第32話 過去のこと③ 『精神世界』

ヤツは自身のことをこう名乗った『最悪』の”イレギュラー”と。


―――当時の私には知る由が無いのだが、自我を持った”イレギュラー”は持っていない”イレギュラー”よりも遥かに強く、厄介らしい。

その中でも『最悪』のイレギュラーは特に厄介だったらしい。


まだ、混乱から抜け出せてはいないが、少し冷静になることができた。


「オマエノ身体ハ乗ッ取ッタゾ。次ハ、オマエノ精神マデ乗ッ取ル」


と、ヤツが言った瞬間、私の精神に大きなダメージを食らったような気がした。

そして、痛みの元となった私の精神世界に私は強制的に飛ばされることになった。




精神世界というモノを知らなかった当時の私はいきなり飛ばされた空間に違和感を覚えていた。


なぜなら、悲惨な目にあって死んでいたはずの”親友”がそこにいて、いつも通り、天使たちが過ごしていたからだ。


なんだ、今までのことは夢かと思ったが、絶望はすぐに訪れることとなった。


「先程ノ光景ハ夢デハ無イゾ」


聞こえるはずのない声が私の後ろ、即ち意識の外目を逸らしたい現実から聞こえてきた。


『精神世界』とは、それぞれの精神による思いや夢を精神に世界として反映したものだ。

分類上は世界でこそ無いが、全ての生き物が持つことが出来る世界の一つで、その世界ではその『夢』の創造者が絶対的なルールだ。

ただし、現実を知ってしまうと、『夢』は崩れ、現実が反映されてしまう。


だからこそだろうか。


後ろを振り向いた瞬間に現実に影響され、『夢』平和な日常『現実』“イレギュラー”による惨事に塗り替えられた。


そして、ヤツ『最悪』は私の『精神世界』に入って来ようとした。


幸い、自らの『精神世界』だったため、私は、精神世界の外から侵入しようとするとする『最悪』をブロックすることが出来た。


だが、一部がモヤとなって精神世界に侵入されてしまった。

それほどまで、『最悪』が特殊だったというのもあるが。


『精神世界』に侵入してきた『最悪』のモヤ一部は『現実』と同じように私の足元で倒れているシルちゃんを、乗っ取り、私に向かって移動を始めた。


『精神体』のことはよく分かっていなかったが、この体が壊れると不味いと言うことを本能的に感じたから逃げに徹した。


===

★ちょいメモ★

・【『最悪』の“イレギュラー”】

『最強』でこそ無いものの、最も厄介な“イレギュラー”の一体。

あらゆる『実』なるモノを乗っ取る事ができる。

“器”を得ることで、自我を得た。

実体を持たないため、強力な身体を得ることを目的として活動していた。


・【『精神体』】

精神が『精神世界』で形を持ったもの。

その核となるのが魂であり、『精神体』が壊れてしまうと、『精神体』に保護されていた魂が剥き出しになり、少しの衝撃を与えるだけで魂が崩壊を始めてしまう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

どーも、のこじです。

祝!2週間毎日投稿。

pc使えない環境なので、スマホで執筆してたから遅れました。

そういえば、完結した後に、幾らか改稿するかもしれません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る