第三章 クラン・シー

第10話 異常事態

 はじまりは羽化した蝶の羽ばたきのようだった。

 何もない静謐な意識の底に、わずかな揺らぎが澱を滲ませる。絶対の無から、緩慢に持ち上がった曖昧な自我。


 ────。

 

 大地の腕に抱かれるような、穏やかな生命のゆりかごだった。

 燦々と降り注ぐ陽の光のような、あたたかな眠りだった。

 覚めることのないまどろみの中で、慎重に、丁寧に、末端に至るまで刻まれていく、セカイ。

 以後、緩やかに自立する。


 触覚を得る。温かさを知った。

 視覚を得る。刻まれる色を視た。

 聴覚を得る。沈黙の音が鳴った。

  

 沈黙の音がノイズを含み始めたのはいつからだっただろうか。


 ──カリカリ。

 ──キーキー。


 初めて聞いたハッキリとした音は、静穏な世界に相応しくない耳障りなモノだった。

 無視をする事は出来ない。ソレは与えられる全てを受容するモノだったから。

 だけど声を返す事も出来ない。ソレは何かを出力する術を持たないモノだったから。

 

 ──カリカリ、カリカリ。

 ──キーキー、キーキー。

 

 いつしか、音にはコエが混じった。

 

 ──◾️イ。◾️イ。◾️イ。◾️イ。

 ──◾️シイ。◾️シイ。◾️シイ。◾️シイ。

 

 それは日に日に大きくなる。

 だけど聴き続けることしかできない故に、その雑音をソレはただ聴き続けた。


 ──カリカリ、カリカリ。

 ──キーキー、キーキー。

 

 ──……タイ。イタイ。イタイ。イタイ。イタイ。イタイ。イタイ。イタイ。

 ──……ナシイ。カナシイ。カナシイ。カナシイ。カナシイ。カナシイ。カナシイ。カナシイ。

 

 ──ドウシテ。ドウシテ。ドウシテ。コンナ、イタイ、カナシイ。

 

 ──サミシイ。


 いつまで経っても止むことのないざわめき。

 意味の理解できないノイズ。

 穏やかな微睡みの中、ソレはただただ雑音を聴き続ける。永劫ともいえる時間を、ひたすらに、聴き続ける。

 耳障りで醜悪。ただ、不快。

 だけどいつまで、とは思わなかった。ソレは時間の感覚を知らなかったから。


 かくして、眠り続けたソレは目覚めて世界を知る。

 世界は新たな情報に満ち溢れていて、多くの思念に満ち溢れていた。目がチカチカするほどに色鮮やかで、ざわめくコエがうるさくて。だからもう、些細なノイズなんて聞こえることはないと思っていた。それなのに。


 眠りの合間に訪れるざわめき。

 それは起きてからも時たま思考を揺らした。

 腹立たしくて手を伸ばし、伸ばし伸ばしたその先で──。


 ──タスケテ。


 そう、声をあげたから。


 ワタシは──。

  


   ◇



 ユートが受けた迷子の妖精捜索依頼は、想像していた以上に難航した。

 依頼者であるユルハに最初に会ってからもう一週間、地道に探しているがいっこうに成果はない。以前リッカが妖精は妖精を識別出来ると言っていたので、ユルハ伝いに会ったことのある妖精にもコンタクトを取ってみたが結果は芳しくなかった。『知らないわ! 知らないわ!』と小鳥の囀りみたいにクスクスと笑いながら、彼女たちは姿を消した。 


 そんな訳で探すアテもなくなって、ユートは事務所のカウンターに突っ伏している。


「……もう戻ってこないんじゃないだろうか」


 クライアントには絶対に零せない本音がこぼれる。今日も今日とて可能性としては望み薄の工業エリアを回ってきたばかりだ。


 ユートの呟きに『ま、可能性はあるわよねー』とアイノが端末を操作しながら他人事のように返事をした。


 カーディガンが肩からずり落ちていてどこか艶かしいが、表情がだらしないせいか全く色気に繋がらない。客が来たら多少はマトモになるが、事務所には普段ほとんど客が来ないからこの調子だ。せめて口を閉じろ、口を。


