第28話

「まぁ逆に静かでイイのですけどね」


 笑顔で、グサッと言うサフィス。


「んーーー」


 マリンは、だいぶフラストレーションがたまっているようだ。


「ハイハイ

いきますわ」


 緑色のモンスターと、対峙するサフィス。


「さーて………

どんな攻撃を」


 余裕を、見せるように笑う緑色のモンスター。


「スロウ!」


 すばやくない相手に、あえてスロウをかけるサフィス。


「なッ」


 全く、想定外で固まる緑色のモンスター。


「さあみんなでボッコボコにしましょう」


 ニッコリしながら、スゴいことを言うサフィス。


「おう」


 緑色のモンスターを、パーティメンバーで囲む。


ゲシゲシ

ドンドン


「ギャアー」


「おい

そろそろ元に戻せ」


 胸ぐらを掴んで立たせる。


「ハヒッ」


 ペコペコするモンスター。


「ふぅ

戻ったな」


 やっぱり、初心者用のダンジョンだけあってイージーな設定だ。


「はい

それでは」


 そそくさと、逃げようとするから捕まえる。


「待て」


 まだ、用事は終わってない。


「ヘッ ??」


 変な、汗が出るモンスター。


「この女の子を見なかったか? 鉄カブトをかぶっているが」


 似顔絵を、見せてみる。


「あー

そいつ男かと思っていたが」


 モゴモゴと、しゃべり出すモンスター。


「見たのか? どこに行った ??」


 モンスターを、揺さぶる。


「もっと奥に行ったよ」


 洞窟の、奥を指差すモンスター。


「それは 本当なの ??」


「あぁ 本当さ」


 ため息まじりに言うモンスター。


「それと もう1つ」


 確認しなきゃいけないことがある。


「まだ なにか ??」


「このダンジョンは 出入口は1ヶ所か ??」


 別の、ルートで出られたらお手上げだよ。


「いや

お前らが入って来た穴の真上にもう1つ穴があっただろう?」


 腕組みしながら、言うモンスター。


「いや

ここに来た時は すでに暗かったからな」


 よく見えなかった。


「ヘン

もうそこから出てしまったかもな」


 態度の悪いモンスター。


「マズいな」


 このモンスターを、相手している間に逃げたかもな。


「マスターどうします ??」


 マリンが、聞くので、


「一応 奥まで確認しよう」


 まだ、潜んでいるかも知れないからね。


「そうよね」


「よし行こう」


 奥を、指差すと、


「「はい マスター」」


 声を、そろえるメンバー。


「このダンジョンに来た記憶がないけどみんなはどうかな ??」


 ほとんどのダンジョンを、回ったハズだが思い出せない。


「おぼえてないわ

まぁ 特徴がないわね」


 マリンが言う通り、ダンジョンと言うよりただの洞窟だ。


「まぁ 初心者向けだから入る必要がなければ入らないよね」


 見るからに、お宝とか無さそうだしなぁ。


「だよな

なんだか広いところに出たぞ」


 上が、見えないほど天井が高い。

 そして、体育館のようになっている。


「うわー

すごい」


 感動するマリン。


「ここでコンサート出来そう」


 まさに、コンサートホールのようだ。


「カリスがセンターで歌おうか」


 話を、振ってみるが、


「あたいは センターってキャラじゃないし」


 なぜか、うつむくカリス。


「あれ? センターやりたいってのヤメたの ??」


 けっこう、自信マンマンに夢を語っていた彼女は、どこに行ったのだろう。


「うん

どうせ言うだけむなしいし」


 無理やり、笑顔をつくるカリス。


「あきらめちゃダメよカリスちゃん!!」


 上の方から、声が降ってくる。


「うわ

あんな上にハマオニールが」


 3階くらいの高さに、穴があいていてそこから手を振るハマオニール。


「あぶないよ

降りておいでよー」


 カリスが、そう言うのだが、


「追いかけないで! ヘルムの酒場で出会った男とアタシは結婚するんだから」


 いきなり、変なことを言うハマオニール。


「えっ? ………え゛ーッ」


 ビックリするホワイトローリエ。


「だから ほっといてよ」


 シュッと、頭を引っ込めるハマオニール。


「うわ

どうしますマスター ??」

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