第5冊 片瀬コマよ、永遠なれ~「湘南最強の喧嘩コマ」
今から〇〇年前。
横浜・戸塚の片田舎から湘南・藤沢に転居したころ。
そこでは「メンコ」の他にもう一つ、バトルが繰り広げられていた!
その名も「片瀬こま」ッ!
(当時は色の塗り方で「片瀬」とか「富士」とか言ってたような??)
木製のコマを麻ひもを使って回すんだけど、
その勝利条件は最後まで「生き残る」ことッ!
【遊び方】※ローカルルールかもしれないので、あしからず
①じゃんけんで順番を決める
②1番手がコマを回す。
この時の回し方は「シキ」限定。
(「シキ」」=麻ひもを水平にひく回し方)
③2番手がコマを回す。
この時に2番手は相手のコマにブチ当ててOK!
④ハタキで止まらないようにコマを回し続ける!
⑤どちらかが止まったら3番手が参入!
・・・という流れ。
問題は③の「ブチ当てる」である。
この時の投げ方は「シキ」ではなく、「コッパ」と言って
オーバースローで自分のコマを叩きつけるのである。
しかも全力。
これでもかって勢いで相手のコマめがけて。
これができないと遊びに入れてもらえないので、
下級生はこの「コッパ」をめっちゃ練習する。
これがなかなか難しく、逆さになったり、
すっぽ抜けて隣家に入ったり。ヒドイのはたまたま通った
トラックに踏まれ、見るもムザンな姿に変り果てることも。
そんな苦難の修行を経て、やっと遊びに参入するも、
次に待ち受けるは上級者の狙いすました「コッパ」の一撃。
何せこのコマ、軸先にボールベアリングが埋められており、
破壊力抜群なこと、この上なし。
・・・多分製作者は「破壊力UP」を目指したのではなく、
より「回りやすく」するために埋めたと思うんだけど。
そんなやつを大リーグボール1号よろしく大上段に振りかぶり、
全力で叩きつけるのである。
新品のコマの表面も、あっという間にボコボコである。
そして当たり所が悪いと、割れてオダブツである。
上級者になると最初の「コッパ」で外しても、
「手載せ」で相手のコマ上空まで運び、狙いすまして落下させる
という高等テクニックまで駆使する。
とにかく相手の息の根を直接止めにかかることに全力を尽くす。
まさしく「喧嘩ゴマ」である。
勝つために上級者は上面に油を塗ったり、軸をたたいて短くし、
低重心にしたりと、いろんなカスタマイズをしていたっけ。
また、投げる順番によって大きさを4号~8号まで使い分けてたりした。
正月以外でも結構やってたものである。
しかしある日、「ヤツ」が現れた。
木製ではなく、乳白色の硬質プラスチックボディ。
軸には1本の鉄芯。
正式名称は知らないが、今までの木製ゴマの数段上の性能を
持つ「スーパーゴマ」が現れたのだ。
当時の木製コマの数倍の値段で発売された「スーパーコマ」は、
セレブな子どもたち中心に爆発的に広まり、「秘密兵器」として君臨した。
何せ木製コマと比較して、重く頑丈、かつ回転維持力がダンチガイ。
しかしながら、このコマが現れたゆえに、それまで個人の工夫やテクで
競っていた面白さが薄れ、コマ遊びそのものが廃れていったのである。
また、ほどなくして電子ゲームが発売され、「ゲームウォッチ」の登場で
トドメがさされた。
数年前ふと思い出して、子どものころ遊んでいた「コマ」を思い出し、
ネットで調べたところ、もう製作者がお一人しかいないとのことで、
「片瀬コマ保存会」なるものができていた。
別のHPでは・・・1つ2585円!?
これぶつけるのためらうわ・・・
まだアスファルトで舗装されていない路地も残っていた頃の遊びは、
もうイベントでしかお目にかかれない。
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