第4話 綺麗なピンクが流れる川

登場人物


華恋かれん

性別:女

学年:高校1年生

身長:156

好きなもの:フルーツジュース、シール集め。


亜美あみ

性別:女

学年:高校3年生

身長:164

好きなもの:コーヒー牛乳、散歩。


あかね

性別:女

学年:高校1年生

身長:155

好きなもの:カレーパン、綿毛型の観察。


奏恵かなえ

性別:女

学年:教師

身長:162

好きなもの:緑茶、ドライブ





『“奏恵かなえ”先生。さようなら。』


そう2人の女子生徒が声を合わせて綺麗な女性に声をかける。


「は~い。気をつけて帰るのよ~。」


そう奏恵は女子生徒達に返事を返す。


(・・・そう言えば“あの子”ちゃんと入ったって言ってたな。

あの子以外にも、もう1人入ったみたいだし久しぶりに顔出そうかな~。)


そんな事を思いながら奏恵が向かったのは綿研わたけんの部室だった。


🔍


「元気にやってる~?」


そう言いながら奏恵が部室の扉を開ける。


「おっ。かなちゃん、久しぶり。」


そう亜美あみが奏恵に返事を返す。


「部長。誰ですか?」


そう華恋かれんが亜美に尋ねる。


「ん?あぁ。この部の顧問で妖精学ようせいがく担当の奏恵先生だ。」


「顧問?!私、1年4組の華恋です!!

好きなものはフルーツジュースとシール集めです!!よろしくお願いします!!」


そう立ち上がった華恋は元気に自己紹介をする。


「は~い。よろしくね~。

あかねもよろしく~。」


そう声をかけられた茜は小さく頷く。


「ん?奏ちゃん。茜の事、知ってるの?」


そう亜美が尋ねる。


「うん。私と茜はだからね~。」


従姉妹いとこ?!』


そう亜美と華恋が声を合わせて驚く。


「そうだよ~。私が高校を卒業するまではよく遊んでたんだから~。」


「遊んでたと言うより、奏姉かなねぇのバイクに乗せられて連れ出されたと言うほうが正しい。」


「でも、そのお陰で綿毛型わたげがたに出会えたんでしょ?」


「それには感謝してる。

でも、毎回のようにぞくの仲間を後ろに引き連れるのはやめてほしかった。」


『族?!』


そう華恋と亜美がまた声を合わせて驚く。


「そう。奏姉は高校卒業まで暴走族の“総長”だったの。」


「こんな穏やかで優しそうな先生が?!」


そう華恋が驚いた声を出す。


「さらに、高校卒業後は妖精ようせい研究隊けんきゅうたい探索班たんさくはんに入ったんだけど、そこではこんな異名いみょうを付けられていた。

魔獣狩まじゅうがりの女”。」


『魔獣狩りの女?!』


そうまたまた華恋と亜美が声を合わせて驚く。


「暴走族の時の喧嘩が役に立ったのね~。」


そう穏やかな声で奏恵は当時を思い出す。


(嫌々。人と魔獣じゃ全然違うから。)


そう亜美は心の中でツッコム。


「あっ。でも、ドライブが趣味なのは暴走族の時の名残なごり?」


そう亜美が奏恵に尋ねる。


「えぇ。そうよ~。

バイクだと本性が出ちゃうから、車に変えたの~。」


(できれば、2度とバイクには乗らないでいただきたい。)


そう華恋と亜美は心の中でシンクロする。


🔍


「そうだ。久しぶりに奏ちゃん来たんだし、車出してよ。」


そう亜美がお願いする。


「いいけど~。どこ行くの?」


そう奏恵が尋ねる。


桜川さくらがわ。あそこなら、もしかしたら綿毛型が居るかもしれないでしょ?」


「そうね~。居るかもね~。」


「え?でも、さっきの話を聞いた後だと車に乗るの怖いんですけど。」


そう華恋が怯えた声で言う。


「大丈夫だよ。奏ちゃんの車には何回も乗ってるけど、安全運転だから。」


そう亜美が言葉を返す。


「そうなの?」


そう華恋は茜に尋ねる。


「ワレはバイクしか乗った事がないから知らない。でも、運転は超上手い。」


「そうなのか。だったら安心かな。」


そう華恋が言うと全員が車に向かう。


🔍


ー数十分後ー


「ここが桜川?

凄い!!川に桜の花びらが流れてて綺麗。」


そう興奮した様子で華恋ははしゃぐ。


「春の大陸ならではの光景だよなぁ。」


「そうですね~。」


そう亜美と奏恵の2人ははしゃいでいる1年生コンビを見守りながら会話する。


🔍


〈物語設定①〉

この国はオベロンのいずみと呼ばれる泉から流れるオベロンがわによって4大陸に分かれている。そして、大陸ごとに1年間の季節が決まっている。華恋達が住んでるのは春の大陸で1年間ずっと春なのだ。


🔍


「よ~し。記念に川に流れてる花びらを1枚、持って帰ろう。」


そう言いながら華恋は川に手を伸ばす。


「華恋。落ちないでよ。」


そう心配そうに茜が声をかける。


「ふっふ~。そんなヘマはしないよ、私は。」


そう言った瞬間だった。

華恋は豪快ごうかいに川に落ちる。


その水しぶきが茜にもかかる。

結果、川に落ちた華恋だけではなく、茜もびしょびしょにれる。


「ハハハ。茜ちゃん、ごめん。」


そう笑顔で華恋は謝る。


「いつもの言霊ことだまはどうしたのよ。

何で今日はハズレるの?」


そう少しだけ不機嫌そうに茜は言う。


🔍


『へ、へっくしゅん!!』


そう華恋と茜の2人が春の暖かい風にかれながらくしゃみをする。


そんな2人の体が一瞬でかわく。


「うえ?!一瞬で乾いた?!なんで?!」


「華恋、あれ。」


そう驚く華恋に茜が指を指す。


その先には“赤い”綿毛型がフワフワ飛んでいた。


「あぁ!!レッドだ!!初めて見た!!」


そう興奮マックスで華恋はレッドに抱きつく。


「うわ~ぁ。ネバ~としてる。

まるでスライムに抱きついたみたい。

でも、ひんやりとして気持ちいい~。」


そう華恋は幸せそうな顔をする。


「この子の魔術でワレ達の体が一瞬で乾いたんだね。」


「なるほど、なるほど。

便利べんりな能力だな~ぁ。」


そう華恋は納得する。


━カシャリンコ


茜が華恋に抱きつかれているレッドを写真に撮る。


「そろそろ放してあげないとその子飛んで行けないわよ。

綿毛型は飛んでないと子供を作れないんだから。」


「そ、そうなの?!ごめんね。」


そう謝ると華恋は急いでレッドを放す。


その瞬間に吹いた風がレッドを遠くへ運んで行く。


「あの子の子供はどんな魔術を使うのかな?」


「それは出会ってみないと分からないわね。」


「出会えるといいね。」


そう話す華恋に茜は目線を向ける。


「華恋なら出会えるよ。

だって華恋には最強の魔術である言霊があるじゃない。」


「そうか!!そうだよね。」


「嫌でも、さっきは外してたか。

やっぱり会えないかも。」


「えぇ~。そんな事を言わないでよ~。」


「ワレに言われても知らんよ。」


そう冷たい言葉を茜は返す。


「お~い。2人共、そろそろ帰るぞ~。」


そう亜美が華恋と茜に声をかける。


2人はその声に従って車に戻るのであった。


〈今回の綿毛型の魔術〉

水で濡れた物や生物を一瞬で乾かせる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る