第5話 初めまして

ギャル美が叫び、やっと気づく。

気付いたときには、もう眼前までつららがきていた。

「あっ…」

ガツンと酷く鈍い音が鳴る。

が。

衝撃は自分にはなく、全力で走っていた少女から鳴った音だった。

「いった……」

白銀のサラサラとした髪に、ふくらはぎまで届く髪の長さ。

翡翠色の瞳は今にも壊れそうな宝石のように輝き、幼い顔立ちのため、凄く絵になる。

だが、自分よりも小柄な少女が、自分を庇ったのだ。

「だっ、大丈夫ですか?!い、今すぐ治療しますから…!!」

取りあえず応急処置をするために、自分の髪を縛るために付けていたリボンを取ろうとした瞬間。

「あ~だいじょぶだいじょぶ。私、呪われてるからさ。」

そう言われ、ぱっと顔を上げる。

すると、さっきまで流れていた血がぴたりと止み、傷痕もすっかり無くなっている。

だが。

呪われているとは何だ?

「あの、呪われてる、って……」

「あぁ、うーんとね、私の昔の友達がかけた呪いなんだけど。その友達が、私に勝つまで、私に傷ついて欲しくないらしくて」

「傷ついて欲しくない、とは…」

「うーん、お互いに万全な状態で戦いたかったんじゃない?知らんけど。」

よくわからん呪いだが、その話が本当なら、すごく強い援助だ。

「ほら、ねここ、いっちゃいなって!」

「うん。じゃあ…。___遠慮なく。」

全身を集中させる。

それと同時に、自分の瞳が猫のように細く鋭くなっていくのを感じる。


妖術   〔妖氷天下〕


パキッ、と大気が凍る。

世界、時、大地。

全てが凍てつくほどの冷気でもって、すべてを凍らす。

「うあああああッッッッ!!!」

全力で走り、オイデサンの足下に着いたところで、月にさわれそうなくらい全力でジャンプする。

オイデサンは、冷気でまだ動けない。

「やってやるよッッッッ!私のすべてでもって!!!!!!!!」

音速の速さでオイデサンの頭めがけ足を振り下ろす。

ごうっ、と音が鳴り……

______気づいたら朝になっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妖怪退治録 夢時間 @nekokurage0

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