第23話 フランシーヌのスキン変更

町中なら鎧を着込む必要が無いとの事で、勝手が解らないから苦労して鎧を脱がせる。ゲーム仕様のとんでもパワーで一体成形の鎧を装着しているのかと思ったが、基本的な作りはリアルと変わりは無いそうで、何箇所かの留め具と革紐を解けば脱がす事自体は可能だった。


ん、そう言えばNPCと契約が出来るなら、スキン変更もいけるんじゃ無いのか?すっかり忘れてた。。。


ここ1年は、特に戦争の準備の為に延々と素材採取とクラフトをしていたので、NPCの設定をいじる暇が無くて忘れていたのだ。


大型アップデートでお気に入りのNPCを連れ回す事が出来る様になった事から、装備に限らずスキンについても変更したいとのユーザーからの要望が多かった。

デザイナーズノート曰く、装備を変えてしまえば装備品のグラフィックに固定されるので、最初はスキン変更の必要性は感じなかったそうだ。だがクラフター達は装備でステータスを底上げするよりも好きなスキンで見た目を飾る事を求めた。特に自分のスキンは一人称視点のエターナルクラフトでは余り見る機会が無い。一緒に連れて歩けるNPCを着飾りたいと思うのは自然な事に思える。


それに文明レベルが上がるとより直接敵と戦う機会は減るので、NPCに装備を持たせる必要性が低い事も理由だった。

と言う訳で、後のアップデートでスキンの変更機能、更に後々には装備品表示のON/OFF機能が追加された。


慌てて確認すると、ちゃんとスキン変更と装備表示のON/OFF機能がメニューに追加されていた。


「フランシーヌ、気が付かなかったんだけど、装備品の着脱もメニューからいけるみたいだ。試していい?」


「勿論、お願いします。」


試しにOFFにすると、さっき苦労して脱がせた鎧が一瞬で消えた。ONにするとちゃんと装備した状態になる。結構苦労して脱がせたんだけどな、もっと早く気付いていれば。


「鎧外すの結構大変だったんだけどな。でも今度からは苦労をしなくて済みそうだね。」


「そうですね。本来は体形に合わせて鍛冶屋で調整して貰うものですし、着脱にもそれなりの手間が掛かるのが普通なんですが、さすがご主人様です。」


「まぁ俺のって言うよりはメニュー?システム?のお陰なんだけどね。それじゃ次は服の変更を試してみるね。」


l早速フランシーヌに断ってスキンの変更をしてみた。


折角なので選択するスキンは少しでもエロいやつ。胸元の開いたイブニングドレスのスキンを選択した。

スキンにはバニーガールとかボンテージ衣装なんてものもあったりする。けど、さすがに初っ端からそんなスキンを選んではフランシーヌにドン引きされる気がする。ギリギリ妥協した結果がイブニングドレスだ。それにドレスの素材や下着がリアルモードでどんな感じで表現されるのかも気になった。


一応エターナルクラフトは全年齢対象だけど、課金アイテムの中にはそれなりに際どいものがそこそこ用意されている。それこそ下着とガーターベルトのスキンとか。フランシーヌに着せてみたい。しばらく悩むがそこはぐっと堪える。


「どうかされましたか、ご主人様?」


「い、いや、何でも無いんだ。どんな衣装にしようか悩んでてさ。」


何かを察したらしいフランシーヌがにっこりと微笑んでくれる。うーん、流されてしまいたい気持ちが沸々と湧き上がってくるが、気持ちを振り払う様にスキンを選択した。


スキンを変更すると、問題なくイブニングドレスを身につけたフランシーヌがそこにいた。ドレスに合わせて髪もアップにした状態だ。そう言えば一部のスキンは髪型も変わるんだっけか。


「フランシーヌ、どう?」


鏡があれば自分で見ながら確認できるだろうが、鏡のレシピは意外とレベルが高く、作れる様になるのはまだ先の話だ。フランシーヌが自分で触って確認する。


「この服凄いですね。腰回りが程よく締め付けられて、気持ちが良いです。それにこの生地、とてもすべすべしてるし、あと光ってます。それに、これは何ですか?」


窓から差し込んでくる光を乱反射してドレスはキラキラと光沢を放っている。サテン地だろうか。確か生地の織り方で、素材によっては独特の光沢を放つんだっけか。

そしてこれは何かと聞いているのはブラジャーの事だろう。今はブラジャーで胸が寄せて押し上げられて、先ほど鎧を装備した時以上に美しい胸の谷間が強調をされている。フランシーヌは胸を下から持ち上げたり、アンダーラインをなぞって胸のラインを確認したり。


