第5話 一陽来復
ひな Side
信じられなかった。もしかして、とはずっと思っていたけれど。
グループとして、目標はそこだね、とは思っていたけれど。
「紅白歌合戦に、出れる…本当ですか…」
みっちーや謙杜、恭平は、まだ呑み込めてないみたいで。
私自身も、信じられない気持ちだったけれど。
大吾やはっすん、丈くんの涙や、伝えてくれた大倉くんの柔らかな笑顔が、事実であることを教えてくれていました。
「やった~!!!」
全員で、ハグして、円陣を組んで、喜んで。
あぁ、笑うって、こうゆうことやったんやな、って、久しぶりに思いました。
「ひな、ちょっと来て。」
大倉くんからご飯に誘っていただいたのは、みんながひと騒ぎ終えて帰り支度をしている時のこと。
大吾の瞳が、心配そうに揺れたのは分かっていました。
「ひな、あれから廉と会ったりした?」
連れてきて頂いた、お洒落な割烹料理屋さんでのこと。
「実は、昨日会いました。雨の中、傘指さずに、びしょ濡れで歩いとって。」
「そっか。 大丈夫そうやった?あいつ…」
「大泣きしてました。守れんかった、って。私も話を聞くだけで、何にも出来んくて。」
「そっかぁ。まさか、紫耀が辞めるとはなぁ…
ひながよければ、また話聞いてやってくれるか?俺も、なるべく支えたいって思ってるから。」
「分かりました。必ず。」
「あぁ、最後にええこと教えたる!キンプリも、紅白出るで(笑)」
「えっ、そうなんですか!嬉しいです!」
ここ最近、あまり食事が美味しく思えていなかった私ですが、この日に頂いたお料理は、本当に美味しく感じることができました。
足跡の無い未来 @chapio508
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。足跡の無い未来 の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます