第5話 体力のないあの子は寂しそう

登場人物


華恋かれん

性別:女

学年:高校1年生

身長:156

好きなもの:フルーツジュース、シール集め。


亜美あみ

性別:女

学年:高校3年生

身長:164

好きなもの:コーヒー牛乳、散歩。


あかね

性別:女

学年:高校1年生

身長:155

好きなもの:カレーパン、綿毛型の観察。



ー部室にてー


「今日も綿毛型わたげがたと出会うぞー!!」


そう華恋かれんが元気な声で叫ぶ。


「今日も変わらず元気だな~。」


そう元気いっぱいの華恋の姿に亜美あみは感心する。


「もちろんですよ!!

何故なら私には聞こえるんです。

綿毛型達が私を呼んでいる声が。」


「それは幻聴だと思うぞ。

綿毛型は喋らんし。」


そう亜美の冷静なツッコミが入る。


「でもまぁ、散歩ついでに探すのもアリか。あかねはどうする?」


そう亜美が茜に尋ねる。


「ワレはパス。

校外こうがいまで探しに行く体力はないので。」


そう茜は冷めた声で返事をする。


「安心して茜ちゃん。

私が綿毛型の写真、撮ってくるから!!」


そう言って華恋は茜の手を強く握る。


「よろしく。」


そう茜も華恋の手を強く握り返す。


🔍


ー校外にて-


「で?部長。今日はどこに行くんですか?前に行った野原ですか?」


そう華恋が尋ねる。


「嫌。今日は自然公園だ。

その名も春風はるかぜの自然公園。」


「おぉ。何だかオシャレな名前の公園ですね。」


「オシャレなのは名前だけじゃないぞ。」


「どういう意味ですか?」


「まぁ、着いたら分かるよ。」


そう楽しそうな口調で亜美は答える。


🔍


ー春風の自然公園にてー


「うわ~ぁ。色んなお花がいっぱいだ~ぁ。」


そう綺麗に並んでいる色とりどりのお花達を見つめながら華恋は感動する。


「な?オシャレな所だろ?」


「はい!!」


そう華恋は元気よく返事をする。


「匂い嗅いでみな。」


そう亜美に言われて華恋は匂いを嗅ぐ。


「甘い感じの匂いがする。」


「この匂いには人の心を癒す効果があるんだって。だから癒しの自然公園とも言われてる。」


「確かに、心の闇が消されていく感じがします。」


「お前、心に闇を抱えてたの?」


「いえ、全く。」


そうの声で華恋は答える。


「では、部長。早速、綿毛型を探してきますね。」


そう敬礼のポーズをとって華恋は言う。


「おう。気をつけてな。

ウチはのんびり散歩してるよ。」


「イエッサー!!」


そう叫びながら華恋は走り出す。


「本当、元気だなぁ、あいつ。」


そう小さくなる華恋の背中を見つめながら亜美は穏やかな声で呟く。


🔍


「どこだ?綿毛型はどこだ?」


そう辺りを見渡す華恋の前を緑色の綿毛型(グリーン)がフワフワ飛んでくる。


「居たーぁぁ!!グリーンだーぁぁ!!」


そう嬉しそうに叫ぶと華恋はグリーンに抱きつく。


「欲を言えば会ったことのないブラックが良かったけど、グリーンのこのチクチク感は慣れるとクセになるんだよな~ぁ。」


そう幸せそうな顔で華恋は言う。


「おっといけない。

あんまり抱きつきすぎるとダメだよね。

綿毛型は風に流されないと子供を作れないんだから。でも、実際どうやって作るんだろ?まぁいいか。グリーンちゃん。

1枚、お写真いいですか?」


そう言うと華恋はスカートのポケットからスマホを取り出して1枚写真を撮る。


その後、風に流されるグリーンを見送った華恋は亜美のもとに向かう。


🔍


「部長!!グリーンに会えました!!」


そう華恋が亜美の後ろから声をかける。


「おぉ。そうか。それはよか…バフッ!!」


そう亜美は華恋の顔を見た瞬間ふき出す。


「え?何で笑うんですか?

私の顔に何か付いてます?」


そう華恋は首を傾げて尋ねる。


🔍


ー部室にてー


1人でお留守番している茜のスマホが鳴る。


「部長からメッセージだ。」


〔ピエロ発見。〕


そんなメッセージの後に1枚の写真が送られてきた。

その写真にはピエロの様に鼻をまん丸の真っ赤にした華恋の姿が写っていた。


「・・・なんか楽しそう。

・・・体力…つけようかなぁ。」


そう寂しい気持ちになった茜は小さく呟くのであった。


〈今回の綿毛型の魔術〉

人の鼻をまん丸の真っ赤にする。

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