第4話 声の怪異『オイデサン』

「あなたがオイデサン…!?」

「えっ、意外と可愛い」

両者共々いろいろな意見がでたが、オイデサンは、情報によると、しがれた老人の声らしいので、老人だと思っていたが、案外そうでもないらしい。

『あはっ。ニンゲン、今回はいっぱいイるね!』

魔女のような甲高い声が響く。

「…自然よ!能力、発動!!」


___自然 〔我が使う力は、そなたの力〕


地が悲鳴を上げる。

地面が、地震とは違う揺れ方をする。

術者であるギャル美でさえも少し揺れ、それ以外の、

地も、人も、学校も、建物も、すべてをも揺らし、足元を奪う。

そして、オイデサンさえもを揺らす。

『……』

オイデサンはじっとりと地を、目に穴があくほど凝視する。

、だ。

それに気づいたギャル美は、こくりと息をのむ。

「ギャル美さん!下がってください!」


___大河 〔消えない星の流れ〕


ごうっ、と。

濁流のごとく星の波が押し寄せてくる。

そんな例えがピタリとはまるように、オイデサンを波が囲む。

……これは攻撃ではない。

なぜなら、この技は、足止めしか出来ないからだ。

誰かを待っている。

「ごめーん、遅くなった~。るーちゃんが寝坊しちゃったから~」

白銀のサラサラとした髪が鼻もとに当たる。

留浦るうら!何してたんだ?!おそすぎんだろうが!」

「るーちゃん、悪くないもん…。別に、仕事すればいいんだもーん。」


___魂  〔雪解け水の氷魂〕


…すごい。

そうとしか考えられないような素早さでオイデサンの足下まで駆けていく。

降ってくる氷柱をすべてよけながら、走っていく様は、ある絵画のように美しい。

目の前が全て薄紫と薄い青を混ぜたような色の霧に覆われ、一瞬、目を閉じる。

「ねここっっっ!!!!あぶないッッッッ!!」

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