第3話 声に釣られて逝ったモノ
午後6時前、私達は学校の門の前にきていた。
「安心してください。鍵は、持っていますから。」
ガチャガチャ、と鍵のはまる音がなり、キイィ…と門が開く。
「なんだか久しぶりだね…。最後にやったのっていつだっけ。関係ないけどね。」
姫野を一番前に、私達はどんどん歩いていく。
「そろそろですかね…。柊夜さん、出没時間は?」
後ろからヴォン、と音が鳴る。柊夜が能力を使う音だ。
そして、柊夜が集中するため、深呼吸をした。
「……出没時間は…夜、だ。午後6時からか?」
夜…というと、暗くなった時間帯だと思う。
「そうですか…。…あっ中庭に着きましたね。確かここでしたっけ。」
薄暗い中でも、姫野は足を止めない。
すると。
『オイデ…オイデ…』
しがれた老人の声が脳内に直接はいってくる。
少し音量が大きく、私は耳をふさぐ。
もちろん、そんなことに意味はないのだが。
「オイデサン、私、あなたに食べられたいんです。どうか、私の目の前に姿をさらしてください。」
姫野の凛とした声が中庭に響く。
すると。
「あれ、姫野じゃないか。どうしたんだ?」
少し気怠げな声が聞こえる。
紛れもない、私達の担任の声だ。
「…。」
姫野は、虚空を睨む。
「あなたが、オイデサンですね?」
そう、担任の声は聞こえていても、姿が見えないのだ。
『…ヒッカカラナイカ。カカカ、ハンコウテキナニンゲンモ、ヨキヨキ。ワガイブクロニハイレバゼンブオナジヨ。』
奇怪な男性の声が聞こえる。
と、思うと、黒と白の混ざった霧が現れ、その霧が凝縮していく。
人の形に凝縮したかと思うと。
黒と白のグラデーション。
真っ白で、透き通るような肌。
見事に発達した体に、愛嬌のある顔。
『あはっ。ニンゲン、遊ぼ!?』
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