第34話 内装の一新

次は家具のクラフトを行う。調度品として高級家具が色々と追加されているので、部屋の内装をがらりと変える事が可能だ。


高級木材のテーブル、高級木材のダイニングテーブル、高級木材の椅子、高級木材のソファー、高級木材のチェスト、高級木台のクローゼット、水洗トイレ、バスタブ、大きな浴槽、流し台、スパイダーシルクのカーペット、スパイダーシルクのカーテン、スパイダーシルクのタペストリー、高級木材の窓枠、装飾された銅の燭台、装飾された銅の壁掛け燭台、洗面台、高級食器棚、高級調理台。


水回りが必要な家具は、畑に水を引いたのと同じように石のパイプで井戸と接続をすれば利用が可能になる。壁の後ろに配管用のスペースを確保して、設置した家具に次々とパイプを繋いでいく。パイプは壁を貫通してセットが出来るので、配管が必要な家具は壁にそって配置をして壁の向こう側にパイプを送り、配管用スペースを見えなくすればスッキリさせる事が出来る。


バスタブは海外の映画なんかで良く見るような形の浴槽。大きな浴槽は高級木材を使用した温泉で見かけるヒノキ風呂みたいな感じ。2×4mのスペースが必要で、フランシーヌと二人でもゆったりと入る事が出来る。


設置した途端にお湯が張った状態なのは、ゲームなら当たり前だったがリアルなら驚き。湯は既に適温で何時でも入れる状態だった。水が張ってるのはまだしも、どうやってお湯沸かしてるんだろうな、これ。


部屋の壁は、何か所か窓枠と交換して、カーテンも設置する。名称は窓枠となっているが木製の両開きの窓がちゃんと付いている。普通の木材で作れるのが窓枠で、そっちは本当に灯り取りの為に枠があるだけ。それに高級を冠しただけのネーミングだからだろうけど、デザインは雲泥の差だ。


次いでスパイダーシルクなら山ほどあるから、生活空間の床にはカーペットを敷き詰めておいた。ブロックに会わせて設置するだけで隙間なく敷けるので簡単だ。


ダイニングテーブルと、向かい合わせでソファー。その他の家具も色々と配置をしておく。

洗面台には大きな姿見がついていた。鏡そのもののクラフトはまだ先なので、現状では多分一番早く鏡が作れるレシピだと思う。

鏡自体はレシピはある。ただ、クラフトするには砂漠か海岸沿いの砂浜で採取可能な砂を素材としてガラスをクラフトしなければならない。地図を確認して貰った限りでは近場に砂漠も海も無かったので、ガラスの入手はもう少し先になると思う。


今までの、ベッドが置いてあるだけの殺風景な空間から、一気にちゃんとした家の内装に様変わり。全ての設置が終わって一段落すると、取り合えずソファーに座って深く息を吐き、座り心地を満喫した。


素材に大型魔獣のなめし革を使用するだけあって、上品な革張りのソファーだ。座り心地も肌触りもとても良い。こんな感じのアンティークなソファーを実際に買ったら、幾らするんだろうな。こうして住環境が整ってくると、元の生活よりも格段に快適に思える。これで空調さえ整えば完璧なんじゃ無いだろうか。


流し台は2階に設置したが、高級調理台は耐火性が高いとは言えリアルで木の床の上に設置するのは不安があるので、1階に専用のスペースを設けてある。木材を燃料にオーブンと煮炊きが可能になっている。


俺がソファーで一息付いてる間のフランシーヌと言えば、俺が設置した家具の触り心地を1つ1つ試している。高級木材の家具シリーズは全体の色調が統一されていて木目が鮮やかで美しい。各所に精緻な模様が彫刻されている。こうして並べて設置をすると部屋の高級感が一気に増した気がする。このソファーもだけど、実際に購入するとしたら幾らするんだろうな、これ。


