第18話

「えっ 姫と結婚………」


 一体なんのことを、言っているんだ?


「とぼけてもダメよ

あなた おたずね者になっているわよ ??」


 おたずね者?

 賞金首にでも、なっているのか?


「えーっ

オレ なんにも悪いことしていないのに」


 変な、疑いでもかけられたのかな。


「エミーゼ姫が 必死になってあなたのことを探しているわ」


 苦笑いするバラウーモン。


「それは この街のギルドとのモメ事をおさめる為にそう頼んだのでエミーゼ姫も納得していたハズ」


 ずいぶん前のことなんだけどな。


以前の話


「最北のダンジョンも攻略したな」


 エミーゼ姫の依頼で、最北のダンジョンを攻略したオレたちは、


「コイザ国に 戻りますか ??」


 その頃は、ノーザンタン国とコイザ国は合併する前だった。


「そうだな

ノーザンタン国には もう用はないし」


 夏になったら、また来たいけど暖かいところに戻りたい。


「それでは わたくしが」


 サフィスが、瞬間移動を申し出る。


「うん 頼む」


 サフィスがいると、便利だ。


「はい」


ビィニューン


 城塞都市を、見下ろす丘に瞬間移動した。


「よし ヘルムに戻ったな」


 ゴツい毛皮の装備を、脱ぎ捨てる。


「ねぇマスター ??」


 Tシャツだけになったマリンが、胸元をパタパタする。


「なんだよ」


 無駄に、エロい体をしやがって。


「ノドが乾いたから 1杯飲んでからエミーゼ姫に会いに行こうよ」


 マリンが、そう言うとみんなうなずく。


「あんなに寒い寒い言っていたのに

うん まぁ1杯だけだぞ」


 まぁ、オレも少しゆっくりしたい。


「やったー」


 でも、飲み屋では、


「ったくよ

あんなゴロツキばっかり集めてよ」


 ギルドマスターが、酒場じゅう聞こえるほどの大声で言う。

 かなり、酔っているようだ。


「あん? 誰がゴロツキだって ??」


 コイザ国では、ノーザンタン国との間に点在する小国を攻める為に、兵士を各地から集めていた。


ドシャーン


「キャアー」


 たちまち、殴りあいになり悲鳴が響く。


「なんだなんだ ??」


 ちょっと寄ろうと思ったけど、やめておくかな。


「おい 誰かあいつを止めてくれ」


 男が、そう言うのでマスターとしては逃げられなくなった。


「おい ケンカをやめろ」


 1番暴れているヤツを止める。


「うるせぇ 引っ込んでろ」


 押さえても、暴れる男。


「それなら 腕を折るぞ」


 もう、強行手段だな。


「やれるもんなら やってみろ」


ボキッ


 オレが、腕を折ったのはギルドマスターだった。

 その後、ギルドの連中がわんさか押しかけて来て。


「………エミーゼ姫

最北のダンジョンを攻略して来ました」


 顔に、殴られた跡をつけながらなんとか城まで来た。


「まぁ ヒドい顔になって

大変だったのですね」


 オレの、顔を見てねぎらうエミーゼ姫。


「いや これはこの街に帰って来て飲み屋でギルマスの腕の骨を折ってしまって」


 軽く、説明する。


「マスターでも そのようなことしますのね」


 クスッと、笑うエミーゼ姫。


「おかげで すぐにでも この街を出ないといけなくなりました」


 また、ケンカになって奴隷がやられるのは避けないと。


「まぁ

では マスターは私の婚約者ということにしてこのイザコザを沈めましょう」


 そう、提案するエミーゼ姫。


「奴隷のエミーゼ姫と婚約者ってことか」


 なんだか、よくわからない状況だな。


「私では ご不満でしょうか ??」


 かなしそうな顔をするエミーゼ姫。


「いえ

これで ギルマスとのモメ事はおさまるな」


 と、まぁとりあえず解決したのだが………


………


「そう エミーゼ姫は奴隷としてあなたとの偽装婚約に納得していたわ

あの日までは」


 意味深な、言い回しをするバラウーモン。


「あの日って………

なにがあったのですか ??」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る