第三十三話 魔術オタクはまたも叱られる
ハノーク王国の王都ハノークにはその夜、重い闇が立ち込めていた。切れ目のない雲が分厚く、低く空を覆い、星明かりを遮っている。加えてこの日は新月、夜の女王がその身を暗黒の衣で完全に隠してしまう晩だ。魔法の明かりがふんだんにある貴族街ならばともかく、市壁一枚隔てた下町側では足元すらおぼつかない程の暗夜である。
その下町、商業区画にある屋敷から、夜半も近い刻限にも関わらず馬車が走り出た。車体も、それを引く馬も、手綱を取る御者さえも闇に溶け込むような濃い藍色で統一されたその馬車は、静かに王都の内壁に沿って駆けていく。
座席に身を沈めているのは、二十歳そこそこの若い男である。男は懐から取り出した仮面――角のある爬虫類を模したものだ――を指でなぞりながら、馬車に揺られたまま思索にふける。
(学院に送り込んだ手の者によれば、標的は未だに寮に戻って来ないという。首尾良く事が運んだか、それとも失敗したかは不明だが……。差し当たって、今夜の会合は知らぬ顔でやり過ごすしかあるまい)
そのように考えながらも、男は標的が一人で行動する機会を捉えることが出来た以上、事が成った可能性は高いと踏んでいる。
(如何に魔法の才に恵まれていようと、所詮は七歳の子供。荒事の経験どころか、召使いのいない生活すら初めてだろう。第二階梯の魔法使いを相手にして、生き延びられる筈もない)
ひとまず、かの大敵に一矢報いることは出来た。だが、大変なのはこれからだ。ありとあらゆる手段を用いて、相手の激発を防がなくてはならない。これからが本番だと、男は気を引き締める。
(暗殺が成功したと分かれば、腰が引けている一角獣も鷹も、事態を収拾するのに協力するはず。我々が裏で手を組んでいるのは、言わば公然の秘密。後から山程文句を言われるだろうが、一蓮托生とあらば手を貸すのに否やはあるまい……)
随分と勝手な事を男が考えている間に馬車は緩やかに減速を始め、やがて停止した。男は仮面を再び懐に戻すと、フードを深く下ろして顔を隠す。馬車の扉を開け、暗がりの中へ一歩踏み出した。
石畳とは違う、剥き出しの土を踏みしめる感触。
男は一瞬硬直し、混乱してフードを跳ね上げ辺りを見渡した。今宵は確かに暗い夜だが、今現在の暗さは男が経験したことが無いような夜闇だ。冬の夜特有の透き通った冷たい空気が、微かな草木と土の臭い、遠くからの獣の遠吠えを伝えてくる。
愕然とし、後ろを振り返ると、つい先ほど降りたばかりのはずの馬車は影も形も無かった。夜に溶け込むかのように朧げな輪郭ながらも、その存在を示していた商家や倉庫、市壁の影も全く見受けられない。ただただ眼前にどこまでも続く暗がりが広がっていることに、男は生物として根源的な恐怖を覚える。
しかし、本当の恐怖はその直後に現れた。遠くに小さな光点が生まれ、それがゆっくりとこちらへ向かって来たのだ。近づくにつれ、それが携えた杖の先端に魔法の明かりを灯したローブ姿の老女だと判明する。それは正に、男やその同輩達が最も恐れていた人物の姿。
「此処が何処だか分からないって顔だね」
彼我の距離が互いの顔を識別できる程になり、足を止めた老女から言葉が発せられた。そして、それに続く内容は男の想像を遥かに超えたものだった。
「中央平原さ。北の国境の砦から、歩いて七日ってところかね。昔、この辺りでそれなりに大きな
「”
「御名答」
王国で、いや世界でも唯一人の第七階梯魔法使い、エステル・アドニ・アルカライが皮肉げな笑いを浮かべて、男の前に姿を現していた。
「あんたとは初めて会うかね、オズ・アドニ・カツィール。あんたの親父はよく知ってるよ。慎重で、蛮勇からは程遠い男だけど、残念ながらその血はあんたに受け継がれなかったみたいだねえ」
