第三十二話 魔術オタクは魔法戦闘を経験する
「ああサキ君、丁度良かった。寮へ戻って来たばかりで申し訳ないんだけど、少々頼まれてくれないかい?」
ある日、学院での授業を終えてロシェやイサクと金竜館に戻って来た俺は、エントランスホールで三年生のラグ寮長に捕まった。もうしばらくすれば夕食が始まる時刻なので、このホールにもそれなりの数の寮生が居る。その彼等の視線が一斉に、俺に向かって集中したのが肌で分かった。
「どうしました寮長?こんな時間に頼み事なんて……」
俺は困惑しながらも、寮長に対し答える。季節柄、夕食前の刻限ということは日没も近いということである。用事を頼むにしては少々遅い時間と言えるだろう。さり気なく後ろを振り返ってみるが、ロシェもイサクもしれっと俺から距離を取ろうとしていた。
「今から紅竜館に届け物をして欲しいんだ」
ラグ寮長の言葉はしかし、俺の想像の斜め上を行くものだった。聞き耳を立てていた周囲の寮生も、思わずどよめいている。
「いや寮長、女子寮は男子学生立入禁止ですよ?どうやって届け物をするんですか」
「うーん、サキ君なら大丈夫と思うんだけど?ともかく、僕の部屋で詳しい話を聞いてくれないかな」
俺なら大丈夫って、どういう意味だよ。あれか、銭湯で女湯の方に入ってもセーフ的なヤツか?いや流石に、俺の年齢ではもう無理だと思うぞ。
ただまあ、場所を移動しようというのは賛成だ。今このホールには「紅竜館」「女子寮」という単語に反応して、耳がダンボ状態の学生が多数発生しているためだ。
一応友人たちの方に視線を送ると、離れた場所から手を振ってやがる。俺は一瞬だけ視線に殺気を込めると、ラグ寮長に「分かりました、伺いましょう」と返答したのだった。
ホールから扉一つ隔てた寮長室に俺を招き入れると、ラグ寮長は手ずからお茶を淹れて勧めてくれた。俺は礼を言ってカップから一口飲むと、寮長の説明を待つ。
「実は今日、外出してきたんだよ。と言っても、後援関係の方にお会いしてきただけなんだけどね」
ラグ寮長はそう言って、自分も眼の前のカップに口をつけた。そうか外出か。俺達一年生はまだ学院の外に出ることを許されてないが、二年生からは成績に応じて外出許可が得られるようになる。三年生ともなれば、場合によっては外泊や一時的な里帰りさえ許されるのだ。
今回の寮長の外出はそれ程楽しい用件ではなかったようだが、学院と寮の往復しか許されていない一年生の俺からすれば、それだけでも羨ましい。最初に締め付けておいて、次に自由を餌に向学心を煽る。学院のやり方はなかなかに巧妙である。
「後援関係というと、王家からの使いの方ですか。様子を見に来られたというところですかね」
「僕も三年生になったし、そろそろ将来のこととかも相談する必要があるしね。軍人になるのを勧められているけど、まだ決めきれなくて」
ラグ寮長は王都の学問所で学んでいた頃に奨学金を得ているが、この国にかっちりとした奨学金制度があるわけではない。その実態は有力者による成績優秀な学生への援助、つまりは
奨学金を得ていても卒業後の進路は自由というのが建前だが、そこは人情というものがある。紐付きと言えば言葉は悪いが、やはり世話になったところに就職したり、仕事先を斡旋して貰うことがほとんどだ。ラグ寮長は魔法の腕も確かだし、王家直属の魔法師団に入団する線が一番濃厚だろう。
「ここからが本題なんだけど、お会いした際に先方が手土産を持ってきてくれたんだよ。この学院都市でも有名な甘味の店で、一番人気のパンケーキをね」
「ああ、エリシェさんから聞いたことがあります。凄い人気で、今では並んでも買うのが難しいとか」
学院都市随一とも噂される菓子店「蜂蜜亭」の人気メニュー、芋のパンケーキである。パンケーキと呼ばれているが、前世で言うハッシュドポテトに幾分似ている。磨り下ろした芋やその他の野菜を丸めて油で揚げ焼きにしたもので、これに蜂蜜をたっぷりかけて食べるという、「カロリーこそ正義」と言わんばかりのお菓子だ。
