第13話


「ね、猫耳?!う、嘘…」


頭をしっかりと確認する。


だが、猫耳のような感触はない。


そして、鏡を使って確認する。


職員室にある、小さめの鏡で、自分の姿を確認する。


髪の毛は白く光り、


朱い目をキラキラと輝かせて。


そして、半透明の猫の耳を携えて。


僕は、立ち尽くしていた。


「な、なんで…」


猫はいなくなった。


そう確信していたのに。


なんで、なんでなんで?


僕、なにかしただろうか。


冷や汗がとまらずに出てくる。


そして、徐々に、徐々に徐々に、


僕の意識は遠のき、そして…


また、深い眠りについた。


***


「っ」


ガバリと起きる。


窓を見ると、もう深夜のようだ。


え、普通に怖い。


と。


そこで、僕は不意に周りを見た。


よく見ると、そこは保健室だった。


おそらく、達也くんが運んでくれたのだろう。


とりあえず、怖いから達也くんのベッドに移動しよう。


そう思い、ベッドから起き上がり、


隣のベッドを見ると。


誰もいなかった。


なんならシーツのしわもなかった。


そして、もう片方のベッドを見る。



……そこにも、誰もいなかった。


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