第25話 理不尽に売られる少女

 その日、僕はゾーイさんと共に体重を減らすのにお金を落としそうな所へ突撃訪問していたけど、残念ながらこの店も女将は不在だった。


「体重の話は6日後に来てください」


 そのように女将の代理から言われた。


 しかし、店内に足を踏み入れた時に、豪奢なドレスに身を包んでいるが、俯いて歩く女性がチラリと見えた。


 女将の代理から出直すように言われた直後、僕の目の前を歩いていったんだ。

 だけど、涙を流す美しい少女の顔が僕の視界に飛び込んできた。その瞬間、僕の内側に何か強烈な衝動が芽生えた。


 ゾーイさんが引き続き女将の代理と体重に関する話をしている最中、僕は思わず疑問を口にした。

 

「さっきの少女は何者なのですか?なぜ泣いているんですか?」


「7日後に初床を迎える子だよ。まあ悔しいんだろうさね」


「初床?」


「なんだいそんな事も知らずに遊女を見に来たのかい?7日後に初めての客を迎え、大人の女になるってことさね」


 僕の質問に対する答えは冷たく、現実を突きつけるものだったが、専門用語というか、業界用語は意味が分からなかったが、流石に彼女の迎える運命の意味するところは分かった。

 その言葉を聞いた瞬間、僕の頭は真っ白になった。僕とさほど歳の違わない無垢なる少女が、そんな運命に縛られているとは――。そして、僕の中で何かが弾け、そして決断した・・・

 この子を救うべく、更なる地獄の苦しみが始まろうとしていた。


 この先の展開は、ただの金策以上の何かへと発展していく。


 僕とゾーイさん、そして涙を流す美少女の運命が、この色街の奥深くで交錯していく。


 僕の本来の目的は窮地に立たされている奴隷の少女を救うことだった。

 しかし、そのためには大金が必要で、その支払い期限は5日後に迫っていた。

 更に現在足掻いている最中で、未だに足りていないと来ている。

 ゾーイさんは早速次の行動に移ろうとしたけど、僕は事の全貌を理解したいと思い、もう少し話を聞かせてほしいと頼んだんだ。


 女将の代理は冷たく現実を突きつけてきた。初床の権利は200万g(年収の倍)で、20歳までの身請けは500万gから始まり、1年ごとに50万g減額されるという。

しかし、初床前ならその価格は700万gに跳ね上がる。そして、5年間の性的奉仕を含む奴隷の契約がその少女には適用されるという。この少女は15歳の誕生日を迎えると同時に初床を迎えることになっている。15歳になるまでは奴隷に性的な奉仕をさせられないためで、男を知らぬ女は価値が高いのだと言い放った。

 

話を聞いた僕は熱くなり身請けの話をついした。


「あの、さっきの女性ですが、身請けのお金は何とかします。手持ちの武器を次のオークションで売れば間違いなく身請けするお金を用意できます。ですから、客を取るのを待ってはもらえないでしょうか?」


 僕は女将代理に待ってくれないかと尋ねたが、ゾーイさんはめんどくさそうに僕を睨む。


「それならば一晩につき10万gを払うならば、身請けまで待ちます。ですが、今金策に動いている状況ではお金は無いと思わざるを得ませんが?」


 しかし、一晩10万g出すなら待つとの条件を提示され、現実の厳しさを改めて実感させられた。


 ゾーイさんに引っ張られながら怒られた。


「バカな考えは捨てろ」


 冷たく言われたけど、僕も馬鹿なことだと分かってはいるけど、不憫でならない。


 僕はぐうの音も出ず、尻尾を巻いて逃げるかのように別の店に向かった。


 その後、僕たちは6軒目でついに体重を減らしたいという依頼者に巡り合った。

 10kgの体重を減らしたいとのことで、希望を叶えると50万gを得ることがでた。

そして200ポイントをゲットした。

 

 確かに目標金額には近付いたものの、先程の少女の涙が僕の心を重くしたままだった。


 その少女は没落した子爵家の令嬢で、貴族の令嬢を抱けるというキャッチフレーズで売り出し、見目麗しく気品ある姿もあり、高額が提示されていた。


 しかし、その裏では彼女を救いたいという僕たちの切実な思いと、現実の厳しさが交錯していた。


 僕たち、いや僕はこの複雑な状況をどうにか乗り越え、少女を救う方法を見つけ出さなければならない。

 しかし道は険しく、時間は僕たちにとって最大の敵だった。

 それでも彼女の未来のため、そして僕自身の信念のために、前に進むしかなく、最後まで足掻くと誓った!


 本日のリザルト

 体重操作

 2万g✕6=12万g

 5万g✕15=75万g

 計87万g

 ポイント 420

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