第47話 愛莉は天才?
駄菓子屋で寄り道をしていた後、海山に案内されながら海山を家まで送ることに。
「海山の家ってこの辺なのか?」
「うんっ。この道沿いをずーっと行って、右に曲がったらあるよ」
へぇ……海山って隣の地区の小中学校に通ってたのか。
海山の住んでる地区は、俺の家より西にある別の地区。
俺の家とは多少の距離があるくらいだが、地区が分かれていることもあって、小中は別の学校になってしまっている。
「小中学校の同級生とかは高校にいないのか?」
「うん。愛莉の中学からうちの高校に受かったのは愛莉だけだったし、あと愛莉の中学ってヤンキー多めの西中だったからさぁ、そもそも受ける子が少なかったのもあるかな」
ああ、そうか……この地域だと西中なのか。
西中は何かと問題を起こす生徒が多く、治安が悪いことでも有名な中学。
俺や田中あと黒木がいた中部中は至って普通だったが、西中はヤンキー中学として名高い。
そこからうちの高校に入るのは毎年かなり少ないらしいが……それが海山だったとは。
「海山って頭良いのか?」
「ぜーんぜん。でも経済的にその辺のお高い私立高校なんて無理だし、高校は公立しか選択肢が無かったから死ぬほど勉強しただけー」
「それで受かる方が凄いんだが」
「そうなのかなぁ? でも愛莉、この前の定期テスト最下位でさー」
「最下位なんかい」
まあ海山はバイトで忙しそうだし……仕方ないとは思うが。
もしかしてやればできる子ってやつなのか?
「てか、そうだ! 次の期末テストで最下位だったら担任からバイト禁止にされちゃうの!」
「は? それめちゃくちゃやばいじゃないか! 死活問題だろ」
「そうそう! だから諒太助けてよ!」
「た、助けるって……」
「諒太って頭いいじゃんっ。だからテストの前とか二人で勉強会して、愛莉のこと助けてっ♡」
海山はあざとく言うと、上目遣いでおねだりして来る。
そ、そう言われてもな。
もしもの時の責任は負えないのだが……。
(海山は俺を頼ってくれてるんだよ、な?)
「ま、まぁ……教えるくらいなら」
「やったー! じゃあ約束っ! 文化祭の後の期末テストは諒太に頼りまくるからっ」
海山は「にしし」と可愛らしく笑うと急に早足になり、先を歩き出す。
「送ってくれてありがとう諒太っ。愛莉の家、そこのコーポだから」
「そう、なのか」
海山はコーポの階段を上がって行き、振り向き様にこちらへ手を振る。
「また明日ねー」
「お、おう」
コーポまで海山を送ると、俺は自分の帰り道へ戻るのだった。
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