Tからのメール
タクト 2015/10/26 23:17
おぅよ~ 翔太お疲れんこん!
せっかく行ったけど何もなかったな、S岳。
キャンプ場まで行ったのに単なるハイキング過ぎて笑うしかねぇわ。あ、でもあれは上手かったな、麓で食べた五平餅。もう1本食っておけばよかった。
なんか消化不良に終わっちまったからさ、次はちゃんと調べてから行こうと思ってよ。
なんと図書館に行ってまいりました!
やっべぇ、小学生以来かも。久し振り過ぎて道間違えたわ。
ほんで、S岳の歴史だの昔話だの色々漁ってたらさ、なんか面白そうな事件を見つけたよ。マジ俺もってる!
んで、その事件ってのがメッチャ古くって。明治だと明治。
明治何年だかは忘れたけど、まだその頃はS岳に集落がいくつかあったらしくてさ。その内の1つの集落でダンナが自分の奥さんに襲われるってのがあったんだと。
被害者になったダンナってのが相当なDV野郎だったみたいで、奥さんはいつも暴力を振るわれて常に体のどこかにアザがあるって感じだったらしい。
2人の間には生まれたばかりの赤ちゃんもいたらしくてさ、ダンナはこの赤ちゃんにも暴力を振るってたって。
事件があった日もダンナは朝からぐでんぐでんに酒飲んで、また奥さんに暴力を振い出して。いつもより激しかったのか、赤ちゃんに手出ししたせいなのかは分からないけど、奥さんがついに反撃したんだよね。
何だったかな、しんばり棒?ってなんの棒だか知らんけど。とにかく棒で滅多打ちしてダンナを半殺しにしちまったらしい。
まぁ確実に殺されるし、逃げるしかなかったんだろうな。奥さんは赤ちゃん連れて山中に逃げ込んだんだと。
で、ダンナの方は殴られて気失ってたけど、目が覚めた途端に家に鉈を持って2人の後を追ってったんだって。
ブチ切れたダンナが足ひきずりながら、山に向かって行くのを何人もの村人が目撃していて、中には引きとめようとした奴もいたけど、鉈を振り回して暴れ散らかして、山に入っていったらしい。
ダンナは二日後に沢で死んでるのを発見されたって。足を滑らして打ち所が悪くてそのまま死んだんじゃないかって書いてあったよ。
奥さんと子供は結局そのまま行方不明らしい。冬の寒い時期だったから山中で行き倒れたんじゃないかみたいに締めくくってあったよ。
でさ、この事件どう思う?
俺はこの事件の奥さんてのが、S岳に出る「白い女」なんじゃないかって思ってる。後は山中で聞こえる赤ちゃんの声も、この時の子じゃないかなって。
どうよ、俺の名推理。
結構いい線いってると思うけど。異論は認めん!
簡単に書くつもりがすっげぇ長くなった。我ながらキモいわ。
また明日、学校でお前の意見聞かせてくれよ。んじゃ、お休み!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます