第4話


扇くんがいない。


周りのクラスメイトがざわついているのはそういうことか。


扇くんは、中学の頃から年中無休なことで有名だったのだ。


つまり、どういうことかと言うと。


があったということになる。


猫宮扇。


彼の名は、猫宮扇。


中学以前は『寝込み屋おうぎ』の名で通っていた、


年中有休の無精者。


そんな彼が、一年以下という短い期間で、


大きく変わってしまった。


何が、何が起きているのだろう。


不思議で、不思議で仕方がない。


***


そのあと、特に何もなく、


いつものようでいつもと違う日常を、同じように繰り返した。


この後は、このまま帰路を歩いて、家に帰って、色々して寝るだけ。


ああ、なんと簡単なミッションだろうか。


そう思っていた。


目の前に現れたのは、


小柄で、細くて、透き通るよおうな白い肌をした、少年。


周りの、夕焼けの風景と違う、映える白い髪。


パステルカラーのヘアピンを沢山つけて。


帰路のど真ん中に立った、少年は。


こちらを見て、


朱い、妖しげな朱の瞳を爛々らんらんと輝かせて。


「やっほ、月見さん。元気してた?」


と、からかうように笑った。

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