第12話

「ヤバい

早く追わないと………」


 あわてて、走りだすオレ。


ガチャリ


 無造作に、ドアを開けると、


「おー帰って来たニャー」


 ネコの、エドワードがそこにいる。


「えっ

待っていてくれたのかエドワード」


 なんだか、感動的な再会だ。


「そうだニャ

ずーっと待ってたニャ!」


 オレの、手を握るエドワード。


「ごめんよー

目の上 腫れちゃってるし」


 色々あったんだな。

 エドワードの、左目の上がプックリしている。


「うんイイニャ」


 ニコニコしているエドワード。


「それより ハニーちゃんを見なかったか ??」


 本題に、入るが、


「さすがマスター

鼻がきくニャ」


 そう言って、腰の巾着袋をまさぐるエドワード。


「えっ ??」


 なにか、ヒントかな?


「今 ハチミツを取る勝負をしていたニャ」


 ハチの巣を、取り出すエドワード。


「勝負って誰と ??」


 相手がいるのかな?


「わたくしですわ」


 茂みの中から、女神サフィスが出て来た。

 でっかい、ハチの巣とともに。


「えっ………

サフィスも私を待っていてくれたのか」


 すごく、うれしいな。


「もちろんですわ

わたくしマスターサーベルティガー様の奴隷第一号ですもの」


 第一号を、自負しているサフィス。

 正妻の顔をする。


「まだいたのかオバサン」


 思い切り、悪態をつくマリン。

 女神に対して、不敬だな。


「オバ………

女神に 年齢などと言う概念はないのですよ魚人さん」


 言葉の、応酬を開始するサフィス。


「人を モンスターみたいに言わないでもらえますか変な髪型の人」


 魚人は、マリンにとって最も言ってはいけないワードである。


「あなた 歌は上手いらしいけどその後で漁師を食べるんでしょ」


 見下した、目をするサフィス。


「ユーレイとちがうわ

一緒にするな」


 船ユーレイと、間違われるのもイヤなマリン。


「ターイム」


 間に、割って入るオレ。

 こんな醜いの、誰が見たいんだよ。


「えっ ??」


 ビクッとなるサフィス。


「久しぶりに会ったら ケンカばかり

マスターの命令である仲良くせよ」


 権限とか、使いたくはないんだけど。


「「はい マスター」」


 クチを、そろえるサフィスとマリン。


「ほら こんなになかよしよ」


 マリンの、クチに両人差し指を入れて引っ張るサフィス。


「リボンが かわいいわ」


 サフィスの、腰のリボンを締め上げるマリン。


「あなたにはハチの巣を髪飾りに

まるでマーガレッ───」


 ハチが、付いているハチの巣をそっとマリンの頭に付けるサフィス。

 笑顔で、地味に痛がるマリン。


「そのくらいにしとけ」


 また、エスカレートするんだろどうせ。


「「はッ」」


 返事だけなんだよな。


「それでなんだったっけ

そうだ」


 ダンジョンから、出るつもりなかったのに。


「なんでしょう ??」


 サフィスが、聞いてくる。


「女の子が このドアから出て来なかったか ??」


 これを聞くのに、けっこう過ぎたな。


「女の子なら 北の方に行ったニャ」


 おおっ、ちゃんと見てくれてた。


「本当かエドワード ??」


 念を押すオレ。


「ニャ」


 バンザイするエドワード。


「わたくしも見ましたわー」


 サフィスも、見てくれたなら説明が省ける。


「そうか

よし もう一人増やそう

見てるんだろ そこで」


 うっすら、木の上の方に気配がする


「………さすがマスター」






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