第58話 迷宮の話、家の増築
「凄い金額ですね。」
「2人の偉業はそれだけの事だと言う事だな。」
「これだけの大金、普通はどうやって使うんですか?」
「使い道?そうだな、うーん。何処ぞの領主にでもなるとか、自分で町を作るとかか?言われて見れば俺もピンと来ないな。冒険者であれば、迷宮産の名剣魔剣を買い求めたり、上級の魔物から採取できる装備品を求めたりって手もあるが、多分お前さんなら必要では無いよな。」
そんなに簡単に領主になれるのだろうか。領有権とかはどうなっているのだろう。それに迷宮産って、なんだろう?
「そうですね、装備品に関しては自分で調達した方が早いと思いますが、迷宮産って何ですか?因みに最上位の武器の場合、どんな素材で作られているんですか?オリハルコンとか?」
素材のグレードで言うと、鉄→鋼鉄→黒曜石→ミスリル→アダマンタイト→オリハルコン→ヒヒイロカネと、エンドコンテンツならヒヒイロカネ迄用意されている。この世界だと、どうなのだろうか。
「オリハルコン製なんて、伝説に出て来る位だな。噂じゃ聖剣の聖女様が携えていた剣がオリハルコン製だったって話だが、聖女様が亡くなられた時に失われたから真偽は解らん。迷宮産なら良くてミスリル。極稀にアダマンタイト製が出るが、そのクラスになると値段は天井知らずだぞ。迷宮産と言うのはだな。。」
迷宮産と言っても、迷宮から鉱石が採掘出来たり、迷宮で製造されたりする訳では無い。迷宮と言うだけあって稀に宝箱が有り、その宝箱から様々な物が発見される事があるのだそうだ。そうした迷宮から発見される武器や防具は人の手による製造が困難な為、迷宮由来の産物として、迷宮産と表現をされている。
「アダマンタイト製ですか。なら私には必要にはならない気がしますね。となると、どうしましょうかね。使い道はちょっと考えて見ます。それはそうと領主って簡単になれるものなんですか?」
「勿論簡単じゃないだ、普通はな。魔物から領地を守れるだけの護りと戦力が必要になる。通常は国や大貴族主導で、それこそ何年もかけて町を作るんだ。だがなぁ、お前さんなら結構簡単に出来ちまうんじゃ無いのか?たった1日であれだけの魔物を退けるだけの戦力を用意できるんだ。」
「それは、そうかも知れませんね。でも、出来るとして、勝手に拠点や町を作っちゃっても良いんですか?」
まぁそれを言い出したら大蜘蛛の森に設営した拠点もどうなんだと言う話しだが、まぁあそこまでは早々に立ち入る人は居ないから多分問題にはならないだろう。だが、今後は色んな場所に拠点を作るつもりだ。その土地を治めている領主とのいざこざは、避けられるなら避けておきたい。
「よほど既存の町に近く無ければ問題にはならないんじゃないか。そもそも、大陸の大半は魔物の領域だ。そんな場所に勝手に町を作って領有権を主張しようなんざ、普通なら正気とは思えん。それに正式に8等級の認可を受けてしまえば、文句が言えるのは王族位なものだ。王族なら、それ程の戦力を有した相手に喧嘩を売ろうなんて馬鹿な事はしないと思うぞ。」
「仮に対立をしたとしても、正教会が黙ってはおりません、ご安心を。」
にっこりと微笑むフランシーヌ。その笑顔はまるで安心出来ない類のものだ。トラブルになるなら、一戦も辞さないって奴だな。
「まぁそうはならない様に気を付ける事にします。」
「そうしてくれ。ギルドとしてもお前さんと事を構えるつもりは毛頭ない。国にもギルドを通じて、それとなく通告をしておくよ。」
「お願いします。」
と言う訳で、粗方話しは終わったかな。報酬の受け取りについては5日後に約束をしてギルドを辞去した。
現金で用意する事はさすがに無理なので、金貨5千枚ずつの預かり証を発行して貰う事になる。それでも預かり証1つで金貨5千枚、つまり5億円相当だ。アタッシュケースで5個分。ほんと、使い道どうしよう。
