第4話 王都
みんなお腹いっぱいになったみたいだから聞いてみよう。
「みんなはどうして奴隷になったの?」
アーシャ、リシェルは村を焼き払われたらしい、イライザ、リズは親に売られたらしく、ルメラは冒険者に捕まったらしい。
じゃあアーシャ、リシェル、ルメラは違法なんじゃないかと聞くと、そう言う世界らしい。
「はぁ、こんな世界があるなんてな」
「タカ様は何をなさってたんですか?」
「俺はこの世界の人間じゃないからな」
「え、では?」
「なんか召喚されたようだ」
「「「「「えぇ」」」」」
「ゆ、勇者様?」
「違うらしい、勇者は別のやつだったから、俺は捨てられた。みんなと一緒かな?」
「「「「「…」」」」」
「で、でも!私達にはとても優しいご主人様です!」
「そう!優しいから!」
「…お腹いっぱい食べさせてくれた」
「私もそう思います」
「私も!」
とみんなが優しくしてくれるので目頭が熱くなるが堪える。
「だから、こっちのことがよくわからないからみんな教えて欲しい」
「「「「「はい!!!」」」」」
「ちなみにこのカードは何?」
「それはギルドカードです。前の主人のですが」
「これはどうした方がいいんだ?」
「門兵に渡すと私達は奴隷商に売られて、その金額をタカ様が受け取ることに」
「ふーん、じゃあいらないか」
と火の中に捨てる。
「あ、ありがとうございます」
みんな涙ぐんでる。
「別にこの荷車は俺のもので構わないのかな?」
「はい!私達もタカ様のものです!」
みんなが頷くが、
「あはは、俺のいた世界には奴隷はいなかったから普通に接してくれればいいよ」
「奴隷がいないんですか?」
「いなかったよ?みんな平等だったな。まぁ、貧富の差はあったけどな」
「そうなんだ」
とみんなの顔は神妙になる。
「私達は奴隷なので、奴隷らしく扱ってもらって構いません」
「それはできないかな?みんなには王都に行ったら服を買って、あと防具なんかも買って普通にしてもらうからね?」
みんな静かになる。啜り泣くような声が聞こえて、
「私はタカ様についていきます!」
「命に変えても」
と口々に言うとみんな泣いている。
そんなに奴隷はきつかったんだな。
王都が見えて来て少し硬くなっていると、手を握られる。
「ん?リシェル?」
「…大丈夫」
「あ、あぁ」
励まされるとはな。
「次の者!」
「はい、あの、ギルドカードを紛失してしまい、中で再発行してもらうんですが通してもらえませんか?」
と昨夜、ルメラが考えた言葉を言うと、
「銀貨一枚に正悪の水晶に触ってもらう!こっちに来い」
「はい」
銀貨なんかの貨幣は昨日みんなに教えてもらったので知っているが、また水晶かよ!
「それに触るんだ」
「はい」
青く光ると、
「よし通っていいぞ!早く再発行してもらえ!」
「はい!」
中に入るとすごい賑わいで馬車が通る道はあるが人も通るので危ないな。
「リシェル、大丈夫か?」
「…問題ない。とりあえず昨日行っていた場所まで行く」
「お、おぅ」
昨日言っていたところというのは商会がある場所だ。
先に進んでいくとリベラル商会と言うところを奥に進んでいき、馬車は止まる。
「積荷を売りたいのだが?」
「カードは?」
「それが紛失してしまって再発行中だ」
「バカなやつだな!それで?積荷はなんだ?」
「貴金属に塩や砂糖だ」
「よし、降ろせ」
その言葉を聞いてルメラやリズが降ろしていく。
「どら、フゥン、まともな品だな。査定するからちょっと待ってろ」
と言って査定が始まる。
「よし、まぁカードはないが、普通に買い取って金貨50枚ってとこだな?」
「え?それじゃあやっていけませんよ、せめて金貨60で」
「うーん、金貨55だ!それ以上は出せない」
「…わかりましたそれでお願いします」
「よし!物分かりが良くてよかったぜ!」
金貨を貰うとポーチに入れて、馬車は宿屋に向かう。
ルメラの言った通り金貨60枚はいかないでしょうとのことだったからそのくらいになって良かった。
宿に着くとルメラが一緒に降りて、宿に向かう。
『カランコロン』と綺麗な音がして女将が出てくる。
「あい、いらっしゃい!」
「一人部屋を一つと5人部屋はあるか?」
「6人部屋ならあるけど?」
「じゃあそこと一人部屋一つでいくらだい?」
「そうだね、銀貨5枚でいいよ!朝食もつけてやる」
「なら!10日でお願いするよ」
「はあ!豪気だね!じゃあ銀貨50枚だ」
「これで」
と金貨を渡すと、お釣りの銀貨50枚をもらう。
こちらの世界では銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚だ。元の世界で換算すると銅貨1枚100円ほどだから銀貨50枚で50万円払ったことになる。
そう考えるとすごい高い気がするが6人で一泊5万だからまぁ、普通か。
「あ、馬車もあるんだった」
「なら裏の厩に預ければいい」
「分かったこれでよろしく頼むよ」
と、銀貨5枚を渡す。
「喜んで馬の世話をやると思うよ!」
「あはは、よろしくね」
と言うと女将は後ろに向かって、
「あいよ!ロディー!」
「はい!」
奥から走ってくる子供、
「ほれ、あんたに馬番の仕事だよ!」
「銀貨5枚も!あ、ありがとうございます!」
ほんとに喜んで馬番をやってくれるようだな!
「タカ様、あげすぎです」
「まぁ、いいじゃないか」
「は、はい」
宿のことは最初から決めていたので文句はないようだ。
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