第4話
「なんとかして 損失を取り戻さないと」
鼻息の、荒いラッピュー。
「そういうことを考えてダンジョンに入ると痛い目をみるぞ」
かかり気味だと、ケガの元だ。
「うるさいマスター」
育ちが、悪いのだろうか。
あるいは、アラサーにして反抗期か?
「貴様 マスターに対してうるさいだと ??」
過剰に、反応するマリン。
「うるさいから うるさいって言ってるの !!」
あー、始まったよ。
「おい ラッピュー
キャラを忘れてないか ??」
ラッピューの、スマートフォンを指差すオレ。
「あっピヨピヨー」
どうやら、キャラを保てないほど精神的にきているようだ。
「もう無理だろ………
おい 前に出過ぎだ下がれ」
スマートフォンの、画面に夢中で歩みが早くなって、
「ピヨは 今ダンジョンの中にいまーす」
周囲が、見えなくなっているラッピュー。
「だめだ聞いてない」
ズンズン進む。
「ダンジョンの中はぁー
こんな感じでーす」
地面は、黒曜石で鏡のように映りこむように磨かれている。
それに反して、壁や天井は掘りたてのようなゴツゴツした状態になっている。
「モンスター付き物件の内覧会かよ」
マリンの、魔法で明るくなっているとはいえ、スマートフォンのカメラではただ黒い空間だろう。
「マスター」
マリンが、話かけてくる。
「うん? どうした ??」
なんだろ。
「あんなんでも 守らないとダメですか ??」
出たよ。
それを、言うなって。
「ああ
守ってやってくれ」
気分良く、帰ってもらわないと。
「はぁー」
ため息の、ような返事をするマリン。
「まぁ そんなに脱力するな」
正直、同じ気持ちだよ。
「それじゃあ あとでギュッとしてくれますか ??」
いきなり、顔を赤らめるマリン。
「えっ
ああ仕方ないな」
ご褒美に、軽くハグをするのが習慣になってしまっている。
マリンは、サバ折りかってぐらい締め付けてくるが。
「うれしいな
これであのカスを守れそうです」
カスて。
「いや その前にクチをなんとかしてくれ」
教育が、足りなかったなと反省するオレ。
「………ここでキスですか
マスター案外大胆ですわね」
頬を、かかえクネクネするマリン。
「違う」
どうして、そうなる。
「いつでもどうぞ
んーーー」
せまって来るマリン。
「なに あいつら
そんな関係な───」
軽蔑の目で、オレらを見て振り返ると、
「ウソ………
こんなモンスターが」
ラッピューの、目の前に一つ目のオーガがヨダレをたらしながら立っている。
「グルルル
人間だ 人間がおる」
オーガの、その声を聞いて地面にへたりこむラッピュー。
「ギャーーー」
ラッピューの、悲鳴がダンジョン内に響きわたる。
こん棒を、振り上げるオーガ。
「マリン !!」
オレは、マリンに防御魔法を頼む。
「はいっ
ウォーターウォール」
ズバーン
オーガの、振り下ろしたこん棒は水のカーテンに弾かれ、背中から倒れるオーガ。
「ひぃぃ
なになになに」
水びたしに、なりながらオロオロするラッピュー。
「そいつは お前では倒せない
戻って来い」
早く立ってくれ。
モンスターは、もう立ち上がっている。
「だめよー
ダメダメ脚にチカラがはいんないよォー」
脚を、広げてジタバタするラッピュー。
「なんだよー」
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