第8話塵芥

尺の都合上、自白シーンはカットになりました。

主に号泣しながら、わだじが悪がっだです。

この一言に尽きる。語るのも野暮と言うもの。

メモと小型のボイスレコーダーを起動させて、洗いざらい吐き出した彼女の罪が許された的な顔が、釈然としないものの形上ではご協力ありがとうございますとだけ言って部屋を後にする。

勿論、このことは家族には他言無用と付け加えて。

「……」

下では依頼人と親しげに談話してる所長を見て、こちらは苦労したのにと軽く殺意が湧く。

コミュ力お化けをこの時ばかりは忌々しく思った。

いや、探偵とはこれくらいじゃなきゃ勤まらないのかと本気で考えているとアイコンタクトで終わったのかと伝えてきた。

その答えに胡乱気な視線を向けて頷く。

「では、ネネさんからお話を聞けたようなので事務所に戻って引き続き、捜索を続行します」

「お願いします。舵さんにもよろしくお伝えください」

「はい、お伝えします。それでは長々とお邪魔してしまい申し訳ありません。進展がありましたら逐一ご報告します。お邪魔しました」

「ご協力ありがとうございます。お邪魔しました」

玄関先で深々と頭を下げて歩道に出るなり、灯は鈴を鳴らして眼鏡を外してジト目で僕を見てくる。

「依頼そっちのけで楽しそうっすね?」

皮肉を混ぜながらボソッと呟く灯にいやいやとツバキは否定する。

「円滑に運用するには相手にこちらを知ってもらうのが一番だ」

「確かに。でもその割には舵さんの名前が出た時、顔が痙攣してたっすよ?」

「んーあー……あの陰険根暗犯罪者予備軍の話をするな、頭が痛くなる」

本気で頭痛を感じてるのか目頭を指で押さえて呻くツバキ。

「でも今回の依頼は舵さんから回ってきたっす。感謝こそあれ、そこまで露骨に嫌ってると回してくれなくなるっすよ?」

「そりゃピコグラムくらいの感謝してるが」

「ピコ?」

「グラムの値だ。ナノグラムより小さい値がピコ」

「それって塵芥並に感謝してねぇって言ってるようなものっすね……」

そんなに嫌わなくてもなと灯が言うが、アイツだけは一生を掛けても分かり合えない。

水と油、月とスッポン。犬猿の仲。

それくらい存在その物が気に入らない奴が舵月花だ。

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