第31話 ボス討伐の準備と拠点拡張とトイレ事情

翌日は1日かけて予定通りボス討伐の為の準備を進めた。


ボス戦の最中、ボスは配下のジャイアントスパイダーを多数召喚する。その横槍を防ぐ為に、ボスフィールドの周囲は高い壁でぐるっと囲んでしまう。壁の上に屋根を設置して足場として、屋根の上に迎撃用のクロスボウを設置するが、高さが不十分だとボスの攻撃で破壊をされてしまうので、結構な高さを確保する必要があった。


ついでに配下の出現を阻害する為に、ジャイアントスパイダーの巣を排除する。一応素材として採取する事も可能ではあるが非常に手間がかかるので、巣は松明であっさりと焼き払う。巣の端に松明で火を着ければ、炎が舐める様にあっと言う間に燃やし尽くしてくれる。大木は耐火性が高く燃えにくいので炎症の心配も無い。


ボスフィールド迄の道のりは緩やかな登り坂が続くが、ボスフィールドは浅いすり鉢状になっているので境目は一目で解る。フィールドの中央には円形に蜘蛛の巣が張り巡らされた場所があり、あの下にクイーンジャイアントスパイダーの寝床がある。フィールドの中に足を踏み入れれば、あそこから這い出て来る訳だ。ボス不在の場合は蜘蛛の巣は無くなっているので、ゲームと同じ仕様であればあの巣がクイーンジャイアントスパイダーが存在している証左だ。


昼過ぎには準備が整う。思ったよりは早く準備が出来たので挑んでも良いが、急ぐ事でも無いし、予定通り明日挑む事にしよう。


その後は拠点の拡張を行う。


余り広くしすぎるとそれはそれで面倒な気がするので、現在の100m四方から150m四方に拡張する。それでも単純な面積なら今の2倍強だ。

次に拡張した拠点の境界にそって、壁、バリケード、迎撃用のタレットを設置していく。拠点内には自動化装置を配置しているので、一続きで壁で囲い込まれた内側は拠点内と見做される。拠点内であれば収納箱に矢玉を入れておけば勝手に補充をしてくれる。


タレットに設置する迎撃用大型クロスボウは全てレジェンド等級に置き換えた。4角とその中央の計8基設置。レジェンド等級は攻撃力、射程がコモン等級の2.5倍なので、射程は375m。ジャイアントスパイダーの跳躍力は精々50m位なので、どれだけの数で押し寄せても拠点に辿り着く前には全て射殺す事が可能だ。


壁を再設置して拠点を広くしたら、次に拡張した部分に畑を設置していく。クラフトした畑を指定して設置するだけで、レンガに囲われて耕された畑が簡単に出来上がる。畑の中央には自動散水装置を設置。


次に家の隣に井戸を設置する。井戸さえ設置すれば水は使い放題だ。

井戸には最初から手押しポンプが設置されているので、ギコギコとレバーを動かせば蛇口からジャーと水が流れ出す。ただし、リアルモード前提だが。

ふと思い付いたので、物は試しで井戸の周囲の床面に石ブロックを敷き詰め、レンガを2段積んで囲い込む。リアルモードに切り替えて水をじゃんじゃん流せば、水を溜めるのに少し時間が掛かったが即席の水風呂の完成だ。早速フランシーヌと2人で裸になって水風呂を楽しんだ。


その後はクラフトモードで囲ったレンガの壁を取っ払ってしまえば、水はざーっと流れ出し片付け完了。季節は夏、クラフトモードのお陰で殆ど暑さを感じない俺と違って、フランシーヌは汗だくだったので思い付いて良かった。クラフトモードでは井戸を操作しても水は流れ出さないので、工夫次第だなと改めて思う。


因みに上位のレシピであれば噴水がクラフト出来るので、噴水を設置すれば水源として活用する事が可能だ。まぁ噴水があればいつでも水風呂を楽しむ事が可能だが、噴水のレシピをアンロックするよりも先に、明日クイーンジャイアントスパイダーを討伐して家具類をアンロックする予定なので、風呂のクラフトが出来る様になるのが先だろう。炎天下の中の水風呂も楽しいが、やっぱりゆっくりと風呂に浸かりたいと思う。


でも、そこそこの広さを囲って、噴水で水が自動で溜まる様にしておけば、それはもうプールみたいな物だ。プール付きの一戸建て。何だか良い感じがする。


その後は、畑の隣にも同様に井戸を設置し、井戸と畑に設置した自動散水装置を石のパイプで接続する。これで今後は畑に勝手に水を散水してくれる様になる。

クラフトモードでは散水装置が機能しているエフェクトで、細かな霧状の水が畑に撒かれていた。


畑への種まきはリアルモードでの作業なので、そこからはフランシーヌに手伝って貰って2人で種を蒔いていく。間隔などは適当。取り敢えず20cm間隔位で畑に指でズボッと穴をあけて種を埋めていく。

