第3冊 ザリガニ釣り  「マッカチン」って言ってましたよね?



「釣り」。


それは「獲物を捕らえる」という、人類の根源的な欲望を満たすもの。


そして「俺の獲物方がスゲーぜ!」と周りにドヤるもの。


そのためにより良い道具を買い求めてたはずなのに、

いつしか「獲物」より「道具」を見せびらかすことに全力を注ぎだすもの。


・・・今のスマホゲームの課金と変わらんですな。



今回はそんな「課金」要素とは無縁だった釣りの原点、

ザリガニ釣りです。


子どものころは、そこらかしこに未整備の小さな池、沼があり、

ほぼ確実にアメリカザリガニが生息していたものです。

それを捕獲しにいくことが、「釣り」に触れるファーストステップでした。


道具は糸さえあればなんとなるのもお手軽。

ほとんどの子どもは、正月しか飛ばさない凧の糸を使ってましたが、

まれに魚釣り用の竿をもってきている子もいました。

エサは大抵の家にあったダシ用の煮干し。

ちょっと余計に拝借して、途中おやつ代わりにかじったりしたものです。


ターゲットは真っ赤な体色の通称「マッカチン」のみ。

「マッカチン」が何匹釣れるか、はたまた大きさで、

友達と競い合ってました。

この頃は一人で釣りに出かけても、大抵誰かいたもので、

初めて会った名前も知らない子と話したりしながら

釣りに興じたものです。


時々釣れるちっこい茶色な個体はザコ扱いで、見向きもされませんでした。

が、そんなある日、このザコの価値が変わるときが来たのです。


実は煮干しって、そこまでザリガニが寄ってくれないんです。

で、スルメは駄菓子屋で買えたりするんだけど、ザリガニに食わせるくらいなら

自分が食べたいのが子どもの心理。

で、たまたま会った名前も知らない子が、ザコザリガニを突如ブチッ!!っと

引きちぎり、糸に括り付けて釣りを始めると、釣れるわ釣れるわマッカチン!

当然、マネします。ええ。「かわいそう」なんて文字は浮かびません。

だって釣れるんですもん。


そんな新情報は、瞬く間にシェアされていくわけで、

ザコザリガニはマッカチンのための餌となり、撒き餌となり、かくして

大量ギャクサツが行われたわけです。


いやー、子どもってザンコク。


そんな犠牲を払って釣り上げたマッカチンはその後、

①リリース

②家庭に持ち帰って釣果報告

③家で飼育

④学校に寄付

がだいたいのパターンでした。

ただし③④は、一緒に買っていたメダカや金魚が襲われ、悲劇を呼ぶことが・・・


ところで、中国やアメリカでは「ザリガニパーティー」なるものが開催されてるとのこと。おいしいと大好評らしい。

実は子どものころ、釣り餌としてむしりながら「こいつ食えるのか?」と思いつつ、

勇気は出なかったことも思い出しました。


・・・寄生虫がいるので、めっちゃ加熱せんといかんらしいです。

過去の自分の自制心を褒めたくなりました。危ない危ない(汗)







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