外出できないはずの俺達一年生だが、エリシェ嬢はどうやってかこの入手困難なお菓子を結構な頻度で取り寄せており、それを餌に(文字通りの意味だ)他の女子学生を招いて自室でお茶会を開いているようだ。この情報源は勿論、甘味の魅力に抗えずお茶会に参加しているルリアである。
「それで、この事をイディス女史に話したら、是非分けて欲しいと頼まれてしまってね」
「夕食前にご馳走様です。でもそれでしたら尚更、明日ご自分でお渡しになった方が喜ばれるんじゃないですか?」
「それがね、今すぐ持って来いとの仰せなんだよ」
「ああ、女性は甘いものが絡むと人が変わりますからね」
そう言いながら俺は、一、二回しか会ったことのないイディス寮長の凛々しい横顔を思い浮かべる。セミロングの赤毛を揺らして「キミが噂のアルカライ家の次期当主だな。
ちなみにラグ寮長とイディス寮長の二人は、そういう仲である。寮長同士というのは学院生活でも色々と話し合ったり一緒に仕事をしたりする機会が多く、親密になるケースが多々あるのだとか。過去何組も寮長同士のカップルが誕生しているという逸話を、楽しそうに話すエリシェ嬢から聞いたことがある。
この時ばかりは彼女の膝の上に抱えられていたルリアも、暴れたりせずじっと話を聞いていた。何時の世も、どんな世界でも、甘いものと恋バナは女子の大好物ということなのだろう。
「それで話は最初に戻りますけど、僕でも、と言うより僕に限らず男子学生は女子寮には入れませんよ?どうやってイディス寮長にお菓子を届けるんですか?」
「ルリア君の従者は、君の家の使用人なんだろう?彼女に紅竜館の玄関まで出てきてもらって、そこで渡すというのはどうかな。後は、その彼女がイディス女史に届けてくれれば」
「……成程、それなら大丈夫そうですね。分かりました、引き受けましょう」
俺は一旦寮長室を辞し、自室に戻ってルリアに<
『もう少し時間を置いてからこちらに来て。ハンナと一緒に玄関へ行って、こちらから扉を開けるから。間違っても先に着いて扉をノックしたりしないように』
誰かと思うかも知れないが、<伝言>だとルリアはこんな調子である。普段の無口っぷりが嘘のような饒舌さなのだ。<伝言>の呪文を覚えた当初は、毎日ひっきりなしにルリアからメッセージが届いて、ちょっと閉口したもんだ。俺の魔力じゃ、全部に返信するのは不可能なんだよ。
それはともかく、理由は分からんが少々間を置けとのことだったので、ちょっと上等な他所行きのローブに着替えてみたりする。胸に
そうして再度寮長室を訪ね、ラグ寮長から件のお菓子を受け取る。樹皮を編んだ小さな手提げ籠に入ったそれは貴重な蜂蜜がたっぷり使われていて、俺の目から見ても確かに美味しそうだ。同じく編み細工の蓋をかぶせながら、俺は寮長に向かって少々意地悪な口調で言う。
「それにしても学院では貴族も平民も関係ないとは言え、子爵家の嫡男にこんなお使いをさせる人はラグ寮長くらいでしょうね」
「あはは。でもサキ君は、喜んで引き受けてくれると思ったからね。好きでしょ?こういうの」
「よくお分かりで。でもそれはそれとして、貸し一つですからね」
「うわ、怖いなあ。でも仕方ないか、それじゃよろしく頼むよ」
「承りました」
俺は冗談ぽく胸に手を当て、腰を折って大げさな礼をすると、ラグ寮長に見送られながら寮長室を出た。この程度の雑用で、ラグ寮長に貸しが作れるなら大黒字だ。寮長を任されるということは、品行方正でリーダーシップがあると認められているということ。その上成績優秀な彼は、学院からの信用をこれでもかという程持っている。在学中は色々頼りに出来るだろうし、卒業後は得難い人脈となるだろう。まさに
金竜館のエントランスホールには先程にも増して寮生達がたむろしていたが、ホールの玄関に向かう俺をかなりの数が目で追っている。キミら、そんなに俺が女子寮に行くのが気になるのか。思春期の男子か?……思春期の男子だったわ。スマン許せ。俺は心の中で彼等に詫びながら、玄関のドアを開けるのだった。
