第5話

「|That world and the Unification Church《あちらの世界と統一教団》(TWUC)」、通称「統一教団」と言う宗教組織がある。

That worldあちらの世界」と言うのは「黄泉比良坂よみのひらさか」、ダンジョン内のことを指す。

この世界とあちらの世界ダンジョン内を統一すると言う思想の下に活動する教団で、今現在において多くの探索者を輩出する教団でもある。

この教団の信者はダンジョンにこそ救いや悟りがあると信じて嬉々として探索者となり、日ノ本のダンジョン事業を下支えしていた。

「多くの者をダンジョンへ、次世代に繋ぐ一助に」をコンセプトに合同結婚式なる謎の儀式を行ったカルト宗教でも知られ、AUSA、他、諸外国にもその信者を抱え、多くの者たちを探索者として送り出している。

この合同結婚式なるものも多くの子を産みダンジョンへと向かうと言う一応は目標があるようだが、見ず知らずの男女を集めて行き成り結婚させるのは如何な物かとは思うが、多くの者がこの儀式的な結婚式に参加し多くの国際結婚の夫婦が生まれた。

更に教団はダンジョンに極楽浄土や天国があるとすら信者たちに思わせて、真に受けた信者たちの多くの命を散らさせ、多くの不幸を生んだ。

教祖?のようなこの団体の指導者がある談話で「天国に繋がるダンジョンと地上を一つに繋ぎ地上に楽土を作ろう」と言ったそうだ。

「天国に繋がる=死んで天国に行く」でないことを祈るばかりだが、信者はダンジョン内での天国探しに躍起になり、2層目を発見したと言うから乗せられた者たちの信じる力の行動力とは馬鹿に出来ない物である。

それはそれとして、探索で稼いだお金をお布施としてこの教団に捧げる信者も多く、一家離散など多くの悲劇を生み、社会問題となりつつあった。

元はある一神教の宗派であったが「黄泉比良坂よみのひらさか」発見された位から宗旨替えをしたようで、ダンジョン崇拝の現在に至る。

驚くことにこの期間に多くの信者を抱える大組織となって行った。

しかし、世間のダンジョン忌避が高まり探索者への風当たりが強くなった位から名前を変え、現在は「世界平和統一人類保管連盟WPUHPF(World Peace Unification Humanity Preservation Federation)」と名を変えて活動し続けている。

世間一般的には旧統一教団と呼ばれている。

もしかすればダンジョンが関わっていなさそうな名前にしたのはカモフラージュだろうか?

一部では洗脳や霊感商法なども行ったと言うことで、元信者やその家族と訴訟をも抱えていると言う。

そして、この団体のもう一つの主張が、ダンジョンは大癇人民共和国だいかんじんみんきょうわこく(通称:癇国かんこく)のものだと主張し、「黄泉比良坂よみのひらさか」の入口をコリアーン癇国ゲートと呼ぶのも特徴と言えるだろう。

そして、大癇人民共和国だいかんじんみんきょうわこく(通称:癇国かんこく)もこの主張を支持し、領有権を主張し、日ノ本と領土問題となっているが、全世界がこの主張を、勿論、無視しているに近い。

どの世界に他国の本土に在る物を自国の物と主張する国家があるだろうか?

しかし、一部で特亜等と呼ばれる国々がこの主張を支持しているが、国際的には勿論であるが認められていない。

過去に癇国かんこくの政治家が領有権を主張する為にこのダンジョン内に数日間居座ると言う事件があったが、その際にゴブリンに襲われて亡くなると言う痛ましい事件があり、それ以降は流石にそのような蛮行に及ぶこの国の議員は居なくなった。

この件についても日ノ本の管理不行き届きであると主張しているが、国際的にアピールしても自分たちで自国の恥を晒すだけの結果に終わった。

幸いなことかどうかは解らないが、ゴブリンの食い残しの遺体が回収され母国に送られたので墓に本人不在は避けられたことを幸運と思ってもらうよりない。

2013年は日ノ本にとって大きな慶事が1つあった。

2020年に東都でオリンピック・パラリンピック開催が決定した。

スモールオリンピックを目指すをコンセプトに低予算での開催を目指すと言うことで開催が決まった。

また西日ノ本大震災からの回復を世界にアピールになると言うことで、政府も開催レースに協力した。

ダンジョン発見時の国家元首である元内閣総理大臣のはやし与四郎よしろうもこの誘致の応援団のに名前を連ね、後に東都オリパラの大会組織委員長となるが、それは先の話。

誘致に成功した者たちは大喜びし、世間はその話題で持ち切りとなった。

そして、アブノミクスの目玉政策の1つである、は成功し、この年に行われた参議院議員選挙でG民党が議席数を増やし、ねじれ国会を解消した。

2014年に今度は衆議院議員選挙が行われてG民党が圧勝し時はまさにアベノミクスの成功と言う風潮が生まれ始めた。

この年、日ノ本人テニスプレーヤーの二式織にしきおりけんが全米オープンで準優勝を果たす。

その際のインタビューで語られた言葉で更にダンジョンに注目が集まる。

彼の発言を要約すると、小さい頃に父親に連れられてダンジョンに入りトレーニングを行ったと言う。

トレーニングと言ってもモンスターを倒すと言うものであるが、モンスターをある一定数を倒すと不思議と身体能力の向上が見られたと言う。

彼の父はゲームなどのレベルアップと同じことが起こるだろうと期待して彼をダンジョンに連れて行き、ひたすらにモンスターを討伐させたと言う。

命懸けであることもあり、集中力も生まれるだろうと言うことでこのトレーニングは行ける日は必ず行くと言った感じで続いたと言う。

残念ながら2年程しかこのトレーニングが行えなかったが確かに少しだが能力UPした様な気がすると発言した。

しかし、現行ルールでは特例が無い場合は18歳からの免許取得となり、特例の場合のみ15歳からの入ダンが可能であることから彼のトレーニングは児童虐待ではないのか?と言う意見もあったが、本人が生きて生還しているのでほんの一部が批判するに止まった。

しかし、この発言により今までは底辺の肉体労働者と見られていた探索者に俄かに注目が集まる事となった。

日ノ本政府はそれを後押しする形で、探索者年金なる制度を策定しダンジョン事業の更なる活性化の後押しをしようとした。

この制度は探索者免許を得た者に対して課金される制度ではあるが、買い取り税率40%の中から一部が回される形となる為、実質負担ゼロを謳い文句に施行された。

探索者がダンジョン探索中に怪我し探索出来ない状態になると年金が適用される。

また、死亡した場合も遺族に年金が出ると言う仕組みの制度で、これは索敵者たちからも歓迎されることとなった。

ダンジョンの第二黄金期の到来の予感で、マスコミやNETでも多くこの話題が取り上げられることとなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る