第20話 体重操作カミングアウト

 オシーリスさんがかなり食い気味だ。

 控えめだけど、胸が当たっているよ!いや、僕の顔は埋まっていて息ができません。直ぐに引き剥がしてもらったけど、近くで見ると・・・

大人の女の人の色香にくらくらしそう。


「えっと、ギルドの方と、冒険者の方には1kgにつき2万g,それ以外の方は5万g頂くんです。最低0.5kgから。あっ!もちろんミスティックの皆さんは初回お試しで無料にしますよ!あと、減らしたい人を紹介してくれたら1人につき1回無料にしています」


「ほう?それならオシーリスと私もお願いしようかな」


「ただ、僕にステータスを開示することになります。もちろんバラさないですが、無茶な体重にまで減らすのを防ぐのに、身長と僕の中での最低体重を下回るのをお断りするためです。ただ、これは秘密にして欲しいんですが、それに伴い口頭で良ければですが、ステータスをお伝えすることが出来ます。これはサービスです!」


「そんな事もできるの!凄いじゃないの!ねえねえ、身体で・・・」


 ゴチン・・・


 オシーリスさんの頭にルセリアさんの拳骨が・・・


「いたいけな少年を悪い道に引き込むな!」


「君、筆・・・ギャフン!」


「ご、ごめんなさい。からかおうとしただけですぅ」


 筆がどうしたのかな?僕も読み書きは出来るけど、筆を持っているかと聞いて、もしも文字の読み書きができないと分かった時に、傷付かないように遠回しに聞こうとしたのかな?

 うん。きっとそうだ。

 多分ルセリアさんは、遠回しに文字の読み書きが出来るのかを聞くのは相手に失礼だとか、そんな感じで拳で話したのかな?


「シンディーさんは?」


「アタイか?そうだな、最近少し余分な肉がついちゃったからねえ・・・2kgほど頼んでも良いかい?」


 僕は頷いた。


 他のメンバーも僕の話に心を動かされたようで、彼らは僕にアドバイスをくれた。


「ダンジョンは危険がいっぱいだ。次からはもっと計画的に行動するんだぞ。今回は偶々だと理解しろ!」


 ゲイリーさんが助言をくれた。


「力を合わせる仲間の大切さを知って欲しい。1人だと早々に限界を迎えるでしょう。出来たら直ぐにでも仲間を得た方が良いですよ。ソロは危険なのだと決して忘れないことです」


 ベッカルさんからも言われたけど、その仲間を得るのが一番難しい。


「おいクソガキ、お前体重を減らす力があるって言ったな?どれくらい行けるんだ?」


「身長とお金にもよりますが、100kgの人を60kgにすることもできますよ」


「お前、体重がどれだけ減ったか証明できんのか?」


「いえ・・・」


「話にならんな。体重計を買え。それと契約の書だ」


「ゾーイの意図は分からないが、お金を頂くのなら体重計で前後を測らないとトラブルになるぞ。それと契約の書で約束をしないと駄目なのも事実だ」


「金に困って女をコマしたいなら明日面を貸せ。体重計と契約の書を準備して持って来い。そうだな、夕方にギルドだ」


「ゾーイ、何を企んでいる?私も同行しよう」


「ねぇさんでも駄目だ。女が入れないとこに連れてく」


「ははーん!まあ、いいんじゃない?確かにあそこなら金落とす奴、沢山いそうね」


「あっはい!ゾーイさん宜しくお願いします!」


「ゾーイで良いぜ」


「意外だな。一体どういう風の吹きまわしだ?」


「女を助けようったぁ、馬鹿な話だがだが見込みがある。こいつが女を助けるところを見たくなっちまっただけだよ。おもしれえぇもん見れそうじゃねえか?坊主、俺を楽しませてくれよ。おいおい、ルセリア、そんな目で睨むなって!今回は真面目にやろうとしてんだからさ!」


 ルセリアさんのため息の理由が分からなかったけど、僕は明日、受付嬢さんたちから紹介された人の体重を減らしたりした後、ゾーイさんと何処かに行くことになったんだ。コマスって何? その時、僕はふと思い出した。


「そういえば、僕にはもう一つ大事な約束があるんです。孤児院に妹分がいるんですけど、彼女がもうすぐ14歳になるんです。丘に余裕ができたので、孤児院に迎えに行く予定だったんです。」


 ミスティックのメンバーたちは驚いたような表情を見せた。


「へえ、坊主、そんな一面があったのか。けど、今はその奴隷の少女を助けるのが先なんだな?」


「はい。彼女を見た時、どうしても放っておけなかったんです。だから、どうにかして助けたいんです。」 


「君のその気持ち、分かるよ。大事な約束を守るためにも、今は目の前の課題に集中しよう。妹分のことも、必ず迎えに行けるようにしよう。」


ルセリアさんが優しい表情で頷いた。

僕はあの子を助けたら、次は孤児院にナリアナを迎えに行かなきゃなと改めて己に言い聞かせた。

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