「……どうやって」
少々の間を置いて男、いやカツィール侯爵家の第二子オズから発せられた問いは、単純ながら多義的な意味を含んだものだった。何から何まで理解が及ばない現状は、男から数多の語彙と貴族に相応しい言い回しを奪っていた。
「なに。馬車が止まった瞬間に、馬も御者もひっくるめてあんたをここまで運んできたのさ。安心おし。馬車は停まっていた場所に戻してあるし、御者もまあ、夜明けまでには目を覚ますだろうよ」
そしてエステルからこの地に彼が至った経緯を聞かされても、オズには全く理解できなかった。訳が分からなさすぎて思考を止めてしまった候子に、老女は更に追い打ちをかける。
「今回ばかりは、焦り過ぎたね。サキにちょっかいをかけたモルデカイの弟子から、連絡役の学生、そしてあんたの子飼いの魔法使いと、実にすんなり辿れたよ。学院であんな暴挙をやろうっていうあんたの
仕方がなかった、とオズはぼんやり考える。学院という舞台の制約上、関わらせる事ができる人間の数は非常に限られていた。普段であれば何重にも間に人を挟み、容易に自分と侯爵家には辿り着けないよう、準備してから事に当たっていたのだが。
いや、それでも理解出来ない。学院に潜ませた手の者に暗殺の実行を指示したのは、今日の夕刻なのだ。まだ日付も変わっていないうちに、どうやって王都にいる自分の所在を特定し、罠を張ることが出来る?いくらアルカライ家の諜報網が優秀でも、この時間と距離の制約を一切無視したような手際は予測不能どころか、未だに現実と信じられない程だ。
「それにしても、だ。あんな実践慣れしてない青二才を連れてくるとは、サキのことを甘く見過ぎだよ。ウチの孫達をどうにかしたけりゃ、最低でも第三階梯以上の、従軍経験のある古強者を用意するんだね」
まあ、それだって随分怪しいけど、と呟くエステルを呆然と見ながら、オズは表情が抜け落ちた顔で立ち尽くしていた。何だそれは。そんな魔法使い、アルカライの一門を除けばモルデカイ本人と、後数人くらいしかいないではないか。そんな異常としか言い様がない子供など、手の打ちようがない。
エステルが自分の前に現れた時点で、オズは暗殺の失敗を悟っていた。これほどまで早く、自分の関与が判明するとは思ってもみなかったが。あり得る可能性としては、早期の段階でこの陰謀がアルカライ家に補足されていて、未然に防がれたという筋書き。これならば、暗殺を決行したその日に自分まで手が及んだのも理解できる。
しかし実際は暗殺者を返り討ちにした上で、そこから僅かな時間でオズ自身が拉致されるという、芝居でもなかなか見られないような力技だった。全てを投げ出したくなるような現実を見せつけられ、オズの中の矜持や自負といったものがぽっきり折れる音がする。
アルカライ家がどれ程恐ろしい相手なのか理解した上で、それでもこれ以上強大になるのを阻止するために、今回の陰謀を巡らしたつもりだった。結局のところ、それは完全なる誤りだったと言える。相手は既に、四侯爵家が結託しても対抗するのは不可能なほど強大だった。その力は、オズの想像の遥か埒外にあったのだ。
「さて、事態が飲み込めた所であたしからの質問だ」
放心、という題名で描かれた絵画のように、肩を落としたまま身動きも出来ないオズ・アドニ・カツィールに向かって、エステルは淡々と告げる。
「暗殺実行犯、メレク・ハラリの家族は何処に居るんだい?」
「既にご存知でしょう?」
「あんたの口から聞きたいのさ」
しかし、エステルは重ねてオズに問いかける。その口調に微かな疑念を抱いたオズは、答えを返す前に一瞬躊躇した。
