第9話

「最初って やっぱりピコハンなんですか ??」


 なにか、ピコハンをイヤがるハマオニール。


「どうしてもイヤなら ダガーにしてあげるよ」


 ピコハンも、扱いやすくて優秀な武器なんだけどな。

 ダガーという、短剣を手渡す。


「ありがとうございますマスター」


 少し、ニッコリするハマオニール。


「やけに やさしくないですか? ハマオニールに対して ??」


 なにか、嫉妬の炎を燃え上がらせるマリン。

 誤解だよ。


「そうかな

なんだか 不幸な人を見るとね

つい………」


 シンパシーを、感じちゃうのよオレ。


「あいかわらずやさしいのねマスター」


 コロッと、雰囲気を変えるマリン。


「あのーマスター」


 放置された、ハマオニールがオレを呼ぶ。


「どうしたんだいハニーちゃん ??」


 なにか、問題かな?


「スライムとか楽しくないので別のを倒したいです」


 スライムは、初心者向きなんだけどなー。



「そうだなー

初心者向きでスライムよりちょっと強いのね」


 腕組みして、考えるオレ。


「マスター」


 マリンが、なにかひらめいたようだ。


「うん? どうしたマリン ??」


 一応、聞いてみる。


「それでしたら このダンジョンの入り口付近に ビッグラットがいます

それなどいかがでしょう ??」


 ビッグラットは、小型犬くらいの大きさでこのダンジョンのは、特にすばしっこい。


「ビッグラットね

あれなら ちょうどイイかもね」


 スライムより、経験値もドロップアイテムも少ないが、切った手応えはある。


「それにしたいです」


 なにか、不適な笑みをうかべるハマオニール。


「よし決定

でも 途中は危険な魔物とかのモンスターが山ほど出るから覚悟してね」


 そこは、全然初心者向きじゃあない。

 ガチで、殺りに来ている。


「はい

ちょっとメッセ送ってイイですか ??」


 スマートフォンを、ポケットから取り出すハマオニール。


「ああ別に大丈夫だよ

ただし 奥の方は電波が届かないから今のうちにね」


 アドバイスするオレ。


「はい」


 そう言うと、スマートフォンに目線を落とすハマオニール。


『どうよ

ダンジョンは ??』


 友達から、コメントか来ているハマオニール。


「今のところアタシの言うことをマスターが聞いてくれてる」


『案外チョロいね』


「アドバイスしてくれた通りになったわ

ありがと」


『あたしらカンドー仲間じゃん』


「うん」


『あとは 計画通りにね』


「うん がんばる」


『成功を祈る』


「ありがとうね」


 スマートフォンから、顔を上げるハマオニール。


「おっ」


 マリンが、ハマオニールの雰囲気が変わったと気付く。


「あの

終わりました」


 また、ネコをかぶるハマオニール。

 しかし、マリンはなにか引っかかる。


「そうなんだ

それじゃあ行こうか」


 ダンジョンを、進むオレ。


「はい」

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