第5章
第29話
「姫さまぁー」
夜明けを待って、姫の寝室のドアを叩く家臣の男。
「なんです
朝から騒々しい」
エミーゼ姫が、上半身だけ起こして返事すると、
「おお目覚められましたかエミーゼ姫」
家臣の男が、寝室にズカズカと入ってくる。
「夕べ遅くに寝たのです
もう少しファーーッ」
そう言って、横になりフトンをかけるエミーゼ姫。
「いたのですヤツが………
おっと失礼あの方が」
少々、興奮気味に話す家臣の男。
「なんなの」
チラッと、家臣の男の顔を見るエミーゼ姫。
「マスターが見つかったのですよエミーゼ姫
猟師がパーティーを見つけて知らせて───」
と、家臣の男が話している途中に、
「えっ
なぜ それを早く言わないの !!」
ベッドから、飛び起きるエミーゼ姫。
「いえ言おうとしたらねむ」
そう、言いかけて言葉を飲む家臣の男。
「言い訳はいいの
そそくさと、衣装部屋に入るエミーゼ姫。
「いえ」
首を、振る家臣の男。
口ひげを、なでる。
「えっ?」
顔だけ、衣装部屋から出すエミーゼ姫。
「居場所がわかっただけでまだ捕縛は出来ておりませぬ」
縄で、クルッと回すジェスチャーをする家臣の男。
「えっ
ウキウキを返せ」
半裸で、仁王立ちするエミーゼ姫。
「申し訳ございませんエミーゼ姫」
片ヒザを、つく家臣の男。
「早く捕まえて来るのです
くれぐれも
家臣を、指差すエミーゼ姫。
「はッ」
走って寝室を出る家臣の男。
「もうすぐ待ち焦がれたマスターにまた会えるのね
そうだわホワイトローリエにも言っておかないと」
サッと、着替えを済ませてホワイトローリエの寝室に行くエミーゼ姫。
「姉さん
ホワイトローリエ姫」
そーっと、ドアを開けてホワイトローリエの顔を見るエミーゼ姫。
「………」
顔色が、真っ白くて返事がないホワイトローリエ。
「まだ眠っているのかしら」
ホワイトローリエの、そばまで行くエミーゼ姫。
「冷たい
また幽体離脱してマスターを探してくれているのね」
ホワイトローリエの、ほほを
「ありがとう姉さん」
その頃
「おいダンジョンから出来て来たか?」
ダンジョンの前に、見張りの兵士を2人立たせていた。
そこに、馬を走らせ家臣の男がやってくる。
「いえまだです」
見張りの兵士が、答える。
「エミーゼ姫からは丁重に保護せよとの
エミーゼ姫からの伝言を、兵士たちに伝える家臣の男。
「あれ? 縄でふん縛ってでも連れてこいではなかったのですか ??」
真顔で、聞き返す兵士。
「うるせぇ
そうではない」
どなる家臣の男。
「はッ」
その頃
「ハァハァ
この地味な登り坂がしんどい」
西洋甲冑を、カチャカチャ鳴らしながら走るオレ。
「でも
この先にハマオニールがいるはずよ」
マリンが、そう言うので、
「あぁ」
短く、返事する。
「光がさしているわ」
あれは、太陽の光だ。
「シッ
話し声がする………」
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