第9話 商業ギルド


 扉を閉めると光が収まるので、リズに下を見にいってもらいさっきと同じか見てもらう。

「食堂は閉まってました」

「よし、成功かな?」

 まだわからないがな。

「す、凄いですね!タカ様」

「そうだね、俺もこんなに上手く行くと思ってなかったよ」

「髪がサラサラですぅ」

「私もだよ!」

 と髪サラサラ自慢が始まったので、

「はい!鏡をあげよう」

「え?え!鏡ですか?」

「そんな高価なもの!」

 とルメラ達は騒いでいるが、

「あっちでは銅貨1枚くらいだからな」

「ええー!」

 と言って手鏡を持ってビックリしている。

「いいから、プレゼントだよ」

「…はい!大事にしますね」

と言って自分のポーチやバッグに入れている。

「よし、今日はもう遅いし眠いからまた明日にしようか!」

「あ、あの夜伽は?」

「明日でいいさ!ね?」

「はい!」

 と言って全員帰って行った。


「ふぅ、結構疲れるもんだな。魔力がもうちょっとあったら違ったかもな」

 と知らない間にに眠ってしまった。


『コンコン』

「ん…朝か…」

 扉を開けると全員揃って綺麗な髪だな。

「おはようございます!」

「おはよ、後これはみんなで使ってね。なくなったら言えばいいから」

 とシャンプーとコンディショナーのセットを渡すと、ルメラが受け取る。

「ありがとうございます!」

「で、あと櫛も必要だろ?」

 と櫛も一つずつ渡して行く。

「ありがとうございます!」

 それじゃあ下に行こうと階段を降りて行く。

 女将に朝飯を頼むと持って来てから、

「なんだいあんた達の髪は?どうやったんだい?」

「えへへ、いいでしょ?」

 とイライザが自慢するが、

「これ、あげますよ」

「これは?」

「シャンプーとコンディショナーって言って、使い方は」

「あ、私が教えますよ!」

 とルメラが手を上げてくれたので助かった。

「生活魔法はつかえるのか?」

「はい!大丈夫です」

 と女将と奥に行った。

 俺たちはゆっくり時間をかけて飯を食っていると、キャッキャしながら女将とルメラが出て来た。

「凄いわね!これ!」

「でしょ?今度売り出そうと思ってね」

「そりゃいいや!私ももうこれじゃなきゃダメだよ!」

 と顧客がもうついてしまったな。

 ルメラは自慢げにしている。

「ルメラ、ご飯食べな?」

「は、はい!」

 と言って急いで食べ出すと、ゆっくり食べていいよと言う。

 女将は相当気にいったようで髪を一纏めにしていたのにロングのまま仕事をしている。


「さぁ、これをどこに売りに行こうか?」

「それなら商業ギルドですね」

 と言ってアーシェが得意げに言ってくる。

「へぇ、そんなギルドもあるんだね」


 じゃあ、飯を食べたらそこに登録しに行くか!


 宿を出て商業ギルドに向かう。

 みんな背筋をピンと張って髪を靡かせている。可愛いもんだな。

 商業ギルドに入ると受付があり商人が出入りしていたり商談をしている。

 受付に行くと、

「いらっしゃいませ!今日はどのようなご用件でしょうか?」

「登録と、売りたいものがあるのだが?」

「はい!それではこちらの紙を書いてください」

「はい」

 と名前の他に簡単な算数の問題だな。

 全部書いて渡すと、

「はい!計算は早いですね!それではランクDからです」

「はい」

 カードを渡されると、次が本命だな。

「それで売りたいものとは?」

「彼女たちの髪を見て貰えばわかると思いますが」

「…しょ、少々お待ち下さい」

 目を見開いた彼女は奥に消えて行くと男性を連れて来た。

「初めまして、このギルドのギルド長をしているサムと申します」

「これはご丁寧に、私はタカと言います」

「…それにしても綺麗な髪ですね!この秘密を売りたいと?」

「そうですね、秘密というほどでもないのですがね?」

 奥に通され商談室に入ると、

「それでは何を売っていただけるのでしょうか?」

 俺はシャンプーとコンディショナー、櫛に鏡を出すと、一つ一つ手に取って品定めしている。


「櫛と鏡ですが、最高品質ですね!この素材は一体」

「それは企業秘密です」

「ですよね。後これはどう使うものでしょうか?」

「シャワーはありますか?」

「はい、一応設備としてありますが」

「では、私が教えますのでシャワー室まで一緒に行ってもらえますか?」

「はい!」

 といってギルド長にレクチャーしてシャワーを、浴びてもらいブリーズで髪を乾かしてやる。


「こ、これは凄い!髪が蘇ったようですよ!」

「これはシャンプーとコンディショナーというものですね」

 髪をキッチリ分けていたギルド長は今じゃ髪をかき上げる仕草が様になっている。

「これは売れますよ!どれくらいお持ちですか?」

「とりあえずはこれだけですね」

 と段ボール箱いっぱいのシャンプーとコンディショナーのセット商品を出すと。

「マジックバッグですか!それにしてもこれだけの量しかないのですか?」

「まぁ、とりあえずですがね?」

「そうですか!とりあえずならしょうがないですね!ではこれは一本金貨2枚でどうでしょうか?」

「セットだと?」

「金貨4枚です」

 よ、400万?流石に高いんじゃないか?いや、ここはそれでもいいか。

「はい!それでお願いします」

「あと櫛は銀貨50枚、鏡は金貨1枚ですね!」

「はい!それでお願いします」

「ありがとうございます!私もワンセット買わせていただきます!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る