第43話:強欲
ガニラス王国歴二七三年十月四日
王都・西地区・王都ダンジョン
田中実視点
ヴィオレッタを地上に送り出してから三日間、レアテスの祝福上げをした。
俺も祝福上げの手伝いに慣れたので、レアテスが神に御願いする呪文が終わるタイミングに合わせて、アトリビュート・ドラゴンを皆殺しにできるようになった。
わずか三日間でレアテスの祝福回数が二百五十回になった。
差別するようで嫌なのだが、ヴィオレッタと同じ三百回以上にはしたくない。
自分の気持ちを正直にレアテスに言った。
「レアテスの祝福回数をヴィオレッタよりも多くしたくない」
「当然だと思います。
二百五十回も祝福上げしていただけたら十分です。
僕も見掛け倒しにならないように、セオドアたちと実戦訓練します」
レアテスがそう言ってくれるので、セオドアたちが実戦訓練をしている、地下五十階に連れて行って合流させた。
足手纏いとまではいわないが、死なせないように気を使わないといけない人間がいなくなり、俺独りでダンジョンの奥深くに潜れるようになった。
これまでは安全を最優先にしていたが、ほんの少しだけ危険を冒した。
それでも、出現するアトリビュート・ドラゴンが急に強くなった時の事も考えて、ちゃんと切り札も用意してある。
攻撃魔術だけで軽々と斃せるので、よほどの事がなければ使う必要はないと思われる、これまで王都ダンジョンでは使った事がない、身体強化を重ね掛けしている。
今いる階層に出現するアトリビュート・ドラゴンが簡単に勝てると判断したら、一度斃しただけで下の階層に下りた。
百トン級のアトリビュート・ドラゴンを斃した時は、そのまま次の階に下りのを、ほんの少しだけ躊躇った。
百トン級のサブ・ドラゴンを斃した時の事を考えると、次の階層に現れる敵は極端に強くなると思われた。
そう、ピュブレド・ドラゴンが現れる可能性が高いと思われた。
少しだけ考えたが、思い切って直ぐに下の階に下りた。
百トン級のアトリビュート・ドラゴンを斃した時の手応えから、次の小型ピュブレド・ドラゴンが十倍の魔力を持っていたとしても、勝てると確信したからだ。
「遠く大八島国にて人々を守る神々よ。
遠く蝦夷地にて人々を守る神々よ。
風を司る志那都比古神、地上世界を成り立たせる国之常立神、雷と剣と相撲を司る建御雷之男神、水と雨雪を司る淤加美神、矢よりも速く駆ける天迦久神、山と森を司る大山津見神、森を司るニドムカムイ、天地宇宙創造の神である天御中主神、男女産霊の神で生成力を持たれる神でもある高皇産霊神、生成力を我々人間の形とした御祖神である神皇産霊神、国生みと神生みの男神である伊邪那岐神、天津神の命により創造活動の殆どを司り冥界も司る女神である伊邪那美神、五穀豊穣と厄除けと国の守護神である大物主神、道を司る猿田毘古神、村を守り子孫を繁栄させ旅の安全を守る道祖神、石を司る石土毘古神と石巣比売神、木を司る久久能智神と五十猛神、粘土と埴輪を司る波邇夜須毘古神、鉱山を司る金山彦神と金山毘売神、製鉄と鍛冶を司る天目一箇神、鋳物と金属加工を司る神伊斯許理度売命、勾玉を司る玉祖命、鍛冶と鋳造を司る天之御影命、建築工事を司る瓊瓊杵尊、大地を守護される大地主神、土地の氏神様である産土大神。
これまで私に力を御貸し下さった全ての神々よ。
御身を慕う者に力を御貸し下さい。
御身を慕う者を殺そうとするモンスターを滅ぼさせてください。
御身を慕う者を殺そうとする敵を殺すのに最適の魔術を放たせてください。
御身を敬い信じる者の願いを御聞き届けください、殲滅」
身体強化を重ね掛けするだけでは安心できなかった。
少々卑怯だが、現れる敵に最適な魔術を神々に選んでもらおうと考えた。
ピュブレド・ドラゴンであろう敵には、それくらい慎重になるべきだと思った。
図々しい願いに神々がお怒りになり、魔術が発現しない事も考えた。
その時には即座に上の階に逃げ戻るつもりだったが、神々はとても慈悲深かった。
ピュブレド・ドラゴンを斃す最良の魔術を発現してくださった。
「遠く黄泉国にて死者を統べる黄泉津大神よ
遠く大八島国にて大地を創りし偉大な伊邪那美命よ。
御身を慕う者に力を御貸し下さい。
御身を慕う者を殺そうとするピュブレド・ドラゴンを、御身が支配する黄泉国にて御預かりください。
御身を敬い信じる者の願いを御聞き届けください、黄泉魂送」
ピュブレド・ドラゴンを斃す最適の魔術は黄泉送りだった。
黄泉送りも含めて、何度も神々に御願いする魔術を放ち続けて、少しずつ呪文の言葉使いを変える事で、最適最強の呪文に変えて来た。
祝福回数が軽く千を超え、神々との繋がりが強固になった事も有り、出現した十頭のピュブレド・ドラゴンを一瞬で黄泉の国に送る事ができた。
俺は更に欲深い事を考えてしまった。
「遠く大八島国にて人々を守る神々よ。
遠く蝦夷地にて人々を守る神々よ。
風を司る志那都比古神、地上世界を成り立たせる国之常立神、雷と剣と相撲を司る建御雷之男神、水と雨雪を司る淤加美神、矢よりも速く駆ける天迦久神、山と森を司る大山津見神、森を司るニドムカムイ、天地宇宙創造の神である天御中主神、男女産霊の神で生成力を持たれる神でもある高皇産霊神、生成力を我々人間の形とした御祖神である神皇産霊神、国生みと神生みの男神である伊邪那岐神、天津神の命により創造活動の殆どを司り冥界も司る女神である伊邪那美神、五穀豊穣と厄除けと国の守護神である大物主神、道を司る猿田毘古神、村を守り子孫を繁栄させ旅の安全を守る道祖神、石を司る石土毘古神と石巣比売神、木を司る久久能智神と五十猛神、粘土と埴輪を司る波邇夜須毘古神、鉱山を司る金山彦神と金山毘売神、製鉄と鍛冶を司る天目一箇神、鋳物と金属加工を司る神伊斯許理度売命、勾玉を司る玉祖命、鍛冶と鋳造を司る天之御影命、建築工事を司る瓊瓊杵尊、大地を守護される大地主神、土地の氏神様である産土大神。
これまで私に力を御貸し下さった全ての神々よ。
御身を慕う者に力を御貸し下さい。
不老不死をドロップさせるのに最適の魔術を発現させてください。
複数の魔術を同時に発現させてでも、不老不死をドロップさせるのに最適の魔術を発現させてください。
魔力の九割を使ってでも、不老不死をドロップさせるのに最適の魔術を発現させてください。
御身を敬い信じる者の願いを御聞き届けください、魔術発現」
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