侯爵家の王都別邸に詰めている腹心の魔法使いが、オズの関与と今夜の用件を漏らしたのだとすれば、その辺りの情報も抜かり無く浚っているはずだ。今わざわざその質問をするのは、情報は複数の情報源から得て初めて確度が上がるという、調査の基本に則ったものか。それとも、別の意図があるのか。
「カツィール領都の郊外にある、侯爵家が持つ屋敷の一つに。別段見張りも置いていませんので、連れ出したいならご自由にどうぞ」
この期に及んで答えをはぐらかしても、アルカライ家の調査能力なら簡単に調べがつくだろう。何よりそれは、美しくないとオズは感じた。
一切誤魔化しのない返答に、エステルが「ほう」とでも言いたげな表情をする。それを見て、オズは自身も気づかないほどの薄い笑みを浮かべた。ごくごく些細な点ではあるが、どうやら最後の最後で相手の想定を外してみせる事が出来たらしい。
「随分と素直に答えたね。正直、もう少し往生際が悪いかと思ってたよ」
「全面的な敗北を喫したのです。見苦しく足掻くよりは、せめて潔く退場した方が幾分かマシでしょう」
そう言って肩を竦め、少しばかり冗談めかした態度を見せるオズを、エステルは真剣な眼差しでまじまじと見つめていた。やがて小さく「覚悟は出来ているようだね」と呟くと、魔法の明かりを灯した杖を掲げて、厳粛な声で告げる。
「カツィール侯爵家が第二子、オズ・アドニ・カツィール。他の王国貴族の嫡子を殺害せんと企て、またタルムーグ魔法学院内にて暗殺を試みたその行い、万死に値する」
そして、優しいと言ってもいい声音で一言付け加えた。
「全ての責任は、あんた一人で取るんだね」
「誠に寛大なお取り計らい、心より感謝申し上げます」
そう言って胸に手を当て、大仰な仕草で礼をするオズ。深々と下げられたその頭が上がった瞬間、ズン!という衝撃とともに彼の胸に大穴が開く。
――<
体から力が抜け、ゆっくりと前に倒れ始める。纏ったマントの合わせから、懐に入れていた仮面が零れ落ちた。
――我が家の運命を少しでも良い方に変えようとしてみたが、結局はこの始末だ。大貴族の家になど生まれつくものではないな。
地面が少しずつ近づいてきて、視界が端から黒く染まっていく。
――もし生まれ変わりがあるのなら、二度と貴族になるのは御免被る。そうだな、来世は舞台俳優などどうだろうか……
地に伏す衝撃を感じ取る前に、オズ・アドニ・カツィールの意識は消失した。
おびただしい血を流し地に横たわるオズの死体に、エステルは静かに歩み寄った。傍らに落ちている竜を模した仮面を拾い上げると、無言で踵を返して歩み去る。杖の明かりが遠ざかり、やがて遺体が完全に闇に呑まれたところで「<
全ての気配が絶えた中央平原に、再び闇と静寂が戻って来る。そこで一人の青年貴族の命運が尽きたことは、誰も知らない。
舞台はここで、再び王都へと戻る。
商業区域の一角に用意された密会用の一室では、オズ・アドニ・カツィールが今夜会うはずだった面々が、三者三様の態で彼の到着を待っていた。
「獅子」は腕を組んだまま、三人が着座しているテーブルの上のランプの明かりを見つめて微動だにしていない。
「一角獣」は椅子に
「鷹」は随分と落ち着きがない。先程から「獅子」と「一角獣」の様子を窺ったり、空いたままの「竜」の席に目をやったりと、せわしなく仮面で隠した顔を動かしている。手元でも自身の衣の袖を反対の手で引いてみたり、指を組んでは解いてみたりと、所作に心中穏やかでないことが現れていた。
「……やはり、竜は不参加のようだな。事前に知らせが無かったのは腑に落ちんが」
彼等は着席してから互いに沈黙を守っていたが、遂に「獅子」が口を開く。既に時刻は、夜半を大きく回っていた。これまでも度々会合の刻限に遅れることのあった「竜」だが、こうまで遅れたことは一度もない。
