第100話 夏休みはみんなの言いなり♡
愛莉と付き合ってる疑惑も完全に晴れ、テスト前で緊張感のある学校生活が始まった。
授業は本格的にテスト範囲の集中講座となり、生徒たちの雑談も、浮ついた会話がなくなって勉強オンリーの話題になりつつある。
……約2名の問題児を除いて。
「ねえねえ、夏休みは虫とりとかお祭りとか、あとプール行きたいよねー!」
「いいね愛莉。ちょうどあたしも今年は新しい水着にしようと思ってたし」
休み時間の度に俺の机に集まり、夏休みの話をする愛莉と優里亜。
いつもなら美少女三人衆の中のまとめ役である黒木瑠衣が勉強するように言うのだが、瑠衣は他の生徒たちから勉強のことで質問攻めされているため、会話に入って来れない。
それをいいことに、愛莉と優里亜の二人はずっとテストが終わった後の夏休みの話をしている。
愛莉は赤点取ったらバイト禁止だし、優里亜も授業中の様子からしてそこまで成績が良さそうではないのだが……ここは俺が瑠衣の代わりに一喝入れるべきか?
「二人とも、夏休みの話は分かったからさ、勉強の方はどうなんだ?」
「「…………」」
それとなく俺が聞いてみると、二人揃って「しゅん」とこの世の終わりみたいな顔になる。
「お、おい、なんだよその虚無顔は」
「諒太はさ、自分は貼り紙組(掲示板に貼られるテスト上位50名のこと)だからそうやって余裕ぶってるわけ?」
「愛莉たちみたいな逆貼り紙組(赤点取って掲示板に貼り出されて呼び出し喰らうやつ)の気持ちなんて分かんないよね」
さっきまでキラキラ笑顔だった二人は、一点真っ黒な眼で俺を蔑むようにみて来る。
「い、いや、俺は責めたりするつもりで言ってるんじゃないんだが」
「てか諒太は頭良くていいよねー? 哀れに思うならあたしらに脳細胞分けてよ」
「優里亜は分けても勉強しないだろ」
「ほら聞いた愛莉? あたしらは勉強しないからバカだって」
「ひどいよ諒太!」
「拡大解釈が過ぎる!」
よくここまで勉強嫌いなのに、うちの高校受かったな……。
愛莉は家のためと聞いていたが、優里亜の場合はどんな背景があったのだろうか。
「あ! そうだ! それじゃあ愛莉たちが期末テストで赤点全回避したら、諒太は今年の夏休み、愛莉たちの予定になんでも付き合うってどう?」
「はっ? はあ!?」
「それめっちゃいい! んじゃあたしはアイス食べたくなったらパシらせよっかなぁ」
「優里亜まで何言ってんだ。それはもう予定でもなんでもないだろっ」
「それならー、わたしはお買い物の荷物持ちをお願いしちゃおっかなぁ」
俺たちが話していたら、いつの間にか俺の机に来ていた黒木瑠衣。
(なんでこういう話題になった途端に来るんだ……こいつはっ!)
「そうとなればあたしらも勉強しないと。愛莉やるよ」
「がってん〜」
理由はどうあれ、やっと火がついた二人は机に戻って教科書を開いた。
「良かったね諒太くん」
「……そ、そりゃ、お前らみたいな美少女たちから夏休みに色々と誘ってもらえるのは嬉しい限りだが、そんな理由で勉強しても意味ないだろ?」
「ふふっ……相変わらず堅いなぁ」
瑠衣は企みの含んだ笑みを浮かべる。
「夏休みは、わたしといっぱい遊ぼうね?」
……ま、マジでどうなるんだよ。俺の夏。
波乱の夏休みが近づいていた。
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