さすがにリアルモード中は、散水装置もずっと水を撒いている訳では無かった。それでも何10分か置きにさぁーっと水を撒いてくれる。霧雨状の水は畑を潤すだけでは無く周囲の温度も下げてくれる様で、拠点の中が一気に過ごし易くなった。


畑は結構面数を用意している。種の種類も豊富で、トマト、キュウリ、ピーマン、ナス、キャベツ、レタス、小麦、ジャガイモと様々だ。他にも果物の種もゲット出来たので、リンゴ、ブドウも植えて置いた。果物は最初の実を付ける迄に10日掛かるが、一度実を付けると後はゲーム内時間で5日毎に実を付けてくれる優れものだ。


適正な季節がバラバラだが、エターナルクラフトの仕様なら季節は関係が無いから物は試しだ。もしブドウが実ってくれれば、将来的にはワインの醸造も可能になるだろう。


最後に家の拡張を行う。今のままでも不足は無いが、家の中はがらんとしていてリアルだと殺風景に見える。一階部分の天井を高くし、家の面積を拡張した。

クラフト用の各種装置の間は壁で仕切って視線を遮る事で殺風景な感じを払拭する。2階部分は階段を上がって直ぐの踊り場に壁と扉を設置する。中も寝室とリビング、明日設置予定の風呂と部屋を分けていく。現時点でも作成出来る家具は有るが、どうせなら高級木材を使用した家具類を設置したい。


ところで、目下のところ一番何が問題かと言えばトイレだ。

ポール達と出逢うまでは勝手が全く解らなかったので、1ブロック分地面に穴をあけてそこで済ませた。終わったら後は埋めてしまえば元通り。尻を拭くのは最初の頃は諦めた。ポール達と会ってから観察をしてみたが、基本は変わらなかった。その辺で適当に穴を掘って、そこで済ませる。

町では各所にトイレはあるが、木製の便座が設置されていて下方に置いた大きめの陶器製の壺で受ける形になっている。町周辺は穀倉地帯で、排泄物は肥料として有効活用されているので、少なくとも2〜3日に1度の頻度で壺は交換されていた。


トイレ後のお尻は拭かずにそのままな事も多い。

井戸が近くにあれば、下着は身に付けて無いから服をたくしあげて、そのまま井戸水で洗い流す。町では井戸の周りで、視線を気にせずに下半身を丸出しにして洗っている光景を度々目にしたので、現代人とは感覚が全く異なるのだろう。

文化によっては未婚の女性の肌はなるべく露出させない、なんなら顔も見えない様にする風習もあるが、ここでは特にそうした文化は無い様で、服装を見てもかなり解放的に感じた。神に仕えるフランシーヌでも、私服のワンピースは胸元が解放的だった位だ。


トイレは、俺もクラフトモードなら便意は催さず全く気にならなかったが、長時間クラフトモードで過ごすと、その内お腹も空けば疲れも感じる。便意についてはリアルモードに切り替えた瞬間に一気に押し寄せる感じだ。1度やばい目にあったので、今では長時間の採取中でも休憩を挟んでトイレを済ませる様に心掛けている。

現在拠点内には簡易のトイレを設置している。木の壁と扉で囲っただけのスペースに、真ん中の地面にクラフトした壺を埋めておき、そこでトイレを済ませる。1日に1回は壺ごと、メニュー画面からゴミ箱にポイだ。新しい壺を設置しなおせば、比較的清潔にトイレを済ませる事が出来た。

フランシーヌはと言うと、身を清める効果がある魔法があるそうで、トイレの後の処理は大半はそれで済ませてしまうのだそうだ。


俺はと言えば最初は植物の繊維で編んだ麻布を使用したが、お尻が痛かったので諦めた。次に綿で編んだ綿布を使用してみたが、今の所綿花は入手数が限られるし、現代のトイレットペーパーに慣れ親しんだ身体では綿布でもきつかった。

そこで贅沢にもスパイダーシルクのカーペットを試してみた。肌触りは最高だったが、いかんせん元はカーペットだからカットが手間だし厚みもあって使用しにくかった。

スキン変更で簡単に洋服を利用できる事が解ってからは、面倒でも服をカットしてお尻を拭いてる。

スキンを変更するとカットした布も消えてしまうので、トイレの度にシャツを脱いでカットするから、トイレの際は上半身裸になるのは誰も見ていないとは言えちょっと恥ずかしい


クイーンジャイアントスパイダーを討伐する事で解放されるレシピにはトイレもあるので、どんな作りになっているのかに期待するしか無かった。ボス討伐後はスパイダーシルクのレシピが開放されるので、最悪は贅沢でもスパイダーシルクをカットしてお尻拭きに利用をしようと考えている。スパイダーシルクの使い道はそれ程多くは無く、現状素材は余っている状況なので、それはそれで構わない気もした。

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