再び金竜館から外へ出ると、夕闇が一気に辺りを染めようとしていた。流石に冬の陽は落ちるのが早い。学院内には警備の人間を助けるためにあちこちに魔法の明かりがあるので、例え完全に日が暮れてもそれ程不便はないのだが、日没後も学生が寮の外をうろついているのはやはりまずい。届け物が済んだら、急いで帰るのが吉だなこれは。
金竜館と紅竜館はそもそもそんなに離れていない。学院の敷地内を歩きながら、紅竜館の玄関で「着いたよ」とルリアに<伝言>を飛ばすべきか、などと考えていたら、ちょっと無視できないものを見つけてしまった。
人だ。金竜館と紅竜館、それと学院の三者から丁度中間に位置する場所に、人間サイズの魔力の光がぼんやり浮かび上がっている。ただそれだけなら何も気に留めることは無いが、魔力の光は見えるのに実体としての肉体、つまり
この状態、覚えがある。以前
ただ、俺と婆ちゃんには他人の持つ魔力の光が見えるので、この呪文は効果がない。塾でのことは、俺が魔力を視る事が出来るのを婆ちゃんが失念していたと後から聞いたけど。問題は、こんな時分にこんな所で呪文を使って隠れている魔法使いが眼の前にいるってことだ。どう考えたって怪しい。
怪しいのは間違いないんだが、じゃあ曲者かと言うとそうとも言い切れないのが困ったところだ。知ってるか?魔法使いって、全員どっかおかしいんだぜ?これだって屋外で呪文の実験をしたかったのに、誰か来たんで慌てて隠れた教授の誰か、なんて可能性も捨てきれねえんだ。
どうすっかなー。見過ごしも出来ねえし、危険人物という線も無くはない。はあ、仕方ない。最悪の場合でも、何とかなるだろう。俺は相手を刺激しないようゆっくり近づくと、ある程度距離を開けて声を掛けたのだった。
「あの、どうしてこんな所で隠れているのですか?」
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私は暗殺の対象であるサキ・アドニ・アルカライに向こうから声を掛けられ、混乱の極みにあった。間違いなく彼は、私がここで隠れていることを認識している。高位の呪文には、対象が自身にかけている呪文の効果を打ち消す呪文もあると聞くが、彼がその様な呪文を使用した素振りは無かった。そもそも、そんな呪文は幾ら才能に溢れていたとしても、学院に入ったばかりの学生に使いこなせるようなものではない。
落ち着け。私は自分に向かって言い聞かせる。姿を隠していたことを見抜かれたからといって、私がやる事が変わるわけではない。私は自身にかけていた<透明化>の呪文を打ち切ると、姿を現して彼に問うた。
「アルカライ子爵の一子、サキ・アドニ・アルカライだな?」
「……それを聞いて、どうされるおつもりなのでしょうか」
眼の前の少年は少し離れた場所に立ち止まったまま、私の問いには答えず警戒した様子で聞き返してきた。大したものだ。彼は私がこの場所に隠れていた意味、名前を聞いた意味を理解して、その上で私の用件を問うている。私は意を決し、声が震えないよう祈りながら、決定的な言葉を告げた。
「君自身に恨みは無いが、この場で死んでもらう」
そうして呪文を唱えるため、手を上げて眼前に構える。しかし少年は殊更怯えた様子も見せず、落ち着き払って言葉を継いだ。
「恨みが無いのであれば、この様な事を敢えて行う必要は無いのでは?何か事情がお有りのように見受けられますが、お聞かせ願えないでしょうか?お力になれるかも知れません」
思わず私は、上げていた腕を下ろしてしまった。信じられない!この様な
だが駄目だ。既に私は引き返せない所まで足を踏み入れている。私がここで彼にすがってアルカライ家の力を借りようとしても、私の行動は直ちに学院内の協力者からあの仮面の男に伝わり、私の妻と娘は殺されるだろう。もはや後戻りは出来ないのだ。私は
「有り難い言葉だが、私にはこうするしか道が無い。許しも請わない。せめて苦しむこと無く、魔法の女神の元へお連れしよう」
「是非もなし、ですか」
少年は諦めたように息を吐くと、決然とした瞳で私を見返した。その口から、歌い上げるように言葉が発せられる。
「我は”
その腕が上がり、頭上から
