第4冊 A(アリさん)の悲劇
※そとで働いているアリさんは、メスです。
ちなみに、比較的若いアリは巣の中の仕事、
年取ったアリがよりキケンな外の仕事をするんだそうな。
なんともせちがらい・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「本日、晴れて外界に出る、働きアリの諸君!これから最後のチュートリアルを始めるのでよく聞いて『ほらみて、アソコの羽根が生えてる殿方、素敵じゃない!?』 ハイ、そこぉ!!よそ見しない!!」
「えー。」
「えー、じゃない!今から外界の最危険生命体、『ニンゲン』について話をする!よく聞いておくように!」
「「「イエッサー!!!」」」
「よし。では始める。『ニンゲン』の中で、まず我々を捕獲しようとするのは、比較的体の小さい幼体だ。こいつらは非常に残虐で、ことあるごとに我々を捕獲しようとする。過去の先輩方が残した記録によると、捕獲されたら最後、様々な実験材料とされるらしい。」
「私たちで実験するんですか??」
「うむ。我々が普段気をつけているアリジゴクの巣に何回も叩き落されたり、『虫メガネ』なる透明な丸い物体から熱線を照射され、焼き尽くされることもあるらしい!」
「ヒドイ!」
「なんてことを!」
「その他、砂の入った透明の薄いケースに入れられることもあるそうだ。我々は身を隠すため、巣穴を作ってもぐる習性があるが・・・・丸見えだ。」
「プライバシーの侵害よ!!」
「横暴だわ!」
「しかし、この場合はまだましなケースだ。食事も与えられるし、一定期間がすぎれば釈放されることが多い。・・・ただし、元の巣のそばに解放されるかは、時の運だ。」
「捕まらないようにしないといけないわね」
「こわいわ~」
「その他、老体と一緒にいるときは、注意を払ってほしい。この老体は、ことあるごとに地面を掘り返し、花を植え替える。せめて種ができるまで待ってくれればいいものを、花が散るなり抜いて持ち去ってしまう。その時に幼体が一緒にいると、巣を見つけたとたん、破壊活動を始めるのだ。」
「わたし見たことある!なにかぴかぴか光っているモノで部屋を崩されたわ!!」
「ひどいときには、さらに毒粉を散布されることもある。」
「ホラレ損だわ!!」
「いや、それはちょっとニュアンスが違うのでは」
「・・・なんでそんなキケンな場所に我々は巣を作っているのですか?」
「・・・仕方ないのよ。われらが女王様がオトコとこの地を選んでしまったのだから。」
「あいつらのせいですか!?」
「バカじゃない??」
「そういうな。やつらも精子だけ渡したら、あとは死ぬ運命なのだから。」
「そうなのですね・・・」
「われわれは、巣のみんなのためにエサを運ぶ!!それだけが使命だ!しかし、外界でニンゲンの幼体を見かけたときは、特に注意するんだ!いいか!」
「「「「サー、イエッサー!!!」」」」
「うむ。では、いくぞ!!」
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