第二章 赤い石(ヤークート)の謎 4
***
「やはり、石から立ち上る魔力が見えるんだな」
二人きりになると、アインが言った。
「魔力? 石から?」
「ああ」
「……なにそれ」
アインによると、普通の人には先ほどの
「ああ、そういうことか。みんな不気味な石を指輪にしたり売り買いしたりして、すごい趣味だなって思ってた」
「ぐふっ」
「なんだよ?」
「いや」
「でも、なんで見えるんだろうな。今まであんなおかしな物は見たことないぞ?」
「見えるとするなら理由は二つ。一つ、何かに
「だから、俺は犯人じゃないって! ん? でも待てよ。それじゃあ、つまり、石が俺を恨んでるってことか? いくら俺でも石から恨みを買う覚えは……。道端で
「二つ目、量の多い少ないは別として
「それを先に言えよ。じゃあ、俺はそっちだ」
「魔術師に師事したことは?」
「ない」
「魔術は?」
「使えない。土蛇のフラウウが居てくれるからできることはあるけど、アインが操る術みたいなのは俺にはできない。ただ昔のことだけど……故郷の山奥に出た魔物をしょうがなく倒したとき、血をいっぱい浴びちゃったんだ。その魔物っていうのが
アインは数度、頷いた。
「アイン、ここだ。これが昨日の焚き火の跡で、で、こっちがフラウウが集めてくれた原石。袋の中を確認するか?」
ここへ戻って来るまでに随分、旅をしてきた気分だ。実際には昨日のことなのだが。
「……重いな。これを運ぶ来だったのか?」
「力持ちなんだ。ねえ、俺の話、信じてくれた?」
「モゴリ殿の
「そこの茂みから焚き火の前をこう通って、あちらへ。そのまま走ると下から見えたあの崖に出る」
「方角も正しいな。今のところお前の話におかしなところはない」
「だろ? でも、わからないのが奥さんは川を探している風だったのにどうして
「ああ」
「同行させてくれ! 一緒にいたらアインは俺を見張れるし、俺は一緒にいる間、精一杯身の潔白を晴らすよ。それに俺は役に立てるよう頑張るし、足手まといにならないようにする。また地下牢に放り込まれるのはもう本当に
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