「ご主人様、あちらの部屋の家具は何に使うものなんですか?」


そうフランシーヌが質問をしてきたのは、別の部屋に設置した水洗トイレだった。

専用に仕切った部屋に設置していて、壁にはセットでトイレットペーパーが据え付けてあるし、石パイプで配管を繋いでいるのでちゃんと水も流せる。ウオッシュレットはさすがについてはいなかったが、今までの苦労を考えるとこれだけでも泣きそうになった。


ただ、流した後の排水が何処へ消えるのかは勿論謎だ。


フランシーヌにトイレの使い方を教えると、非常に興味深そうに頷いていた。町でも木製の便座を設置している店はあったので、使い方については想像出来ないものでは無いと思う。しかし、陶器製の便座は普段俺が使用していた物と遜色は無いから、確かに普段使用しているトイレと直ぐに結び付けるのは難しいのかも知れない。

試してみるにしても、出そうと思って出るものでは無いから、使い心地はその内聞いてみるとしよう。


トイレットペーパーの補給については再設置でリセットされて補充されるので、当面は俺が利用する度に都度再設置をしようかと思う。流石にトイレットペーパー単品のレシピは記憶に無い。ところが、無いと思ったのだが後日レシピを確認したら課金レシピで用意されていた。


文明レベル2では近代~近未来を想定しているので、特に現代を想定したディスプレイ用の生活雑貨が結構な種類用意されていた。まぁ作れる様になるのはかなり先の話なので当面は何か対処方法が必要になる。いっそ、スパイダーシルクを予備の尻拭きとして常備するのも有りかも知れない。


トイレ以外だと、洗面台や大きな浴槽の仕上がりも驚いたが、フランシーヌが一番驚いたのは高級食器棚だ。ゲーム中は設置しても、そこに納められた食器を使う機会なんて無いから内装を飾る装飾品としての扱いだった。それがリアルでは戸を開けてみれば、食器棚には絵付けのされた高級そうな食器類が並んでいる。ナイフやフォークといったカトラリーも揃っていた。


「この食器はとても綺麗ですね。陶器でしょうか。こんなに白い陶器は見た事が有りません。それに模様もとても素敵です。」


町で見かけた食器は、ほぼ木製だった。高級な物になると花や草を意匠化した彫刻が施されていたり、染料で絵が描かれていたりした。数は少ないが陶器の食器を扱っている店もあったが、結構な値段だった気がする。

詳しくは無いが陶器は白いだけでも高級なんだっけか。食器棚に並んだ食器は濁りの無い白地に、鮮やかな青を基調に赤や黄色で絵付けがされている。有名ブランドの食器でこんな感じの物を見た事がある気がする。


「今度、料理を作ってみたいです。町に戻ったら、市場で買い物をしても宜しいでしょうか。」


調理台もあるので、その内料理も作ってみたいとの事。そう言えば料理はクラフト頼みで自分で作る事を全く考え無かったが、リアルなら自分で作る事も可能だ。

俺には自炊経験が無く殆ど外食か弁当で済ませていたので、最初から選択肢に無く考え付かなかった。フランシーヌの料理の腕前は未知数だがフランシーヌの手料理なら直ぐにでも食べたい。輸送手段を確保したら、町で色々と食材を買い込むのも悪くない気がする。


「そうだね、今度町に行ったら、色々と食材を買ってみようか。畑の野菜が実ったら、そっちを使ってもいいよ。」


「宜しいんですか?その時はお願いします。」


俺の作った畑の食材を使うのは遠慮していたみたいだ。フランシーヌが手料理を振る舞ってくれるのなら、食材として使用して貰う事には勿論異論は無い。ただ食材はあっても調味料が無いから、せめて塩や胡椒位は町で買い出す必要があると思う。


中ボスを撃破すると、魔導化技術をアンロックする事が出来る。そうなればゴーレム馬と馬車がセットで作成可能だが、かなり先の話だ。課金レシピの中には入手が容易な移動手段もあった筈なので、後で確認をしておこう。

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