 リッカはリッカで客がいないのを良いことに、先ほどからソファスペースを占領してぐーすか昼寝をしている。何とも平和な光景だな、と思っていたら不意に勢いよく飛び起きた。


「どうした? 怖い夢でもみたのか?」


 キョロキョロと辺りを見渡す様子に思わず尋ねるが、そもそも妖精が夢を見るなんて聞いた事ないなと苦笑する。台所から出てきたコルムがほら、とリッカにミネラルウォーターのコップを渡すと落ち着いたのか、リッカはコップを受け取って飲み始めた。

 

「起きたなら今日は本を読もうよ、リッカ。オイラのお気に入りを持ってきたんだ」


 起き上がったリッカの隣に座って、コルムが何かの絵本を差し出している。

 相変わらず世話好きな妖精だ。リッカが興味を引いたのか覗き込みに行ったところでユートも安心してアイノとの話に戻ることにする。


「で、どうするんだ?」

「クライアントには悪いけれど、そろそろ切り上げて役所の方に再申請した方がいいかもしんないわねぇ。十日も経っていれば今度は受理してくれるんじゃない?」


 最も役所が申請を受理した所で、積極的に探してくれるわけではない。

 ただ行方不明の妖精としてデータベースには登録されるし、どこかで迷子の妖精が発見された際にはパートナーに連絡は入るようになる。


「報酬は?」

「成功報酬分はあきらめましょ」


 サッパリとした口調だった。アイノはこう見えてお金周りの管理はきちんとしており、ビジネスの割り切りも早い。どちらかというと一度会ってユルハの妖精愛を直接聞いている分、ユートの方が未練が残るくらいだ。


「……もう一回だけ妖精の方を当たってみようかな」


 妖精には妖精にしか分からないお気に入りスポットみたいなのが存在するかもしれない。知らない、とはしゃいでいた妖精たちを思い出すと、聞き出すのは骨が折れるかもしれないが、何もしないよりはマシだろう。


「妖精の方?」


 ところがアイノはユートの言葉に意外そうな表情を浮かべた。


「妖精にも聞き込みしたの? 珍しいわね。いつもならマトモな答えが返ってこないから、って嫌がるじゃない?」

「だって妖精って一度会ったら相手を識別出来るんだろ? 現在位置も分かるってリッカが……、アイノ?」


 書類を整理していたアイノの手がいつの間にか止まっていた。その目が信じられないことを聞いた、と言うようにユートに向けられている。


「……リッカに、聞いたの?」

「あぁ。そうだけど」


 アイノの声がいつになく低かった。目を細めたアイノの表情が先ほどとは打って変わって、少し険しくなっている。何かマズいことを言ってしまっただろうか、と狼狽えているとアイノがふーっと細く息を吐き出した。ソファに座るリッカを一瞥すると、ユートに身を寄せて声を潜める。


「……出来ないわ」

「え?」

「普通、妖精は個体を識別できない」


 背筋がスッと冷えていく。え、だって、としどろもどろに言葉が出てくる。


「コルムも、リッカに初めて会った時に妖精だったら出会った瞬間分かるって」

「妖精であれば誰でも妖精と人間は区別できるの。だけど妖精はとても自然的な生き物で、一体一体は端末でしかないわ。名前は人間が勝手につけているだけで、彼らの意識はその深層では全て収束していると言われている。

例えば妖精は死を恐れない。死という言葉自体が妖精にとっては理解できない概念なの。彼らは個体の死を『還る』と表現するわ。彼らが妖精を識別できるのは還る場所を見ているのであって、末端を認識しているわけではないのよ」

