第107話 ドレイク初討伐の話と新たなクラフト
ファイアドレイク討伐を完了し、ついにキャップ解放に必要な討伐実績を解除した。これで、一気に選択肢が増える。
「卓也さん、お見事です。ドレイク討伐に成功したのは、初めてだと思います」
「ありがとう。でも、過去にはドラゴンを倒した英雄が居るんじゃないの?」
確か3人の英雄の内の1人が、ドラゴン討伐に成功した筈だ。
「ドラゴンについては、そうですね。ただ、過去海を渡って遠征をした人々は居ますし、ドレイクの記録も残っていますが、討伐に成功した記録は私が知る限りでは有りません」
まぁドレイクとドラゴンは別物だから、ドレイクは初なのかも知れない。
「うーん、過去の英雄は海を渡ったりはしなかったの?」
「剣の英雄と冥王殺しの英雄の時代は、被害が大きくてそれどころでは無かったかと思います。大賢者は、津波を退けた後は聖女と結ばれて、そのまま何処かへと旅立たれたと。もしかすると、海を渡ったのかも知れませんが、その記録は正教会でも残されてはいません」
「教会でも?」
「はい。聖女と英雄に関しては正教会が一番正確な記録が残っているかと思います。特に私は聖女について学ぶ中でそうした記録に目を通していますので、恐らくはドレイクを討伐した英雄は居ない筈です」
「そっか。それじゃ素直に喜んでおこう。帰ったら祝杯をあげないとだね」
「はい。ドレイク討伐の実績があれば9等級も得られると思いますよ? 祝杯をあげるのなら、先日飲んだ美味しいお酒が嬉しいです!」
「それじゃフランシーヌが飲みたいお酒を出すとしよう。9等級か。でも今の所は別に困っていないし、どうせその内ドラゴン討伐もするしね。まぁそれを報告するかどうかは別なんだけど。まぁどうするかはまた考えるとしよう」
お酒は、別に毎日飲む訳では無い。まぁちょっと疲れた時とか、ちょっとお祝い事をしたい時とか、あとは週一の祝福の日の夜だ。翌日が安息日の日で休みな事もあって、祝福の日の夜に週の疲れを癒す為にちょっと贅沢をしたり、お酒を飲んだりする風習がある。週末金曜日の夜に羽目を外すのに似ているかも。因みに俺の会社は完全週休二日制だった。
「そうですね。ところで、先程のドレイク討伐で作れる物が増えたんですよね」
「そそ。これで一気に選択肢が増えるよ」
拠点防衛用に新たにクラフト出来る迎撃装置が、魔導迎撃タワー。火、氷、雷の3属性があり、迎撃用の大型クロスボウよりも基本の射程が長い優れものだ。ただし、矢弾の代わりに魔石(小)がエネルギー源として必要になる。
魔石(小)1個当たり、100回発射出来るのでコストは決して悪くは無いが、さすがに大型クロスボウの専用ボルトの様に千や万単位で用意出来る訳では無いので、長期的には弾切れに気を付ける必要が有る。
もっとも初期の頃のアプデ前なら、むしろ1個で100回撃てるので重宝した便利装置だ。同じ1スタックなら、クロスボウボルトは99回に対し、魔石(小)なら99個×100回で9900回撃てる。拠点が増えて来ると矢の補充もそれなりに手間なので、一度にスタック出来る弾数が多い方が、運用が楽だったからだ。
魔導迎撃タワーは、強襲魔導船に標準で備えられている装備と同じものになる。
とは言え上級エリアでも今の所はレジェンド等級の強化型迎撃クロスボウ+鋼鉄の大型クロスボウボルトで火力は足りているので、問題は無いだろう。
ただし上級エリアで紅の月が発生した場合は高確率でドレイクが出現するので要注意だ。その為、外側のエリアに強化型迎撃用大型クロスボウを配置し普段の備えとし、内側のエリアに魔導迎撃タワーを配する二段構えで備える手法もある。
上級エリアなら魔石の獲得率も上がるので、おいおい迎撃能力の向上は考えるとして、まずは先程の原油を採取しようと思うが、その前にまずはこれだ。
拠点に戻っても良いが面倒なので、洞窟の入り口まで戻ると作業台を設置して、目当ての装置をクラフトする。その名も資源探査装置。
造成装置と似た感じの見た目。つまりは意匠の施された謎の箱である。それを足元に設置して作動させると、箱の上面がパカッと開いてカラクリ仕掛けのプロペラが出て来る。そしてプロペラが回り出すと、ブーンと音を響かせながら空に向けて垂直に真っ直ぐ上がっていく。
資源探査装置は使い切りアイテムで、効果は半径10㎞圏内に隠された鉱物資源を見つけ出すと言う優れものだ。しばらくすると、MAPの至る所に資源マーカーが表示される。
空へと舞い上がった資源探査装置は、使い切り故か落ちて来る様な事は無い。あれは一体何処へと消えるのだろう。
そう言えば、確か検証した人も居た筈だ。かなりの高高度まで上がって探査を行うと、役目を終えれば不要とばかりに消えて無くなってしまうのだそうだ。
それはさておき、MAPに目を向ける。概ね1㎞×1㎞の範囲に1カ所、半径10㎞なので、面積で言うとざっと300㎢。効果範囲内の地図上に、ざっと300前後のマーカーが表示される。これは、そこに鉱物資源が存在する事を意味する。
ただ、この探査装置だけではどんな鉱物資源が埋まっているのか迄は確認する事が出来ない。そこで、重油を見つけた場所へと向かうついでに、通り道にある鉱物資源を採取、もとい採掘する事にした。
5分も歩くと、一番近いマーカーに辿りつく。Mapには資源マーカーが表示されているが、現地へ行っても何か変化がある訳では無い。ここをピッケルで掘ったからと、資源がザクザクと掘れる訳でも無い。これを有効に活用する為には、セットでクラフトが出来る様になった、鉱床自動採掘設備が必要になる。
