第2章

第8話

「次の方どうぞー」


 リアルでは、数分で出て来た。

 ラッピューは、感想とかをダンジョンを出たところで撮影している。

 それを、横目に次のゲストを招き入れる。


「あの

ハマオニールといいます」


 自己紹介をするんだけど、顔にガスマスクと中に眼帯を左目にしている。

 また、動画配信者だろうか?


「ハーマ………

なんだっけ ??」


 どう見ても、日本人だけどな。

 おそらく、本名ではないでしょう。


「ハマオニールです

ハニーと呼んで下さいお願いします」


 略称を、言ってくれるのはありがたい。


「ハニーね

えーっとダンジョンクルーズへようこそ」


 やっと、ルーチンに入れる。


「あっはい」


 ペコリと、頭を下げるハマオニール。


「これから 簡単に説明をするのでよーく聞いてください───」


 と、オレが話している途中に、


「あー」


 話の、腰を折るハマオニール。

 またかよ。


「どっ

どうしました ??」


 今度は、どんな話なんだ?


「あのー

ラッピューさんの生配信を見ました」


 どうやら、動画を見て学習してくれたようだ。


「おおッ」


 これは、楽が出来るかも知れない。

 ラッキー。


「なぜか通常再生なのに7倍速でめっちゃ早く放送してましたが………」


 あれ。

 大丈夫かそれ。


「そっか

そもそも 時間の流れが違う空間なのよね」


 時間軸が、歪められているんだろう。


「イイなぁ

もう こっちの世界に疲れたわたしにピッタリな理想郷ね」


 遠い目をするハマオニール。


「えーっと

人生って色々ありますよねハハハ………」


 ふれるべきか、ふれない方が正解か。


「早く 行きたいわ」


 なにか、あせっているように見える。


「ちょっと その前に」


 やっぱり。

 約束事を、聞きのがしているハマオニール。


「どうしたのですか? 早く行きたい !!」


 なんだろ。

 ダンジョンに、なにを求めているんだ?


「動画を見てたんでしょ? そのガスマスクは消えちゃうよ ??」


 また、この説明からだ。


「えっ

これお気に入りだから消えるのヤダ」


 急に、大声を出すハマオニール。


「それじゃあ 脱いでね

入り口のところに置いていてね」


 この子も、聞かずに持ち込むだろうか?


「はーい

それじゃあ眼帯も」


 意外と、素直に聞くハマオニール。


「うーん

眼帯は別に………ん ??」


 スッと、眼帯を外したハマオニールの目をおそるおそる見る。


「どうしました ??」


 オレの、反応に聞いてくるハマオニール。


「なんで眼帯をしていたの ??」


 ハマオニールの目は、悪くないように見える。


「それは ファッションの為ですよ? 推しのホストの人も聞いて来ましたけど ??」


 キョトンとした、顔をするハマオニール。


「えッ ??」


 また、変なお客さんかな。

 2連チャンは、骨が折れる!


「どうかしました? 顔になにか付いてますか ??」


 でも、素顔を見てビックリだ。

 すごくタイプの顔。


「なんか ハニーさんがかわいくてなんでホストにハマったのかなって」


 話を、はぐらかすオレ。


「わたしは かわいくないしモテません

同性からは イジメられます」


 なんだか、かわいそうだな。


「そうなんだ ??」


 ますます、守ってあげたい。

 マリンの、視線がグサグサとオレに刺さる。


「はい

イイんで早く行きたいんですけど ??」


 なぜ、そこまで急ぐのだろう?


「あぁ そうだね」

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