「……ごめんアイノ。良く分からないんだけど。つまり?」


 早口で伝えられた情報についていけない。ユートを見るアイノの表情は、何故か少しだけ苦いものを含んでいた。

 

「ユート、気づいてるかもしれないけれどリッカは他の妖精とは少し違う」


 その言葉にドキリとする。驚きはしなかった。どちらかというとやはり、という気持ちの方が大きい。


「あまり驚かないのね」

「それは……」



『君は、『嬉しい』が、わかるの──?』



 あの日のユートの問いに、当たり前のようにリッカは頷いた。

 妖精が持ち得ない感情を持っていることを、迷いなく肯定した。


 だけど一方で、間違いなくリッカは妖精だった。人型に近いと言えど、肌の色も髪の色も人のものとは違い、額から伸びる触角はまごうことなく本物だ。会う人々もリッカを人と認識する事は一度もなかった。一緒に過ごせば過ごすほど、矛盾は蓄積していく。だけどそれに触れることに躊躇した。


 人はユートを妖精モドキだと言う。ファズは妖精域で狂わない。狂うべき精神性が存在しない。すなわち妖精と同様だと。それなら尚更同じになどなってたまるか、と必死で目を背けてユートは人であろうとした。


 だがもしこの先妖精に感情が認められる事があるなら、それなら自分の存在は何だというのだろう。人間とも妖精とも異なる自分は、一体何者であればいいと言うのだろう?

 

「……ねぇ、ユート」


 珍しくアイノが遠慮がちに口を開いたその時、ティルナノッグの各区画に設置されたスピーカーから不意にけたたましい警報音が鳴り響いた。


『緊急連絡です。緊急連絡をお伝えします』

『第七区画にて、浄化システムの動作不良が発生しました。現在第七区画におられる皆様につきましては、至急区画外への避難をお願いいたします。繰り返します。第七区画にて、浄化システムの動作不良が発生しました』


 ユートとアイノは思わず顔を見合わせた。


 区画の緊急点検が決まることは今までもあった。前回の第九区画の時がそうだ。だが、即時の避難指示はユートの知る限り一度も聞いたことがない。


「アイノ、DDの在庫はある?」


 それだけでユートが何をするのか察したのだろう。すぐに頷くとアイノは店の奥に走っていく。


「ユー坊、行くのか?」


 同じく警報を耳にしたコルムがいつの間にか近くに来ていた。ぽってりとした触覚が、心配するように垂れている。だから少しでも安心できるようユートは笑う。


「うん。避難の手伝いをしに行くよ。ある程度避難が終わるまでは邪魔になるだろうから近くで控えておくだけにするけど、インスプリングが漏れ出した時に動ける人材がいた方がいいだろ?」


 少なくともユートは薬を飲まずとも動ける。取り残された人の救助が必要になった時に自分が最適解になることは理解していた。


「これね」


 アイノが奥から持ってきたピルケースをユートに差し出した。中身を見るとそれなりに量がある。恐らく十回分くらいは。


「事務所の自転車借りて行っていい? 歩きだとちょっと遠いし」

「もちろんいいわよ。ユート、気をつけなさいね」

「僕は大丈夫だよ。わかってるでしょ?」


 ユートの軽口に、アイノは少し微妙な顔をした。


「じゃあ行ってくる」


 事務所の玄関を開けて外へ出ると、追いかけるように後ろでチリンチリンとドアに括り付けられた鈴の音が鳴った。同時にスルリと背後に気配を感じて、ユートは振り返る。当然のようにリッカが付いてきていた。


「事務所で待っていてくれない?」

「わたしを置いていく気?」


 有無を言わさない口調だった。だけど、と口ごもる。

 

 妖精なら大丈夫だ、と思えた。だけどリッカは妖精じゃないかもしれない。その可能性を知ってしまった以上、危ないところに連れていくのは気が咎める。


 そんなユートの迷いを見透かしたように大丈夫、とリッカは告げた。


「わたしは妖精域でも生きられるわ、ずっと妖精域で眠っていたのだもの」 

「……わかった」


 迷ったけど、結局ユートは承知してリッカを連れて行くことにした。


(大丈夫、か)


