第8話 ダンジョン体験

 前日レベルが上がり、ようやく4になったんだ。

 パーティーを組んでいれば冒険者を始めて6ヶ月ほどでなれるらしいけど、僕は1年と3ヶ月も掛かったんだ。長かった!本当に長かった!でもこれまでの経験が無駄にはならず、むしろ良かったんだと自分に言い聞かせる!


 そしてランクも8に。

 まだまだ若造と言われる見た目と年齢だけど、ルーキーを脱したと判断されるのが、このランク8からなんだ。


 普通ランク8に上がる頃にはパーティーを組んでいるけど、少なくともこの町では低ランク層で(7まではそう言われる)僕を入れてくれるところはない。

 今更感があるから、お互い干渉しないんだ。

 パーティーに入れて欲しいとずっと頭を下げてお願いしていたけど、足蹴にされていた。

 だから断ってきたパーティーに関わるつもりはないんだ。

 僕にも多少なりとは言え意地があるから、逆に頼まれても断ってやる!と言いたいけど、その場合断れるか・・・自信がない。


 新しく手に入れた胸当てを身に着け、他の装備も最適化したのもあり、以前と大き姿が変わった。

そんな僕を見ると、アイシアさんは驚いている。


 特に、前日に久しぶりにレベルが上がり、冒険者としての自分の成長を実感しているし、アイシアさんはおめでとうと祝ってくれたんだ。


 ランクが8に上がり、自分のステータスを見直すと、力は92から100に、体力は94から102に、敏捷は110から121にと、目覚ましい?成長を遂げていたんだ。特に敏捷性の高さは、冒険者としての自分の大きな強みだ。


 ただ、お金がもったいないから冒険者カードのステータスは更新していないんだ。


 持っているスキル【見切り】は、戦闘中の敵の攻撃を予測し、回避する能力を高めてくれる。


 また、ギフト【ステータス操作(体重)】は、その場の状況に応じて自分の体重を微調整できるため、高所からの飛び降りや、速度を要する場面で微妙に役立っている。

 一度体重を減らしたら戻せないと思っていたんだけど、ポイントからは戻せるんだ。

 ただ、各パラメーターに振ると戻せないので、パラメーターに振った方が良いのかな?

 急激に強くなると悪目立ちする可能性があるから、増えすぎた体重はポイントにし続けていて、かなり貯まったんだ。

 ダンジョンに挑むとき、この力がなかったとしたらどうなるか試してから振りたかった。


 だからポイントは全て残したままで、この街最古のダンジョンへの挑戦を決意した。攻略が難しいとされるそのダンジョンで、完全攻略は目指さずとも、一定の深さまで潜れば、貴重なアイテムや経験を手に入れることが出来るので、それを当面の間の目標とした。

 もちろん魔核を売ってお金を得る。


 この挑戦が新たな試練であり、さらなる成長のチャンスであると確信している。これまでの訓練と経験を活かし、ダンジョンの未知の深淵に挑む準備を整え、心は未来への希望で満ち溢れている。


 この街最古のダンジョンの入り口に立つと、今までの冒険で感じたどんな緊張感も、この瞬間に比べれば些細なものに思えてきた。

 門番の怪訝そうな視線を背に、僕は冒険者カードを提示し、ダンジョンの内部へと足を踏み入れた。


 扉をくぐると、そこはまるで別世界。

 歴史が息づく壁、暗く湿った空気が、この場所が長い年月を経てきた証だ。


 1人での挑戦は珍しいのか、入り口付近では他の冒険者たちが僕を訝しげに見ていた。しかし、その視線も気にせず、僕は1階層へと進んだ。


 1階層は予想通り広く、初心者向けの狩り場としては十分すぎるほどだと思う。所々柱や太い道があるけど、入り口付近では他の冒険者の姿が視界に入る。


 地図にある2階層への通路方面に近いところで太い道から脇に逸れると、そこには他の冒険者の姿はなかった。

 僕の目的は単なる狩りではなく、より深い階層へと進み、未知への挑戦と、お金を手に入れることなんだ。


 そう決意し、人目を避けながらさらに奥へと進もうとは思うけど、まずは順を追って魔物と戦い、今の僕に適した魔物のランク帯を見極めないとなんで、焦らずに進む。


 しばらく進むと、とうとう魔物たちが現れた。

 その瞬間、僕の心臓は高鳴り、手にしたショートソードが生き生きと輝き始めたように感じた。もちろん勘違いだけど。


 僕の前にはゴブリンが数匹。地上で見るのより一回り大きいかな?

 奴らは僕を見つけると嬉々として襲い掛かってきた。


 しかし、僕にとってこのレベルの魔物は朝飯前。彼らの動きは遅く、攻撃パターンも単調で読みやすい。

 僕はスキル【見切り】を駆使し、ゴブリンたちの攻撃を軽々と避けながら1撃1撃と、確実に反撃を加えていく。


 

 ゴブリンたちは地に倒れると霧散し、戦いはすぐに終わった。


 僕は一息つき、ドロップを拾う。

 魔核と解体用?にしかならない粗末なナイフを背嚢に入れた。これは始まりに過ぎない。ダンジョンはまだまだ深く、強大な魔物が僕を待ち受けているはずだ。それでも、僕は恐れず、さらに深くへと進んでいく決意を固めた。ここからが、本当の挑戦の始まりだ。



 ダンジョンに入る直前のステータス。


 名前 バンスロット

 身長 168cm

 体重 64.7kg

 職業 冒険者

 レベル 4

 ランク 8

 力   100 (92)

 体力 102 (94)

 知力 63 (59)

 魔力. 93 (84)

 敏捷. 121 (110)

 スキル 

 見切り


 ギフト

 ステータス操作(体重)

 ポイント 1810(0)

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る