第5話 一陽来復

ひな Side


信じられなかった。もしかして、とはずっと思っていたけれど。

グループとして、目標はそこだね、とは思っていたけれど。


「紅白歌合戦に、出れる…本当ですか…」

みっちーや謙杜、恭平は、まだ呑み込めてないみたいで。

私自身も、信じられない気持ちだったけれど。

大吾やはっすん、丈くんの涙や、伝えてくれた大倉くんの柔らかな笑顔が、事実であることを教えてくれていました。


「やった~!!!」


全員で、ハグして、円陣を組んで、喜んで。

あぁ、笑うって、こうゆうことやったんやな、って、久しぶりに思いました。


「ひな、ちょっと来て。」

大倉くんからご飯に誘っていただいたのは、みんながひと騒ぎ終えて帰り支度をしている時のこと。

大吾の瞳が、心配そうに揺れたのは分かっていました。


「ひな、あれから廉と会ったりした?」

連れてきて頂いた、お洒落な割烹料理屋さんでのこと。

「実は、昨日会いました。雨の中、傘指さずに、びしょ濡れで歩いとって。」

「そっか。 大丈夫そうやった?あいつ…」

「大泣きしてました。守れんかった、って。私も話を聞くだけで、何にも出来んくて。」


「そっかぁ。まさか、紫耀が辞めるとはなぁ…

ひながよければ、また話聞いてやってくれるか?俺も、なるべく支えたいって思ってるから。」

「分かりました。必ず。」

「あぁ、最後にええこと教えたる!キンプリも、紅白出るで(笑)」

「えっ、そうなんですか!嬉しいです!」


ここ最近、あまり食事が美味しく思えていなかった私ですが、この日に頂いたお料理は、本当に美味しく感じることができました。


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足跡の無い未来  @chapio508

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