 それがユートの迷いに対してだとしたら、何を思って発した言葉なのだろうか。生まれたてだという妖精は、気づけば出会った頃よりずっと人間らしくなっている。

 この町に来た時から、ずっと立ち止まったままのユートとは違って。



   ◇



 全部で十一区画からなるティルナノッグは多少の入り混じりはあるものの、行政エリア・居住エリア・商業エリア・工業エリアの主に四つで構成されている。今回緊急避難が命じられた第七地区は居住エリアだ。

 

 元々ティルナノッグは設立時三区画しか整備されておらず、そこから浄化システムの設置とともに現在の十一区画まで拡張されている。


 第七区画は後からできた区画故に、住民も空間侵蝕の被害によって他所から移住してきた人間が多く、皆避難は素早かったようだった。緊急時避難する場所はあらかじめ住民には通達されているし、定期的に避難訓練が行われている成果もあるのだろう。ユートが第七地区の近くに辿り着いた頃には、避難してくる人で道が溢れていた。


「そこ押さないで! 避難指示に従ってください!」

「D地区の三班はこちらです! 止まらないで!」


 恐らく総動員で駆り出されたのだろう。役所勤めの職員たちがメガホンを持って声を張り上げている。その人混みに逆らうようにユートは第七区域に向けて歩いていく。


「今の所問題ないみたいだな。特に暴動が起きてる気配もないし……、ん?」


 と、誘導員の何人かが慌てた様子で話をしているのが目に入った。区画内で何かあったのか、と耳を澄ませるも当然ながら会話は聞こえてこない。リッカの視線も釣られてユートの見ている方に向いた。


「何かあったのかな……」

「……『にんかで手分けして探そうか』『でも研究所の方から関係者であっても区画内に入らないようにと指示が出てる』『それ大丈夫なのか? 入ったのは一人?』『今の所確認できているのは一人だ。妖精がいると言っていた』」

「ちょ……」

「『どちらの方へ行ったんだ?』『分からない。中心部の方へ向かって走っていった』『中心部? 浄化塔のある方じゃないか?』『それは流石にまずいだろう。誰か人はいるのか?』『研究所の奴らが何人か現地にいるはずだが塔の内部にいる可能性がたか』」

「ちょっと!」


 思わずリッカの肩を掴む。きょとんとしてリッカが喋るのをやめた。


「今の何⁉︎」

「あの人たちの会話よ。ユートが聞きたいんだと思ったから話してあげたのだけど」


 いけなかった? とリッカが首を傾げる。


「全然いけなくないし、むしろありがとうなんだけど! 何だよそれ、どれだけ万能なんだよ君は!」


 この人混みの中、十メートル以上離れた会話が聞き取れるわけがない。そう思ったがリッカが嘘をつく理由もない。きっと本当なのだろう、とユートは意識を切り替える。


「行こう」


 走り出したユートの後を、リッカは走るより早いと判断したのか飛んで付いてくる。


「すみません!」

「ん、どうかしたのかい?」


 話をしていた誘導員の一人が振り返る。


「誰か中に入っていってしまったんでしょうか?」

「あ、あぁ。大丈夫だよ。研究員の人が中で残った人間がいないか巡回しているし、避難は無事に進んでいるよ。ご家族がいるのかな? 所定の避難所はわかる? 不明なら住んでいる地区名を教えてくれたらこっちで照会を……」

「あ、いえ! 僕は研究所の人間なんです!」


 咄嗟に口から出まかせが飛び出た。そりゃあそうだ。普通に考えて一般人に話す訳がない。模範的で親切な案内を遮って、ユートは嘘を並べ立てる。


「可能性は低いですが、区画内に一般人がいるのは今は危険です。僕は薬を飲んでるので内部に入れますし、中に戻ってしまった人の特徴を教えてもらえないでしょうか?」


 そう言ってチラリと研究所の入館パスを見せる。無論これは定期健診でユートが研究所を出入りするから持っているもので、きちんと見られるとすぐに研究員ではないことが分かる。