「我は光もて、地に堕ちし闇を打ち払わん!!」
あまりに堂々とした名乗りに、私は思わず息を呑み、何をすべきか考える力を喪失していた。何だ?私は何を聞かされている?!一瞬の間があって、漸く腑に落ちた。何ということだ、彼はこの私の恥ずべき行いを、尋常の果たし合いとして、決闘として受けて立つと言っているのだ。
私は遂に、目頭に浮かぶ熱いものを堪えることが出来なくなった。彼は、サキ殿は、破滅が間近に迫ったこの私を唾棄すべき暗殺者でなく、魔法使いとして遇してくれている。こうまでされては、私の感傷など意味を成さない。これに応えねば、私は自分を恥じる資格すら失うだろう。
「”雷光の魔法使い”ベニ・モルデカイが門下、第二階梯魔法使いメレク・ハラリ」
名乗る価値など一片たりとて無い我が名だが、それでもここは言わねばならぬ。
「サキ・アドニ・アルカライ殿、お命頂戴する!」
そうして私は、生涯において最初で最後の決闘に身を投じた。
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言ってやった。言ってやったぞ!
やっぱ魔術師同士の戦いとなれば、互いに結社名と位階を名乗り合うのが定番。俺的には、ここは絶対譲れないところだった。最後のはまあ、景気付けだな。勢いで言った割には何だか良く出来てる気がするから、俺の<
いやしかし、魔術戦を経験する前に魔法戦をやる羽目になるとは思わんかったが、まあそれはいい。先ずは目前の戦いに集中しよう。
対峙している魔法使いは三十代半ばといったところ、学院内で見かけたことがないので教授ではないと断言できる。おそらく外部からの訪問客の一人なのだろう。誰に頼まれたのかは知らないが、私闘厳禁の学院の掟を破ってまでこんな子供の生命を狙おうとは、ご苦労さまとしか言いようがねえな。
相手は第二階梯の魔法使いということで、俺より格上である。だが見た感じ、そんなに戦い慣れしているとは思えない。アザド団長やナタンさんのような、経験から来る落ち着きや迫力が感じられないからだ。
加えてその顔つき。眉間に皺は寄っているけれど険のある表情ではなく、犯罪に慣れている者特有の粗暴な雰囲気が見て取れない。俺が話しかけてからの応対も、おっとりしているというか問答無用な空気がなかった。どちらかと言うと真面目そうな、暗殺とか全く縁がなさそうなオジ様である。
こりゃあれだな、追い込まれて思い詰めちゃった挙げ句の行動っぽいな。この手の真面目な人ほど、問題から逃げないし距離を置いて考えることが出来ない。必死に何とかしようとして、結果、全くらしくない大それた事をやらかすんだ。
望んでの行いでないのは分かっちゃいるが、だからといって俺が殺されてやる道理など無い。ま、保険もあるから気楽にやってみようか。そんな訳で、俺は敵魔法使いに向かって駆け出して行ったのだった。
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戦闘開始直後、サキ少年は私に向かって走り寄ってきた。私はその行動に虚を突かれたが、慌てず呪文の詠唱に集中する。
魔法使い同士の戦闘は、足を止めての魔法の撃ち合いが基本だ。派手に動くと集中が乱され、肝心の呪文の発動に悪影響を及ぼす。魔法戦闘の授業では最初に教わることだが、入学したばかりの彼は、まだそこまでは教わっていないはず。残酷なようだが、得てして現実とはそういうものだ。
戦場で魔法使いを相手にする際は、とにかく近づけとはよく言われることだ。これは接近戦に持ち込めば有利になる、という意味ではない。近づくことが出来なければ勝機が全く無いからで、実際には近づいたからといって簡単に勝てるというものでもない。そして、近づくだけでも全く容易ではないのだ。そう、このように。
「<
彼我の距離が半分に縮まった所で、私の呪文が発動する。<魔法の矢>の速度は速く、人間ではこれを躱すことは不可能。そしてその威力は、十にも満たない年齢の子供ではとても耐え得るものではない。ああ、決闘の幕切れだ……
ズガン!!
