第16話

「ウー

視線が痛い………」


 そりゃあそうだ。

 仮面を付けた男が、奴隷を引き連れて雑踏の繁華街を歩いていれば誰でも視線を向けて来るだろう。


「我慢するニャ」


 エドワードが、オレの目の前で跳ねる。


「なんで いきなり仮面を付けたの ??」


 カリスが、オレの顔というか仮面を見つめる。

 うわ、キスしちゃいそう。


「まぁ いろいろあってだな

よし ここだな」


 目線を、そらすオレ。


「占いの館が不気味さに 拍車がかかってるわね」


 外観は、ドクロとか飾ってあってさしずめオバケ屋敷だね。


「こうでもしないと 初心者が来るからだ

ろうけど」


 占い師ギャバが、初心者嫌いだからなー。


「そうよね」


 パーティーメンバーが、うなずく。


「よし 入ってみよう」


 ドアを、そっと開いて中に入ると、


「待っておったぞマスター」


 ギャバが、仁王立ちして待ち構えている。


「さすがに 鼻がききますねギャバ」


 占いをする時には、首から上がゾウになるがそれ以外の時は、人間の顔だ。


「だてに占い師をやっておらんでよ」


 オレだけを、占いの部屋に招き入れるギャバ。


「聞きたいことがあって───」


 そう、言いかけた時、


「2つ聞きたいんだな ??」


 先回りで、聞くギャバ。

 年齢は、オレとあまり変わらないのに鋭いな。


「あはぁ

お見通しですな」


 感心するわ。


「ほれ カネともう1つ」


 代金を、要求するギャバ。

 もう1つって………


「えッ

お金だけじゃないんですか?」


 かわいく言って、誤魔化す。


「なにを とぼけておるか

はよ胸を揉まぬか」


 胸部を、突き出すギャバ。


「やっぱ そうなるんですね」


 要するに、中の人が気持ちよくなりたいみたい。


「当たり前じゃにゃーか」


 甘えたような、声を出すギャバ。


「はい

イイですねやりますよ」


 そっと、ギャバに近寄るオレ。


「はようしてたもー」


しばらくして


「手が 限界です」


 要求通り、揉みまくるオレ。

 なんの音だ、クチュクチュ。


「ハァハァ

このくらいで ゆるしてやるぞ」


 大丈夫かな。


「はい

それでは 占ってください」


 さっさと、ゾウになって。


「そう焦るでない

その幼い娘は すでにこの街を出た」


 すでに、答えは出ていたみたい。


「エ゛ッ

それは マズい」


 なんの、時間だったんだよ今の。


「もう1つの方の問題だがね

別室に 呼ぶからそこに行って待っておれ」


 バラムーモンを、連れているみたい。


「あっ

やっぱり 一緒に行動しているんですね」


 都合がイイな。


「たまたまだが

この部屋を出て 右手の廊下を進んですぐのドアだ」


 わざわざ、部屋を分ける必要があるのかな?


「わかりました」


 おどろおどろしい部屋を出ると、


「なんか すんごい時間がかかってなかったですかぁ ??」


 疑いの目を、向けてくるマリン。


「気のせいだよ」


 ひたすら、胸を揉んだだけ。


「ふぅーん」


 腰に、手を置いてにらんでくるマリン。


「こっちこっち」


 別室に、誘導するオレ。


「あれ

わたしも 占って欲しかったな」


 体を、くねらせるマリン。


「えっ なにを ??」


 マリンも、なにか見て欲しかったんだね。


「もちろん マスターとのアレの相性とか」


 おかしなことを、言い始めるマリン。


「そんなの 解決したら時間つくるから」


 捜索を、優先しなきゃいけないのに。


「イチャイチャの ??」


 ほほを、赤らめるマリン。


「違う

占いの」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る