「何ぞ、あったのではないか?」
頬杖を突いたまま、あらぬ方向に顔を向けつつ「一角獣」が発言する。
「何か、とは?」
「さてな。あるいは、彼奴が屋敷を出て此処へ来るまでの短い間に、その何かがあったのやも知れぬ」
「獅子」の短い問いに、「一角獣」ははぐらかすかのように答える。その時、がたんと音を立て、椅子を蹴倒さんばかりの勢いで「鷹」が立ち上がった。
「わ、
そして慌ただしく二人に向かって頭を下げると、この部屋に入って来た扉から駆け出すように出ていった。残された二人のうち、「獅子」は唖然としたような声で呟く。
「一体どうしたというのだ?何をそれ程慌てている?」
「大方、心当たりがあったんじゃろうて」
「獅子」は独り言のつもりで口に出していたが、それに対する
「手出し無用と前回の会合で決めたにも関わらず、竜が抜け駆けしたのだろうさ。言うまでもないことじゃが、儂らは手を組む一方で互いを信用せず、時に出し抜くことを考えておる。鷹の家も学院に伝手を持っておるから、その線で竜の動向を掴んでおったのじゃろう」
「それは、つまり……」
「竜は、奴等の逆鱗に触れるような事を仕出かした。その報いで、この場に顔を出せぬような事態になっておるのではないかな?鷹の落ち着きがなかったのは、予めこの事に勘付いていたからじゃろうなあ」
相も変わらずそっぽを向いたまま、「一角獣」は何でも無い事のように平然と語る。一方の「獅子」は仮面に手を当てて、力無く首を振った。
「翁の仰る通りであれば、奴は何と早まったことを……。これは我々も、他人事と呑気に構えてはおれませぬな」
その口調はもはや、「獅子」と「一角獣」というそれぞれの家を代表する
「私も失礼いたします。屋敷に戻り、情報を集めねばなりません。……もしやすると、王都を出て領地に戻らねばならぬやも。この会合も、当分中止といたしましょう」
「それが良かろう。お主も息災でな」
「翁も」
漸く「獅子」に向き直りひらひらと手を振る「一角獣」に対し、「獅子」は再度深く頭を下げて背を向ける。その背中が扉から消え、猶もしばらくし待ってから「一角獣」は大きく溜息をつき、一言漏らす。
「ま、どう足掻こうと全て手遅れなんじゃがな」
そして彼はテーブルのランプに手を伸ばすと、一角獣の仮面を外して一息に火を吹き消した。室内が完全な暗闇に閉ざされる直前、白眉を顰め憂いを湛えた老人の顔が浮かび上がる。
闇の中で扉を開閉する音が聞こえ、足跡が遠ざかっていく。誰も居なくなった室内には、テーブルの上に一角獣の仮面がぽつんと残されていた。
秘密の会合が予期せぬ形で中止となった、この新月の夜。もうすぐ払暁という時間にも関わらず、貴族街の一部の屋敷では慌ただしく人々が出入りし、王都中の情報を求め駆けずり回ることとなった。そして彼等は商業区の一角で放置されていた馬車を発見。御者は手綱を持ったまま眠っており、中はもぬけの殻だった。
さらに夜明けとともに、貴族街にあるカツィール侯爵家の屋敷で門前に何かが置かれているのが発見される。それは竜を
なお「一角獣」と呼ばれていた老人は屋敷へ戻ると、そのまま自室で秘蔵の酒の数々を取り出し、一睡もせずそれらを浴びるように飲んでいた。明け方、彼の屋敷にも仮面が見つかったとの報せがもたらされる。報告を聞いた老人は盃を口に運んでいた手を止め、感に堪えたように首を振ると、全く酔っていない口調でぽつりと零した。
「首謀者の首一つで済ますとは、あの”魔女”も丸くなったものよ」
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悲報。俺氏、膝詰めで説教される(一ヶ月ぶり二度目)
刺客メレク・ハラリを退けた俺は、即座にアザド主任教授へ<
