子は口をつぐむ。

「それよりオッサン！帰れるなら俺も！」

「待て、お前がなんでここに来たのか覚えてないのか？」

「そ、それは」

「お前が俺に絡んできたから俺まで一緒に飛ばされたんだろ？」

「悪かったよ！後悔してる！あの時はむしゃくしゃしてて」

　むしゃくしゃしてたらなんでもいいのかよ！

「はぁ、俺は俺でなんとか帰る方法を掴んだんだ。お前も自分でなんとかしろ！」

「悪かったよ！なぁ！必ずこの恩は返すから帰してくれよ」

　と謝るが許す気はない。

「悪いが出来ないな。それじゃあな」

「うそだろ！そんなことあるかよ！」

「勇者殿！貴方は帰る方法があるではないか！」

「いつになんだよ！ふざけるなよ！」

　騎士団に捕まっている勇者を後にして俺たちは宿に帰る。

「良かったのですか？」

「まぁ、俺に帰す義理もないからな」

　俺はあのヤンキーに絡まれ、殴られる寸前目を閉じたらあの場所にいたんだ。別に肩がぶつかったりしたわけじゃない、目が合った。それだけで因縁をつけられたのだ。

　誰がそんな奴手伝うかよ。

　その頃王城では、

「して、お前より強かったと？」

　王冠を被った男が言うと、震える口で、

「…はい、私は手も足も出せませんでした」

　と、タカを斬ろうとした男の子が答える。

「お前がいらぬと言って捨てた者が強くなったと言うことか」

「は、はい！申し訳ありません」

「もう過ぎたことだ！次はないぞ？」

「は、はい！」

「しかし困ったことにこのシャンプーとコンディショナーなるものは多分その者がこちらに持ち込んだのであろうな」

「妾はその男に会ってみたいのぅ」

　王妃であろう女が言う。

「たぶん、この街にいるかと思われます」

「そうか、ではその男をここに連れてくるのだ」

「は、はい！」

　男の子は震える、あのタカと言う男が自分の言うことを聞くとは思えないからだ。

「宿を探してタカと言う男を探すのだ！」

「「「「は！」」」」

　自分の部下に男を探させるとどうしたものかと考える。

「おい！サイラス！あのオッサンを探してどうするんだ？」

　勇者ヤンキーが言うと、

「王が会うと言っている。連れて来れなければ俺の首が飛ぶ」

「あははは、自業自得だな？」

「くっ！」

「まぁ、いいや、俺が一つ助言してやる！あいつの女を攫えばついてくるだろう？」

「…そうか！あいつには女がいたな！」

　そして、

「アーシェが連れ去られた？どこのどいつにだ？」

「タカ様、私達は奴隷ですので気になさらないで下さい！」

「いや！誰に言われた！何処にいる？答えろ！」

　ルメラは口をつぐむがイライザが、

「王城に来いっていってたよ」

「イライザ！！」

「だって、タカ様が望んでいるんだ！答えないなんて出来ないだろ！」

「ありがとうイライザ！ルメラもありがとうな！」

「待ってください！馬車を出します！」

「分かった！リズ！よろしくな」

「はい！」

　外に出るとリズが馬車を前につけている。

　乗り込むとスピードを出して王城へと向かう。

「待て！お前は誰だ！」

「タカと言う者だが？王城に呼ばれた」

「その者だけだ！他はここで待て！」

　ルメラに頷くと一人で王城に入る。

　中に入ると騎士が案内をしてくるのでそれに従うと待合室のようなところで待たされる。

『コンコン』

「入れ」

「よう！オッサン！」

　勇者ヤンキーか…

「待て、俺が話をする！この度は本当に申し訳ない！必ず無事にあの女は返すと約束する！」

　と頭を下げる。

「…なんのようで俺を呼んだんだ？」

「王が会いたいと言っている。私がお願いしても聞き入れてくれないだろうからこの手段しかなかった。卑怯なことをしてすまない！」

　頭を下げ続けるのは男の子だ、さすがにこちらも諦める。

「はぁ、アーシェは無事なんだろうな？」

「それは保証する！」

「分かった。王に会えばいいんだな」

「…ありがとう」