拠点が一カ所あれば生活の基盤は出来る。野菜の収穫も出来る様になり食料に困る事もなさそうだから、今後お金を使う先があるのかはちょっと疑問。投資先があるなら投資してみるのも良いかも知れないな。
支払いが出来るのはもう少し先になるとの事。当初は火山を目指す予定だったが、奇しくも襲撃イベントのお陰で早期にフィールドボスの3体撃破を達成する事が出来、色々と選択肢が増えた。その為、まずは2日かけてひたすら採掘を行う。目的は地下深くに稀に存在する溶岩流だ。
地下にはいろんな物が埋まっている。地下水脈に稀少鉱石の鉱脈に溶岩流。溶岩流にぶち当たれば、火山まで行かなくても黒曜石の採取が可能になる。
今までの採掘では溶岩流に当たる事は無かったが、2日目にしてついに溶岩流へと辿り着く事が出来た。
溶岩流の傍には、資源オブジェクトとしての黒曜石の塊がたまに配置されている。本来なら火山バイオームで採取出来る火炎草からクラフトが可能な耐熱ポーションが無いと、とてもでは無いが暑くて溶岩流に近寄る事が出来ない。だが、幸いクイーンジャイアントスパイダーの素材で作った装備品がある。これは耐熱ポーションに準じる程度の耐火性能があり、黒曜石の採取程度の短時間であれば十分に耐える事が可能だ。
次に、家の地下に巨大な拠点を作る事にした。クラフトが可能になった鋼鉄素材を使って、ぐるりと鉄製の壁で囲ったシェルターの様な作りだ。
鋼鉄をクラフトする為には高炉が必要になる。これが以外と大きく、家の庭に設置できる様な代物では無かった。仕方がないのでイザークさんに相談をした所、あっという間に調整をしてくれて、隣3軒分の土地を用立ててくれた。
新たにエントランスを設けて、そこに自動化装置を設置する。家の敷地は拡張して塀で囲い込み、分厚い扉を設置する。そして、改良された炉と高炉を設置して鋼鉄をクラフトした。高炉の煙突部分の高さは10m位あって、いきなり町中にそんなもにが出来れば注目を浴びたり不安を煽ったりする気もするが、多分今更だろう。
俺がここに居を構えている事は既に広く伝わっていて、それこそ一日中家の周りには誰かが来て、手を合わせている姿を見る事が出来る。いっそ教会っぽい建物でも建てた方が良いだろうか。
拠点内に侵入する為には塀を飛び越えるか、それこそ壁か扉を破壊しなければならない。人の拠点に侵入を試みれば敵対行動と見做され、エネミーカラーになる。そうなれば迎撃装置が作動するので、勝手に侵入する事は凡そ不可能だろう。
扉の前には警告文を刻んでいるので、あえて無視して俺の拠点に侵入するつもりなら容赦をするつもりは無かった。
迎撃装置も技術レベルがもう少し上がれば、その内新調するつもりだ。
いっそ門の前に見張りでも建てた方が良いかも知れないな。
町の防衛施設として、自動化装置と補充用の矢をしまった収納箱には注意をして貰う必要がある。悪意を持って攻撃を加えなければ破壊はされないだろうが、それでも念の為だ。イザークさんに相談をしてみれば、その内衛兵隊で歩哨を立ててくれる事になった。
衛兵が利用をしやすい様に、エントランス部分に小屋、小屋と呼ぶには少々大きいが家と呼ぶほどではないので小屋と呼んでいる施設と、序でにその脇に井戸を設置した。小屋の中は好きにいじって貰う様にしている。
その後、必要素材の確保が出来たのであらたな設備をクラフトする。交通手段の確保については色々と悩んだが、結局、まずはこれを設置する事にした。技術ツリーの開放によってクラフト出来る様になった課金レシピ、その名も転移門である。
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