第21話
「いたぞー
あそこだーッ」
男どもの、怒号が聞こえてくる。
「ヤバい
見つかったニャア」
飛び跳ねるエドワード。
外は、夜の帳が降りてきている。
「撹乱する為に 西と南の門から出よう
サフィスとカリスは南門から出てくれ」
敵を、分散させようと考える。
「わかったわ」
二人とも、足が早いから捕まらないだろう。
「あの丘で 合流しよう」
サフィスに言うと、
「はい
ご武運を」
うなずいて、答える。
「ああ
ありがとう」
笑って見せるオレ。
サフィスは、ワザと敵の目を引くように動く。
「ハァハァ」
甲冑を、着たまま走り続けると息があがる。
「マスター
大丈夫ですか ??」
マリンは、防御魔法があるので軽装で動きやすい。
「最近 運動不足だったからなぁ」
マリンは、余裕なのに不甲斐ないなオレ。
「がんばるニャ !!」
エドワードが、跳ねて応援してくれる。
「ハァハァ
ありがとうエドワード」
チカラを、奮いおこす。
「全然イイニャ」
ニコニコするエドワード。
「いたぞ
こっちだ」
サフィスを、追っていたヤツらがこっちに気付いてくる。
「ハァハァ
なんとか 囲まれないようにしないと」
周囲は、すっかり夜になってしまっている。
「囲まれても平気よ
わたしが 突破口を開いてあげるわ」
ニヤリと、笑うマリン。
「おー
頼もしいニャ」
バンザイするエドワード。
「おいおい
殺さないでくれよ
ヤツらの骨を折ったら 大変だったんだから」
なんの為に、目的地と違う方向に行っていると思っているんだよ。
「わかってるってマスター」
苦笑いするマリン。
「よし 門が見えてきたぞ」
とりあえず、あの城門を抜ければ。
「閉門~ン
閉門~~ン」
兵士の、声が響く。
ゆっくりと、城門が閉じていく。
「ハァハァ
もう そんな時間なんだね」
夜の間は、閉じるようになっている。
「ヤバいニャ! 門が閉まる前に出ないとニャ !!」
エドワードが、血相を変える。
「ハァハァ
もう少しッ」
あと、ちょっとのところで、目の前にホワイトローリエ姫が、あらわれる。
「行かせないわ」
両手を、広げるホワイトローリエ姫。
「わッ
ホワイトローリエ姫 !!」
オレ、めっちゃ走ったのに。
「どうやって ??」
マリンも、ビックリする。
「だって わたしは建物をすり抜けられるのよ」
オレたちが、建物の間をグニャグニャ走っている間に先回りしたホワイトローリエ姫。
「そうだったニャ」
多少、くやしがるエドワード。
「こっから先はわたしを倒して行きなさい !!」
気合いだけは、十分なホワイトローリエ姫。
「ちょっとゴメン
後で 話し合いを」
ホワイトローリエ姫を、抱き抱えて走る。
「わっ !!」
突然のことに、今度はホワイトローリエ姫がビックリする。
「閉まっちゃうニャ !!」
エドワードが、先に行って門の動きを止めようとするがあまり効果がない。
「はッ
離せぇぇ無礼者
この国の姫であるぞ」
オレの、胸で暴れるホワイトローリエ姫。
「だから お姫様抱っこしてるだろ」
暴れすぎて、落としてしまいそうだ。
「わーもう少し !!」
「うわギリギリ」
「ぐぎぎ」
下に、わずかに空いたスキマに滑りこむが、ホワイトローリエ姫が門を掴む。
「ちょっと姫! 指が無くなっちゃうよ」
ホワイトローリエ姫の腰を引っ張る。
「ぎぃぃぃ」
バターン
「ギャア
わたしの指がーーー」
「ウッ………」
目を、背けるオレ。
「………なんともなってない」
オレに、指を見せるホワイトローリエ姫。
「ビックリさせるなよ」
変な、汗が出たよ。
「おーい
門を開けろーッ」
門を、叩く男たち。
「早く 行かないと」
さっさと合流しないとな。
「ダメです
城まで来て下さい」
頑なに、くっつけようとするホワイトローリエ姫。
「いや 城に行っちゃうと結婚させられるでしょ」
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