「どうしてそこで果たし合いを受けるんじゃ。お前はまだまだ駆け出しなんじゃから、助けを呼ぶことを考えんか」
一通り説明を聞いた後、アザド教授は予想通り呆れた様子で俺に駄目出しをした。手で顔を覆って溜息をつくその姿にも、何だか見慣れた感があるのはどうしたものか。
「ですが、相手は最初から僕を殺しにかかってるんですよ?逃げても背に呪文を打ち込まれて終わりでしょう」
「隠れているのを見つけた時点で、儂に一報を入れれば済む話じゃろうが」
「……仰る通りです。声を掛けたのは迂闊でした」
「お主は将来子爵家を継ぐ身であり、儂らの派閥の領袖となるべき男じゃ。今少し、自身の身の安全にも気を配るべきじゃな」
ぐうの音も出ねえ。俺は「以後気をつけます」と言って、教授に頭を下げる。一応成算があったにしても、責任ある立場の者がリスクを取りに行くのは感心しないってことだな。非常に納得のいく話なので、ここは素直に謝っておく。
「ま、小言はこれくらいにしておくとして。今回の事件は学院内で起こった事件であり、モルデカイ翁にも関わりがあり、何よりお主の家に関係する話じゃ。正直に言って非常に面倒な事になっておる」
教授は憂い顔を隠しもせず、俺やルリアに向かってそう
「後は大人に任せて、お主達はもう休め。ああ、寮には戻らんほうがいいじゃろうから、教授用の居室に泊まっていくと良い。三人一緒だが、構わんじゃろ?」
俺の腕にしがみついているルリアが、こくこくと何度も頷く。久し振りに一緒に寝ようという魂胆だな、これは。俺達もそろそろそういう行為が微妙な年頃に差し掛かっていると思うんだが、言っても聞かないのは明白。諦めよう。
「承知しました。ですが、一つだけ口を挟ませていただいてもよろしいでしょうか?」
うん?という顔で俺を見やるアザド教授に、俺は真剣な声でお願いする。
「ハラリ氏が今回の仕儀に及んだのは本意でなく、已むに止まれぬ事情があったに違いありません。是非とも、最大限の温情を」
学院内での私闘、貴族への暗殺未遂と、ハラリ氏にかかっている容疑は凄まじく重い。多分だが、極刑は免れないんじゃないだろうか。しかし決闘の前に交わした言葉からしても、彼は本来こんな事をする人間では絶対ないはずだ。
何としても、罪一等を減じられてほしい。でないと、わざわざ俺が殺さずに無力化した甲斐がねえだろうよ。
アザド教授は俺の嘆願にふ、と表情を緩めると、俺の頭をぽんぽんと叩いて答える。
「分かっておるわい。儂も出来れば、同じく魔法を学ぶ同胞を疑いたくない。事情にも依るが、最大限の配慮をすることを約束しよう」
しかし教授は、そこで目を逸らしながら一言付け加えた。
「尤もそのような俺等の思いが、今回のような事態を招いたという言い方も出来ようがな。そこは反省せねばならん」
何やら気になることを最後に呟いていたが、教授はもうこれ以上話すつもりは無いようだ。俺達は追い立てられるように執務室から連れ出され、学院内の教授用区画の一室へ押し込められた。そこに簡単な食事が三人分用意してあるのを見て、そう言えば夕食を食べそびれていたっけと思い出す。
言葉はなくとも上機嫌と分かるルリア達と一緒に遅めの夕食を摂ると、俺は早々に床に就いた。ルリアと枕を並べて寝るのは随分久し振りな気がするが、よく考えたら屋敷を出てまだ一ヶ月とちょっとだ。知らぬ間に一人寝にも慣れていたんだな、なんて事を考える。
今日は思いがけずに魔法戦を経験して、それからずっと緊張のしっぱなしだったせいもあるのだろう。横になってすぐ、抗い難い睡魔に囚われ俺は意識を手放した。
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