「それに先程の鎧もそうでしたけど、これはそれ以上に不思議な感覚ですね。胸の重さが気になりません。」


胸の話だから恥かしいのかちょっと頬を赤らめる。それでも興味が勝るようだ。

自分の胸が下から支えられている感覚が始めてで、どういう風にになってるのか、服がどんな作りになっているのかを確認している。何より胸が軽いのだそうだ。うん、いつもは下着は身に着けてないから重いよね。


「それは女性用の下着のお陰かな。下着は服の下に身に付ける服で、胸を支えて体型や姿勢を良くする為に補助するブラジャーと、あとは下半身用がショーツとかパンティー。」


「下半身用のショーツ?ですか。どんな目的で身に着けるんですか?」


「うーん、何だっけかな。男用は、アレの居心地を良くする為だろうけど、汚れない様にする為かな?あとその生地はサテンだと思う。確か独特な織り方をしてて、素材によってはそんな感じで光沢が出る生地だよ。」


俺はサテンと下着について簡単に説明をした。クラフトゲームにはまった影響もあって、多少は素材について調べた事がある。とは言えそこまでしっかりした物では無く聞き齧り程度だ。うろ覚えの知識だから、ちゃんと説明が出来る程では無いのはちょっと残念だ。


「それじゃ、試しに脱いで見ようか。直接見た方が解り易いだろうしね。」


と言う訳でドレスを脱がせる事にする。実際に下着を見せて説明をしようと考えたからで、決して邪まな目的の為ではない。

ドレスは背中側の紐でしっかりと締め上げられていた。背中の結んだ紐をフランシーヌが自分で解くのは難しいので、俺が仕方なく、そう仕方なく、背面から紐を少しずつ解いていく。

髪をアップにしているから、フランシーヌの透き通るような肌とか、なまめかしいうなじとかが良く見える。何だか良い匂いがしてくる気もする。

そのまま首筋に吸い付きたくなるがぐっと堪える。変態か!でもたまらない。まだ朝も早いから何をとは言わないが、最後まで堪えた俺を褒めてやりたい。


真紅のドレスに合わせてか、下着も赤色で揃えられていた。

ちなみに上の下着はブラジャーだと思ったら、コルセットを兼ねた感じのデザインだった。これもブラジャーなのかな。他のスキンなら普通のブラジャーもあると思うので夜にでも確認してみたい。今はさすがに無理だ!


それにしても凄い。大学時代の彼女を除くと女性と親しくする機会は無かったから聞き齧りだが、バストにあったブラを選ぶのはそれなりに難しいらしい。体型に合わせた物を選ぼうと思えばそこそこの値段になるし、肌触りとかフィット感で材質の良い物を選ぶと更に結構な金額になるそうだ。

その点を考慮するとフランシーヌの下着は隙間なくフィットしているのが解る。装備やスキンはサイズや形を体型にあわせてくれる仕様の様で、恐らくはこれがフランシーヌの体型にジャストな下着なのだろう。下着姿のフランシーヌは元から俺の理想を絵に描いたよう様な美人だったが、輪をかけて美しかった。


下はレースのショーツ。ドレスを脱がせたからか、フランシーヌが下着も脱ごうとしたのは慌てて止めた。


下着の無いこの世界でこの下着は革命的では無いだろうか。

これならフランシーヌの服を新調する必要は無かったな。奮発して10着もお願いをしてしまったが、このドレスを見ても解る様に、どう見てもスキンで変更が出来る衣装のほうが素材も作りも良かった。

でもまぁ、店で着せ替えをして貰った時の恥ずかしがるフランシーヌは可愛かったし、あれで距離が縮まった気がするから無駄では無かった筈だ。


服を注文した店は仕立て専門店だが、デザインを確認する為の試着用の服も取り揃えてあって、譲って貰ったワンピースもそうした服の1つだった。


元々着ていた服はスキン変更に伴い何処かに行ってしまった。

服が都合10着と言えば持ち運ぶには結構な量だから、正直どうやって持ち運ぼうか悩んでいたりもした。ただスキンは結構な種類があるから、そうなると服を持ち運ばなくても問題にはならないだろう。注文した服をどうするかについては改めて相談する事にしよう。


さて、脱いだドレスを再度着せるのは中々骨が折れそうなので脱いだ状態でスキンを変更する。すると、脱いだドレスも一緒に無くなった。手間要らずだ。


その後は、無難そうなスキンに変更をしておいた。他のスキンは夜に確認する事にして、名残り惜しいが後は予定通りに行動をする為にフランシーヌを送り出した。


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