第7話 ミルス公国の未来

「おいしい!やっぱり都会のお菓子って最高だね!」

「ちょっとアル姉!一人で全部食べたらだめだよ!?」

「アル?またお説教されたいの?」

「ひぃ!ごめんなさい!」


どうやらあの時のお説教はアルに相当なトラウマを植え付けたらしい。

あれから城についた後、城の兵士に応接室で待っているように言われた。

しばらくすると一人のメイドさんと白髪のきれいな女性が入ってきた。


「はじめまして、私は父に代わり、この国の政権をに預かっている第一王女のミレニア・ルバート・セージと申します」

「始めに、この度は我が国の依頼を引き受けていただきありがとうございます」


すると王女様は頭を下げた。


「ちょっと、頭を上げてください」

「いえ、あなた方がいなければこの国の未来はなかったのです」

「みなさんもご覧になられたと思いますがこの国は前王が引き起こした悪行により、危機的状況に陥っています」

「そのため今回の祝賀会を必ず成功させ、この国の信頼を取り戻した後に再び冒険者に来ていただく必要があります」

「皆さんにはその礎となってほしいのです」


王女様の目はとても真剣なだった。

町の人たちが言っていた通り、この王女様は前王と違って悪い人ではないのだろう。

この王女様なら信頼できるかもしれない。

そう思い僕はあることを聞くことにした。

実は僕たちはこの城に来る前にイリスにある提案をされている。


「依頼を受けるのはほぼほぼ決まりだけど、依頼受ける前に一度王女様を試そうと思うの」

「何を試すの?」

「王女様が亜人をどう思っているかよ」

「ここで亜人を差別しているような人がトップの国なんて滅んだほうがマシだからね」

「じゃあ私が聞くよ」

「いいの?奏」

「うん、ここは任せてほしいんだ」


イリスに言われたとおり、王女に質問をした。


「あの・・・」

「なんでしょうか?」

「ミレニア様は亜人差別についてどう思っていますか?」

「亜人差別ですか、そうですね・・・」

「以前まではこの国でも亜人差別は起きていましたが、それは母上がこの国に来てから禁止しています」

「私も母上に亜人も人間も仲良くすべきであると教わりました」

「ですが実情は、町の方もなかなか意識改革が行えず、差別が残っているのが現状です」

「もしやあなた方の知人が差別にあわれましたか?それでしたら差別をした者たちを

罰しなければなりませんが・・・」


するとイリスが見たことないほど大笑いしていた。


「ははは!まさか王女様がこんな人だったなんて!」

「びっくりした・・・突然どうしたの?イリス」

「イリスが壊れた・・・」

「ふふ、ミレニア様ここには私たちしかいませんね?」

「はい、皆さん以外には私と従者のフランしかいませんが・・・」

「ユラお願い」

「分かりました」


するとユラは幻惑の魔法を解いた。


「え・・・亜人の方だったんですか?」

「それに・・・」


王女の視線の先にはやはり僕の姿があった。

王女様と同じ白髪のため親近感が湧いているのだろう。


「あなたも亜人なのですか?」

「それがよくわからないんですよね」

「私はこの世界で生まれて、気が付いたら洞窟の中だったんです」

「それからイリスとアルに出会い、町でいろいろな文献を調べましたがどの種族の亜人なのか分からなくて・・・」

「そうだったんですね」

「それとすみません、実は王女様を試してたんです」

「ここで王女様が亜人を差別するような人だったら、依頼を断ろうと思っていたので・・・」

「なるほど、では姿を見せてくれたというのは信頼していただけたということですか?」

「そうなりますね」

「それは、よかったです」


すると王女様は少しほっとしたのか、椅子にもたれかかった。


「では皆さんに今回の護衛を依頼を遂行するにあたっての注意点などを説明いたしますのでよろしいでしょうか?」

「分かりました」


その後、一通り説明を受けた後、城の客間で泊まることになった。

これでようやくあの狭い部屋で寝ないで済むと思うと気が楽になる。

そしてあっという間に夜が明け、次の日になった。

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