第122話 まさかまさかのスペシャルイベント!?


 楽しい楽しい一泊二日の田舎虫取り旅から帰って来た俺は、風呂に入った後すぐに部屋に戻って寝た。


 実に楽しい2日間だった。

 愛莉のデカパイにダイブしたり、隣で寝てる愛莉のデカパイをチラチラ観察したり、帰りには愛莉のデカパイブラを見たり……。

 デカパイがいっぱいの思い出を回想しながら、俺は完全に眠りに入った。


 そして——俺は次の日の朝を迎える。


「んん? なんか、やけに暑いような……」


 俺が目を覚ますと、部屋に"とある異変"が起きていた。


 お……おかしい。


 エアコンはついているものの、全く涼しくない。

 昨日は疲れてて、うっかりタイマーを付けずに扇風機を回しながら寝てしまったと思ったのだが……なぜか止まっている。

 スマホも充電しないまま寝てしまったはずなのに、なぜか充電ケーブルがスマホに刺さっていた。


(なんだよ、この違和感……こんなの8番出口なら真っ先に引き返すところだが……)


 困惑した俺が眠たい目をパチクリしていると、暑くて汗ばんだ俺の額を、横から誰かが白いハンカチで拭って来……って、んん!?


「あっ、おはよう諒太くんっ?」


 いや否——じゃ無い。だ。

 白いシャツに焦茶のプリーツスカート。

 そして何故か……首からを着けている。


「なっ! 瑠衣!? なんでいるんだよ!」


 驚きのあまり俺はベッドから飛び起きて、壁の方へとたじろく。


「なんでって……今日は陸上部がお休みだから?」

「違う! なんで夏休みなのに朝から俺の部屋にいるんだよ!」


 瑠衣はさも当たり前のように話を進めるので、さすがにツッコんでしまう。

 起きる前から部屋にいたことは前にもあったが、まさか夏休みまでそれがあるとは。


「もしやお前……例の"お仕置き"の執行でもしに来たのか?」

「もー、お仕置きだなんて人聞きの悪い」

「お前が前に言ったんだろ!」

「どうどう。ほらほら諒太くん落ち着いて」


 瑠衣は優しい言葉遣いで宥めて来る。

 なんで俺が不法侵入同級生に宥められなければならないんだ。


「お仕置きはまた別の機会だからっ♡」

「何をする気なんだ? ムチか? それとも馬乗りか?」

「そんな酷いことしないよー? だって諒太くん、身体に"躾"したら喜んじゃうもん」


 くっ……どうやら俺のことをよく分かっていらっしゃるようだ。

 でも最後の方でサラッと激ヤバワード吐いたぞこいつ。


「まぁ、今の状況理解できなくても無理ないよね。だって諒太くんだけ既読ついてなかったから」

「き、既読?」

「昨日愛莉が新しくlimeのグループ作ったの。知らない?」

「グループ……?」


 いや、全く知らないのだが。

 瑠衣に言われてから俺は、充電中のスマホを手に取る。

 すると、limeの通知が山ほど来ていた。


「な、なんだこれ」

「夏休みはみんなで遊ぶこともあるだろうからって、愛莉が作ったの。わたしたち3人のグループは前からあったけど、諒太くんと田中さんは居なかったから」

「いや、俺はまだしも田中は……まぁ、いいか」


 田中、友達できて良かったな。

 適当にそう思いながら、俺はそのlimeグループとやらの会話をチェックする。


(limeグループの名前が『仲良し5人組』って……愛莉らしいというかなんというか)


『田中:わたしのような陰キャでもlimeグループに入れてもらって感激です!! 仲良くしてください!!』


 う、うわぁ……いかにも陰キャ全開のlimeしてるな田中。

 ちなみにその後の会話で田中は自分から発言していなかった。これこそが本物の陰キャである。


『優里亜:てか瑠衣、明日部活休みなんでしょ? みんなでどっか行く?』

『瑠衣:うん。どこでもいいけどー、とか、どうかな?』

『愛莉:プール! さんせー! 愛莉も行きたーい! 田中ちゃんは?』

『田中:はい、私も大丈夫です』

『愛莉:良かったー! あと、諒太はなんか寝てるみたいだけど、夏休みは拒否権ないから諒太も行くことに決定ー!』


 はぁ? 嘘だろおい。昨日の今日でプールとか、愛莉は疲れってものを知らないのかよ…………ん?


「って!!! おい!? ぷ、ぷぷ、プールだと!!!? 水着!?!?」

「諒太くん、下半身下半身」

「はっ! ち、違う! これは朝だから。生理現象だから」

「ふふっ。わたしの水着……想像した?」


 いや、どちらかというと愛莉の爆乳スク水の方を想像したんだが……。


「ってことで、今日はみんなでプールになりましたー。集合場所は8時に諒太くんのお家ってことになってて」

「な、なるほど……とりあえず勝手に人の家を集合場所にしないようにしていただきたいのだが」

「ねえ諒太くん。わたしの水着……先にちょっと見たい?」


 瑠衣は服のネックに指をかけると、チラッと胸元を俺に見せようとして来る。


 え………えっろ。


「そりゃ、み、見たいだろ」

「ふふっ……相変わらず正直者で偉いけど、水着はプールまで我慢ね?」


 こ、こいつ……童貞のピュアなハートを弄びやがって……!


 こうして俺は、美少女3人+田中とプールに行くことになった。


「そ、それで、プールに行くってのは分かったが……なんでお前は、そんな痛々しいハートのエプロン着けてんだよ」

「え? だって今日の泉谷家の朝ごはん、わたしが作ったから♡」

「……は?」

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