 だけど幸い役所と研究所は折り合いが悪く、連携が取れていない事が往々にしてある。今回も研究所からの要請で急き立てられるように出てきたのだろう。パスを改めることもせず、あっさりと信じてくれる。


「研究員か! 何だ良かった。だったらこっちが聞きたいくらいだよ。今状況はどうなってるんだ? 誘導に駆り出されただけで詳しいこと聞かされてなくってさ」

「それを確認しに向かいます。ついでに迷子も探してくるので特徴を教えてください」

「いや、遠目だったから特徴なんてわからないよ。男性だった事くらい。職員が止めたんだけど『妖精がいるんだ』って聞かなくて。あぁ、マリアって言ってたかな」

「マリア?」


 ただの偶然の一致か、すぐに一人の青年が思い浮かんだ。

 ニコ・ユルハ。パートナーの妖精をずっと探しているユートの依頼人だ。


(そういえばあの人、第七地区だ)


 パートナー登録されている妖精の数は現在約八〇〇。大体一区画に一〇〇程度だろうか。マリアという名前はよくある名前だし、本人かは分からない。しかし──。


(妖精がインスプリングで汚染された環境に適応することなんて、誰でも知ってるよな)


 それなのに、わざわざ死地に会いに行くような馬鹿なことをする人間は数えるほどだろう。そしてユートの知る限りあの青年は、その一握りに該当するように思えた。


「……わかりました! ありがとうございます!」


 礼を言うとユートは飛び出した。ありがとう、とリッカも続いて誘導員に礼を言いすぐに後を追ってくる。


「場所分かるの?」

「いや、でも家は知ってる!」


 この間訪ねたばかりだ。区画の中心部、方向も合っている。


 避難は順調に進んでいるのか、人影はもう少ない。緊急放送から約二時間程。定期的な訓練のおかげか十分すぎる早さで進んでいるが、やはりチラホラと避難を急ぐ人たちの姿が見える。


 少し遠くにはいつもと何ら変わらない浄化塔が見えた。浄化塔は区画のど真ん中に立つ真白の塔だ。一区画に一つ。人間がティルナノッグで狂うことなく生活を営めるのは、浄化塔によって区画内のインスプリングが浄化されているからに他ならない。


「あそこ、嫌いだわ。嫌な匂いがするもの」


 遠くに見える浄化塔の姿を目に入れてリッカが心底嫌そうに言った。


「妖精避けだろ。君たちは面白いものがあるとすぐに首を突っ込むから。近づかないように火を焚いてるんだよ」

「ただの炎なら平気よ」

「じゃあ火薬を使ってるんだろ! 知らないけど!」


 と言いつつ、ユートも浄化塔の仕組みは一切知らない。浄化システムはその全てが秘匿されている。


「ユート、あの塔機能していないわ」


 と、サラリと恐ろしいことをリッカが口にする。もちろん不具合が生じたからこその避難勧告なのだろうが、全く機能していないというのはどういうことだと眉を顰める。それではただの点検程度で済む問題ではない。そもそもリッカは遠くからどうして塔が機能していないことが分かるのだろう?


「どういうこと? インスプリングが漏れ出してるってこと?」

「そもそもお前たちのいうインスプリングは漏れ出すものじゃないわ」


 リッカは当然のことのように、淡々と続ける。


「アレはただ在るものなのよ。点と点を結び、揺れ、お前たちの心のカタチを壊すもの」

「……結び、揺れる?」


 およそインスプリングと言うものを形容するときに聞いたことがない単語だ。行きましょう、とリッカが口にする。


「早くしないと、時間がないわ」



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