鈍い音がして、私の放った<魔法の矢>はサキ殿の眼の前で弾け、そのまま霧散した。そして彼は無傷のまま、私に向かって足を止めずに駆けて来る。<
既に彼は私の眼前まで迫っている。しかしながらサキ殿は魔法使いで、しかも
「<
次の瞬間、全身を凄まじい衝撃が走り抜け、私の意識は闇に呑まれた。
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<
いやこれは冗談だが、言っている内容そのものは完全に正しいのが恐ろしいところだ。改めて、呪文動作省略の威力を実感したぜ。
俺がハラリなる魔法使いに突進するのと同時に、彼は呪文の詠唱を開始した。指で描かれる<
後から呪文を唱えたのに、相手の<魔法の矢>より先に<盾>が発動している。呪文動作省略がどれくらいヤバい技術なのか、これだけでも分かろうってもんだ。婆ちゃん達が絶対秘密にしろというのも頷ける。
そしてまんまと相手の懐に飛び込んだ俺は、やはり動作省略で<電撃の手>を発動した。この時点で、敵魔法使いは二度目の呪文の詠唱を開始できていない。<電撃の手>は前世で言うスタンガンと良く似た呪文で、電流を纏った手で相手の体に触れることで、一瞬だけ高圧の電流を流して気絶させる。敵を殺さず無力化するには、もってこいの呪文なのだ。
え?お前、つい先日<電撃の手>を覚えられないって嘆いてただろって?そうだよ、悔しいからあれから三日間、ひたすら<電撃の手>を練習したんだよ。そしたら昨日、急に使えるようになったんだよな。習得してしまえば、動作省略も楽勝だった。発動のやり方とか一切変えてないのに、呪文習得の法則はホントよく分からん。
しっかしまあ、まさか学院を卒業する前どころか入学一年目で実戦を経験するとか、正直無茶をしたという自覚はある。一応、保険というか大丈夫だろうという目算はあったんだよ。それは今も俺の後ろで煌めく光を放ってる、空気が渦を巻いたような透明の存在。これ、間違いなく婆ちゃんが俺につけてくれた魔法の護衛だと思う。アルカライ村で見たやつよりかは、だいぶ小さいけど。
いざという時はコイツが加勢してくれるだろうし、魔法的な繋がりで婆ちゃんが俺の修羅場を知って、アザド教授あたりに知らせてくれるんじゃないかと思ったわけよ。そうでなきゃ、自分から不審者に声を掛けたりしませんて。結果、想定の中でも最悪の事態だったことからは、全力で目を逸らさせてもらうけど。
お、紅竜館の扉が開いて、ルリアとハンナが出てきた。まずいな、俺の眼の前で気を失ってるハラリ氏についてなんて説明しよう。それよりもアザド教授に、学院内で襲われたって報告する方が先だろうな。あー、また面倒を起こしたって怒られるパターンだよ、これ。俺、悪くないのに。
後日談。この時俺に付けられていた護衛は<
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