第6話 ミレニア
私の名前はミレニア・ルバート・セージ。
ミルス公国第一王女として生を受け、今年で15歳になります。
私は生まれたときから髪も肌も白かったためか、女神サルビアの聖女と呼ばれました。
ですが私には聖女と呼ばれるだけの力はなかったのです。
私はそのことが気になり城の古い文献を読み漁ったのですが、この体はアルビノと呼ばれているもので何か特別な力が宿っているわけではないそうです。
それでも聖女と呼ばれたからには国民の期待に答えなければなりません。
そのために幼い頃から聖女にふさわしい人間になれるように努力してきました。
ですが2日後にはこの国の未来を決める晩餐会が行われるというのに護衛の冒険者が集まらず、途方に暮れています。
「ミレニア様、明日の晩餐会の護衛はどうなされるのでしょうか?」
「フランかしら?一人も集まってないって知ってるでしょ?」
目の前にいる私と同い年の従者はフラン、小さい頃から一緒に過ごしている、いわゆる腐れ縁ってやつね。
「ミレニア様、前にも言いましたがその口調はお辞めください」
「いいじゃない、ここにはあなたしかいないんだから」
「それでも常に聖女らしく振舞ってください、いつ誰が聞いているか分からないんですよ?」
「お説教は後にして?今は晩餐会の件を何とかしないといけないんだから」
「確か町の人たちに募集の張り紙を配ったわよね?進捗はどうかしら?」
「先日、銅級の方がいるパーティーを見つけましたが、どうやら報酬につられて等級を偽っていたらしく実際は鉄級の冒険者でした」
「ほぼ駆け出しじゃない!?まさかここまで冒険者の質が落ちてたなんて・・・」
「この国は例の噂によって、銅級冒険者すら集まりませんからね」
「せっかくここまでこの国を立て直したのに、こんなところで馬鹿爺に足を引っ張られるなんて・・・」
「お父様は剣ばっかりで役に立たないし・・・もうどうしたらいいのよ!」
「せめてローズ様がいらっしゃれば、ローズ様の実家である帝国から腕利きの冒険者を集められたのですがね」
「そうね、お母さまが生きていた頃であればこんなことにはならなかったわね」
私のお母様は帝国の侯爵家の娘で、ミルス公国という落ち目の国であるにも関わらず、この国に嫁ぎに来た不思議な人だった。
なんでも私のお父様が気に入ったらしく、お母さまからプロポーズしたらしい。
お母さまが生きていた時は、帝国の支援もありこの国は首の皮一枚で生き残っていた。
けど昨年流行り病にかかってしまい、お母さまが亡くなったことで帝国の支援はなくなりこの国は危機に瀕している。
その後、政治に関して全く役に立たないお父様に代わり私がこの国を率いてきた。
それからあちこちで奮闘して、ようやくこの国の信頼を回復できる機会が回ってきたのに、肝心なところで躓いているのだ。
その後も特に何の進展も無く、一日が終わってしまった。
次の日も夕方まで探したが、一人も冒険者は集まらなかった。
「もう、終わりよこの国は・・・」
「諦めたらそこで試合終了ですよ?」
「誰の言葉よ、それ」
「分かりません、こういう時はこれを言わないといけない気がして」
すると突然城の兵士が執務室に入ってきた。
「ミレニア様!」
「どうしましたか?何か慌てているようですが・・・」
「明日の晩餐会の護衛がようやく見つかりました!現在応接室に待機してもらっています!」
「その、等級の方は・・・」
「銀級冒険者です!それに2人もいました!」
「本当ですか!?すぐに案内してください!」
私はようやくこの国の活路が見い出せた気がする。
すぐに従者のフランをつれて応接室に向かった。
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