第8話 髪
「落ち着いたか?」
「はい、取り乱してすいません」
「大丈夫、じゃあ、ご飯でも食べに行こうか?」
「もう、宿の食堂は閉まっていますよ?」
「え?どれくらい俺はいなかったんだ?」
「えっと、どれくらいでしょうか?」
「そうか、時計がないからわからないか」
時計がないのでこちらの世界では鐘が鳴り、時間がわかるのだ。
「みんなお腹すいただろ?俺の家に行くか」
みんな今俺の部屋にいる。
「「「「「え?」」」」」
「転移の魔法を覚えたからな、いやでも待てよ、時間の感覚がわからないからな…」
時間も調整できるようにならないといけないな。今度はそれも頭に入れながら扉に魔力を送る。さっきより多く扉に魔力が注がれると扉が光出す、そして扉を開ける。
扉の奥は俺の部屋に繋がっている。
「さぁ、みんな入ってくれ」
「は、はい」
みんな入ると扉を閉める。
「あ、みんな靴を脱いでくれるか?」
「は、はい!」
みんな靴を脱いで玄関に置きに行く。
「こ、ここがタカ様のお家ですか?」
「そうだよ、こっちの世界では奴隷なんていないからね」
俺の部屋は2階にある。あとは空き部屋だからな。
と日にちは?スマホを見るとさっきから5分しか経っていない。
とりあえずみんなをダイニングに移動させて座らせる。みんなポケーっと周りを見渡している。
とりあえず腹に入るものはラーメンくらいしかなかったので作ることにする。
「お、お手伝いしますよ」
「ん?これと言ってないけど?」
お湯を沸かして鍋にラーメンをぶち込み、煮込むだけだからな。
流石に一ヶ月もそのままだったから冷蔵庫のものを使うのはちょっとな。
出来上がったものをどんぶりに移していきフォークがいいか…と箸もとりあえず持っていき、みんなの前に出す。
ダイニングテーブルは4人用だからとりあえず1人は俺とリビングに行ってもらおう。
「こっちでは食べる前にいただきますというからな?いただきます!」
「「「「「いただきます」」」」」
俺が食べ出すとみんな恐る恐る口に入れると、
「うまいですね!」
「美味しいです!」
「はふはふ」
と食べ進めて、ようやく食べ終わるとみんな満足そうにしている。
テレビをつけると昼の番組がやっている。
「な、な、なんですか?」
「え?なに?」
「これはテレビって言って、こうやって遠くのものを映し出してくれるものだよ」
「は、はぁ?」
「すごいですね!」
「よし、テレビでも見ててくれ、俺は掃除するから」
「あっ!私がします!」
とリズが立ち上がるので、
「お、んじゃ、これが掃除機だからこうやって」
『ブオォォォォ』
というとアーシェの尻尾が逆立つのが見えた。
「あはは、ただの機械だからな。これをこうやって隅々まで掃除して行くんだ」
「は、はい!」
その間に鍋なんかを片付けてると今度はルメラが手伝うと言って来たので一緒に洗い物をする。
「掃除終わりました!」
「うん、ありがとう」
「はい!」
とリズは嬉しそうにもとあった場所に掃除機を立てかける。イライザとリシェルはテレビに夢中だ。
アーシェはビクビクしてるな。
洗い物も終わり、こっちに帰って来れることがわかったのでこっちでの金策も考えないとな。
と、あっちで売れるものがあればいいのだが…シャンプーとコンディショナーでも使ってもらうか。
「誰かシャワーを浴びたい人はいるか?」
「はい!」
ルメラが最初に手を挙げたのでルメラに色々とレクチャーしてシャワーを浴びてもらう。タオルを渡してシャワーを浴びてもらうと出て着替えたルメラの髪をドライヤーで乾かして櫛でとかすと、
「わぁ、これが私の髪ですか?」
「ルメラ!凄い綺麗な髪!」
「わ、私も!」
と結局全員シャワーを浴びてドライヤーで乾かしてやる。アーシェは尻尾まで乾かしてやると、
「あ、いやん!」
と尻尾が性感帯であることがわかった。
みんなにこれは売れるか聞いたら売れるというのでとりあえず金を下ろしにいかないとな。みんなには家にいてもらい、車でATMに行って、その後薬局と100均が合併した店に行く。
シャンプーとコンディショナーのセットの一番安いやつを大量に買って車に積むと、今度は100均で櫛や鏡などを買う。
ついでにみんなが喜びそうなお菓子も買って戻る。
「ただいま」
「お、おかえりなさい」
「どうした?」
「いえ、ブオォォォォと音がしたので何事かと」
車の音か、まぁ、乗せてないからわからないよな。
「あはは、あれは大丈夫だからね」
よし!荷物はヒップバッグに全部詰めたし、これで大丈夫だろう!
みんなを連れて扉の前に行く、魔力を込めてさっきの時間に戻るように念じるとやはり魔力が多く吸われているな。
扉が光ったので開けると元の場所に戻った。
みんなを先に通して最後に俺が通る。
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