と言う訳で早速鉱床自動採掘設備をクラフトする。出来上がった巨大な設備。高さ5m程の円形で先に向かって少し細くなった、一見すると塔、もしくはサイロの様にも見える。外から中の仕組みを伺う事は出来ない。設置した設備を作動させると、地中から鉱物資源の採掘を開始する。
この様に、探査装置はこの採掘設備とセットになっている。実際に地中に何が埋まっているのかは実際に採掘設備を稼働させる迄は解らず、探査装置によりMapに表示されたマーカーの場所で採掘を行うと幾つかの候補から抽選されたいずれかの鉱物資源を採掘してくれる。因みに採掘出来る鉱物資源は1マーカーあたり1種類のみだ。
上級エリアなら、次の鉱物が採掘出来る。
銅、鉄、硫黄、硝石、大理石、消石灰、黒曜石、ミスリル
確率的にはミスリルが非常に稀。魔導ユニットのクラフトに必要なミスリルが当たり枠になる。
1カ所から採掘出来る数量は100~1万。少なく感じるが、ミスリルを自力で採掘しようと思えばそこそこの手間がかかるので決して少なくは無い。
なので上級エリアに到達すると、しばらくはひたすら新規エリアを開拓して、採掘設備を設置する作業を行う事になる。
因みに前に採掘したウランを含む、アプデ後に追加された鉱石を自動採掘出来る様になるのはかなり先の話だ。タングステン、チタン、アルミニウム、ウラン。特にチタンとアルミニウムは宇宙進出には大量に必要となる素材だ。
さて、マーカーを回って採掘設備を設置する作業は俺一人でも問題無いとは思うが、フランシーヌが居てくれれば周囲の警戒と魔物の対処をしてくれるので楽ではある。と言う訳で、マーカーを頼りにせっせと採掘設備を設置する。
技術レベルのキャップ解放に伴い、現在の技術レベルは一気に50まで上昇している。造成装置の上級装置である大型造成装置のクラフトが可能になったので、整地作業もあっと言う間だ。
大型と言うだけあって、サイズが1辺1mに巨大化しているが、見た目は箱なのは変わりが無い。造成速度が大幅に向上していて、造成装置が1秒あたり4ブロックだったのに対して、大型造成装置は1秒あたり16ブロック。範囲も拡大されており、高低差が上下40ブロック、1㎞四方まで一気に造成する事が可能だ。
まぁ造成装置の利用方法は、造成そのものよりも、土や石を大量に必要とする時に1㎞四方、深さ20mを一気に掘り起こす使い方がより多い気もする。なにせ、それだけの範囲の土を掘り起こせば最大で40万ブロックも獲得出来るのだから。ただし、造成装置による採掘は、希少鉱石は通常枠の鉱石に置き換わってしまうので、希少鉱石目当てでの採掘には利用出来ない。後、流石にそれだけのブロックを造成装置1つで掘り起こそうと思えば30日近くの時間を要する。まぁそこは数置けば良いだけだな。
造成装置を利用して採掘出来ない希少鉱石枠は、各種宝石、各種属性宝石、銀、金、ミスリル、アダマンタイト、ヒヒイロカネ。そしてアプデ以降の追加分のタングステン、チタン、アルミ、ウラン。
裏を返すと硝石、硫黄、大理石、黒曜石、消石灰は通常枠なので、大型造成装置を利用すれば、そこそこの頻度で入手が出来る。
大理石が大量にあれば、DLCの建築レシピを試せるので、まとまった範囲の造成を利用した採掘も行おうと思っている。
原油の沸き出し口に至る最短ルートに近い採掘ポイントを回りつつ、計5カ所のマーカーポイントに鉱床自動採掘設備を設置した。5カ所の内訳は、鉄1、硫黄1、硝石1、大理石1、そして何と当たり枠のミスリルが1カ所。しかもミスリルの埋蔵量は7500だった。これで、装備や設備の更新も一気に進む事だろう。
ところで、この7500が多いか少ないかは意見が解れる。ただ、参考としてだが鉱石5個でインゴットが1つ。インゴットが10個でミスリルの剣がクラフト出来る。コモン等級であれば10個で良いのだが、これをレジェンド等級でとなると、実に200倍の2000個必要になる。鉱石で言うと、なんと1万個だ。まだまだ先は長い。
因みに鉱床自動採掘設備を作動させると、地図上のマーカーは表示されなくなる。最初の1個を採取出来れば当たりか外れかも解るし、埋蔵量も確認出来る。
外れた場合はさっさと設備を解体して次に進む。当たりなら城壁で囲って迎撃装置を設置する。近くの転移門からそれ程距離が無ければそのままだし、多少離れていれば転移門の設置も行う。
そうして2時間程かけて原油を発見したポイント迄戻ったのだった。
◆Memo
資源探査装置による、鉱物資源の抽選確率は下記の通り。
抽選は%Ðで決定。埋蔵量は%Ð×100
鉱床自動採掘設備の採掘速度は1分あたり1。1日でMax1440
01-25:銅25%
26-55:鉄30%
56-65:硫黄10%
66-75:硝石10%
76-85:大理石10%
86-92:消石灰:7%
93-97:黒曜石5%
98-00:ミスリル3%
%Dは、パーセントダイス。0~9の数字が掛かれた10面のダイス(サイコロ)を2つ用意する。いずれか一方を10の位として読み、00は100と読む。2つ振る事で、1~100の乱数を得る事が出来る。エターナルクラフトでは、何故か乱数はダイス表記をされている。
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