ガチャ運最弱転生VTuber、ソシャゲキャラとともに“再び”異世界最強!?
七千円(ななせん)
第1話 低レアキャラはストーカー
「――――ョウコさん! ショウコさん!」
――そんな“ボク”の名前を呼ぶ声が、脳裏に刻みつけられるように耳の奥で何度も反響する。
さらに、声に合わせてとたとたとた、と沢山のコミカルな足音がまるで
「ハウスです! おすわりです! ショウコさん!」
「止まってください!
「どうか、信じてください!」
私はとあるゲームのストーリー中盤の舞台となる街――アイデラの街を走っていた。
ゲームでガチャを引く度に嫌でも聞こえてきていた、特徴的な声質の高音ボイスを背に受けながらも、振り返ることなく私はツッコミを入れた。
「おすわりって、私は犬かあっ! てか誰がっ、足を止める……かっ!! 助けなんていらんわ!」
――あの子たちに捕まったら、終わる。それだけは、冷静さを失いかけている今の頭でも理解できた。
ただ、この状況で今みたいなツッコミを入れる必要は全くなかったと思う。これが配信中なら、視聴者から意外と余裕あるやん、舐めプか? とかツッコまれていたことだろう。
配信者としての反射的行動だったのだと思うけれど、悲しい
「行くっきゃない、か……」
一応ここに来るまでに、身に着けているクリアのレインコートを脱ぎ捨てようと何度か試みてはみたが、フードを取るのが精一杯だった。脱ごうにも、力を込めると皮膚を直接引き剥がされるような激痛に襲われてどうしようもなかった。
「……むぅ、こうなっては仕方がありません。ここは、我とっておきの固有スキル――」
「【透明投げ縄】」
「を使う時です」
一人称我の、オッドアイで
その行為に別段意味があるようには思えないし、普通の人間はそんな喋り方はしない。そもそも、事前に打ち合わせでもしていない限り、これほどまでに言葉が綺麗に繋がることはないだろう。
彼女たちが何を企んでいるのかは知らないが、今は構わず走り続けるしかない。そうして石畳の坂の頂上にたどり着いた私を待ち受けていたのは、
「――と見せかけて」
今ではサ
「今です!」
「何っ――!?」
ぱたぱたぱた、と彼女たちが手足を一斉に伸ばし、ピラミッドは崩れる。その様に圧倒されたのか、足がすくんでしまい、私は背後から伸びてきた縄らしきものに足首を絡め取られ、見世物にでもされるように高く吊り上げられてしまった。
「くっ……」
ぞろぞろと集まってきて宙吊りにされた私を見上げる、全く同じ顔、姿をした大勢の少女たち。
「「「ショウコさん、つかまえた」」」
彼女たちは、私がこれまで嫌というほどガチャで引き当ててきた、とあるソーシャルゲームの低レアキャラクターである。
「終わった……」
そのゲームとは、リリース以来、ソコソコの人気を保ち続けている、どこにでもありそうな、異世界を舞台としたスマホゲーム【CCS《カーテンコーラーズ》】。
その中で最も手に入りやすいと言っても過言ではないキャラ。それこそが彼女たち、いや彼女――
ミア・レイスである。
「さぁさぁさぁ」
彼女は顔を赤らめながら、縄を解いて私を地面に押し倒す。そして、次々と別の彼女が私の上に覆い被さってくる。
彼女たちは、剥き出しになった狂気を隠そうともしない、そんな表情をしていた。
「観念して我に刻まれちゃってくださいね……痛くしませんから」
そう
右手には、“ボク”の髪と同じ、赤色の液体がべっとりとついた
なぜ、私がこのVTuber――
全ての始まりはあのホラーゲーム配信。いや、もっと遥か以前から、“私”のこの運命は決まっていたのかもしれない。
ガチャ運最弱転生VTuber、ソシャゲキャラとともに“再び”異世界最強!? 七千円(ななせん) @gojirou25
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