第16話

時は、9月27日(日曜日)の朝7時半頃であった。


この日は、小学校で運動会たいいくさいが行われる日だった。


体操服姿の私は、ゆかりと一緒にいた。


ゆかりは、理恵りえが私のおべんとうを作っていなかったので早くおべんとうを作ってと言うた。


理恵りえは『ごめんなさい〜』とつらそうな声で言うたあとやすんでほしいと強要した。


ゆかりは、ものすごく困った声で理恵りえに言うた。


「困ります~…早くおべんとうを作ってください!!」

「ごめんなさい…」

「早く作ってよ!!」

「あの…きょうは…休んでください〜」

「なんで休めと言うのよ!?」

「アタシがガッコーに電話して事情を説明します…ゆかりさん!!きょう1日だけ一徳かずのりくんのそばにいてください!!」


このあと、理恵りえはひどくオタついた表情で黒電話の受話器をあげた。


運動会たいいくさいは、家で不測の事態が生じたので行くことができなくなった。


もめ事の原因は、雅俊まさとしの弟にあった。


雅俊まさとしの弟がよその家の奥さまとフリンしていた。


3日前にフリン相手の奥さまが浴室でリスカして命を絶った…


この日の午後に奥さまの夫が弁護士さんと一緒に家にやって来た。


奥の居間で、雅俊まさとし宏美ひろみ雅俊まさとしの弟と相手の夫と弁護士さんと話し合っていた。


話し合いの席で、深刻なトラブルが発生した。


雅俊まさとしがものすごく怒った声で弟を怒鳴りつけた。


「オドレ出ていけ!!」

「なんだよにいさん!!」

「オドレのせいでオレの人生がダメになったのだ!!」

「ふざけるな!!」

「もう許さない!!」


思い切りブチ切れたフリン相手の夫は、台所へ駆け込んだあと出刃包丁を手に取った。


その後、フリン相手の夫は雅俊まさとしの弟を出刃包丁でりつけた。


「助けてくれ〜」

「ぶっ殺してやる!!」


別の部屋にいた私は、ゆかりと理恵りえと一緒に外へ出た。


それから数分後であった。


外で雅俊まさとしの弟とフリン相手の夫が大乱闘を繰り広げた。


その末に、雅俊まさとしの弟がフリン相手の夫を出刃包丁で刺して殺した。


その後、走って逃走した。


この時であった。


(ドカッ…)


雅俊まさとしの弟は、事件現場から200メートル先の路地で家出中の賢也けんやとぶつかった。


「オドレなんや!?」

「助けてくれ〜」

「ざけんな!!」


(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)


賢也けんやは、ふところに隠していたトカレフを取り出したあと雅俊まさとしの弟を撃ち殺した。


その後、賢也けんやは事件現場から逃走した。


それから30分後であった。


事件現場に愛媛県警けんけいのパトカー10台が停まっていた。


刑事たち30人は、けわしい表情で現場検証をしていた。


私は、ゆかりと理恵りえと一緒にどこかにいたが事態がおさまるまで帰ることができなかった。


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