第4章

第22話

「ふぅ

やっと着いた」


 ヘルムの街を、見下ろす丘の上までホワイトローリエ姫を抱えたまま登って来た。


「早く 下ろしてよ~」


 小さい体を、ジタバタするホワイトローリエ。


「あぁワリィワリィ」


「女神サフィスは まだ来ていないのね」


 マリンが、そう言うと、


「えっ

サフィス様が いらっしゃるのですか ??」


 目を、丸くするホワイトローリエ。


「えっ

変な髪型の人が いたでしょ ??」


 ジェスチャーするマリン。


「………変なって言うな」


 瞬間移動で、パッとあらわれるサフィスと数寄屋橋カリス。


「わっ !!」


 ビックリするホワイトローリエ。

 しりもちをつく。


「ごめんなさいサフィス」


 マリンが、素直にあやまっている。

 どうやら、本当にライバル心が無くなっているみたいだね。


「あ

女神さまなんですね

気がつかず失礼しました」


 頭を、下げるホワイトローリエ。


「えぇそれはイイんだけどさ

マスターなんで姫を連れて来ちゃったの ??」


 オレに、確認するサフィス。


「あっ

なんとなく………」


 いや、途中で下ろしてオレたちが行く目的地のダンジョンをヤツらに、しゃべられてもワザワザ北門から出なかった意味がなくなるし。


「ちょ

じゃあ人質とか そういう事じゃあないのね」


 深読みしていたサフィス。


「そんなつもりはない

早く帰って欲しいくらいだ」


 厄介事が、増えちゃったよ。


「まぁ! 失礼しちゃうわね

妹と会ってくれるまでどこまででもついて行くわよ」


 オオカミが、襲うようなポーズをするホワイトローリエ。


「いや

それは 勘弁かんべんしてくれ」


 妹のエミーゼとも冒険したが、すんごい迷惑だったからね。


「マスター

またパーティーに女を増やしたんだね」


 マリンが、冷ややかな視線を送ってくる。


「待てマリン」


 完全に、誤解だろ。


「まぁ よろしいではないですか」


 余裕の、笑みをうかべるサフィス。


「サフィスも」


 対立が、表面化しないだけなのかな。

 もう少し、様子を見るかぁ。


「ところで ホワイトローリエ姫に聞きたいのですけれど ??」


 サフィスが、改めて聞く。


「はい なんでしょうサフィスさま」


 首を、かしげるホワイトローリエ。


「あなた 本当に死んでいるの ??」


 ズバリと聞く。


「えっ

ヤダなぁ こうやって霊体になっているでしょ ??」


 下半身を、地面にうずめるホワイトローリエ。


「そうよね」


 しぶしぶ、納得するサフィス。


「アハッ」


 地面から出て、笑顔になるホワイトローリエ。


「ウフフ」


 楽しげに見るサフィス。


「なんだ ??」


 どうなんだろ?


「いえ マスター

わたくしの思いすごしですわ」


 含み笑いするサフィス。


「うん

それならイイんだけど」


 うーん。


「ねぇ マスター」


 カリスが、話しかけてくる。


「ん? どうしたカリス ??」


 なんだろ。


「ここじゃあ目立つからさ

とりま移動しようよ」


 丘の上は、低い草が生えている障害物のないところなので、警戒するカリス。


「そうだな

追っ手が来ているかも知れないからね」

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